【商業施設】富山県「ヘルジアンウッド」

富山県中新川郡立山町、立山連峰を望む水田地帯に佇む商業施設「ヘルジアンウッド(Healthian-wood)」。製薬会社・前田薬品工業が「22世紀に向けた新しい村づくり」をビジョンに掲げ、建築家・隈研吾が設計を手がけたウェルネスビレッジです。ハーブ栽培・精油抽出の工房、地元食材を味わうレストラン、宿泊・サウナ、スパ、ハーブガーデンといった機能を、水田の上に散りばめた「小さな小屋」の集合として構成。Phase1は2020年3月に竣工し、延床740㎡・平屋の建築群が立山の原風景に溶け込みます。稲藁の断熱材やハーブをすき込んだ和紙など地域素材を徹底活用し、水田上を浮遊するウッドデッキが各棟をつなぎます。非住宅の木造化・木質化を検討する建材メーカー・木材メーカー、工務店・建設会社、設計事務所にとって、地産地消と木質デザインを両立させた商業施設の好例です。本記事では、その建築コンセプトと木造化のポイントを解説します。

ヘルジアンウッドが体現する木造のコンセプト

ヘルジアンウッドが体現する木造のコンセプト

立山の原風景に呼応し、自然と人をつなぐ「村」を木でかたちにした商業施設の思想です。

  • 立山連峰の麓、水田地帯という敷地環境を最大限に生かした配置計画
  • 大きな箱ではなく「小さな小屋」を散りばめた散村型のランドスケープ
  • ハーブとウェルネスを軸に、地産地消を建築素材にまで及ぼした設計思想

ヘルジアンウッドと立山連峰の原風景

  • 立山連峰を背景に富山湾を遠望する眺望を、建築の開口や配置に取り込む
  • 平屋・低層に抑え、水田と山並みのスカイラインを損なわない木造ボリューム
  • 大屋根のシルエットを立山の稜線に呼応させ、風景と一体化させる

ヘルジアンウッドの散村型配置と小屋

  • 機能ごとに独立した「小さな小屋」を分棟配置する散村的な構成
  • レストラン・アロマ工房・イベント広場など用途別に木造棟を分節
  • 棟間を回遊させることで、敷地全体を体験する動線とにぎわいを創出

ヘルジアンウッドのウェルネスと地産地消

  • ハーブ栽培から精油抽出までを一体化したアロマ工房を核に据える
  • 稲藁の断熱材、ハーブをすき込んだ和紙など地域素材を積極採用
  • 工業製品に依存せず「環境とともに育つ」木質・自然素材の建築を志向

ヘルジアンウッドの木造化・木質化のポイント

ヘルジアンウッドの木造化・木質化のポイント

小屋群を彩る木組みの大屋根とウッドデッキが、木造商業施設の設計手法を示します。

  • 立山に呼応する木組みの大屋根が象徴する半屋外イベント空間
  • 中心に柱を持たない傘型の構造体で内部空間を伸びやかに開放
  • 水田上に浮遊するウッドデッキで各棟をつなぐ回遊デザイン

ヘルジアンウッドの大屋根と木組み架構

  • イベント広場を覆う木組みの大屋根が、結婚式やマルシェを可能にする
  • 立山のシルエットに呼応させた離散的な大屋根を敷地に点在配置
  • 半屋外空間として内外の境界をやわらげ、風景を招き入れる架構

ヘルジアンウッドの傘型構造とアロマ工房

  • アロマ工房は中心に柱を持たない傘型の構造体で無柱空間を実現
  • ハーブ栽培と精油抽出を行う作業空間を、木質架構で伸びやかに包む
  • 構造設計はオーノJAPANが担当し、木造ならではの軽やかさを表現

ヘルジアンウッドのウッドデッキと地産木材

  • 水田の上を浮遊するウッドデッキが小屋群をつなぐ主動線を形成
  • 地域産・自然素材を徹底活用し、地産地消を構造・仕上げに反映
  • 木質のデッキと小屋が、水田・ハーブ畑と連続する景観をつくる

ヘルジアンウッドのギャラリー

ヘルジアンウッド 外観
ヘルジアンウッド 外観
ヘルジアンウッド 外観
ヘルジアンウッド 外観
ヘルジアンウッド 外観
ヘルジアンウッド 内観
ヘルジアンウッド 内観
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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。