【ホテル】フィンランド「Solo Sokos Hotel Pier 4」

フィンランド・ヘルシンキの海辺カタヤノッカ地区に、中大規模木造の可能性を象徴するホテル「Solo Sokos Hotel Pier 4」が誕生しました。設計はAnttinen Oiva Architects、事業主は年金保険会社Varma。フォレストリー企業Stora Enso本社との複合施設「Katajanokan Laituri」の一翼を担い、延床16,400㎡・地上4階を、LVL(単板積層材)の柱梁とCLT(直交集成板)の床・屋根で構成しています。使用木材は約7,600㎥のスプルースで、成長段階に約6,000トンのCO2を固定。港湾の厳しい気候から現しの木構造を守る二重ファサードが、木造をウォーターフロントの街並みへ実装しました。164室すべてに木質の落ち着きを行き渡らせた本作は、2025年「国際木造建築賞」を受賞。非住宅木造の到達点を示す一棟です。

Solo Sokos Pier 4の設計コンセプト

Solo Sokos Pier 4の設計コンセプト

海辺の都市景観に木造を溶け込ませ、宿泊体験そのものを「森と海の近さ」へと翻訳した設計思想を、次の視点から読み解きます。

  • 港湾・マーケット広場に面する都市文脈と木造の両立
  • 現しの木を主役にした北欧的ホスピタリティ
  • Stora Enso本社との複合による用途混在

Pier 4が示す木造ホテルの新基準

  • 港湾景観の要所で「木造は都市に建てられる」ことを実証
  • 全164室のうち43室が海に面し、木質空間と眺望を接続
  • ホテルとオフィスが同一構造体を共有する複合木造

Pier 4のウォーターフロント木造建築

  • Alvar Aalto設計の旧Stora Enso本社と対話する立地
  • 海・岸壁・空へ開く屋上テラスと植栽・バーを一体化
  • 港の風景を室内へ引き込む、ガラスと木の交互配置

Pier 4の北欧・木質デザイン

  • 現しのスプルースにアッシュ材のディテールを添えた内装
  • ニュートラルな色調と自然光で「静けさ」を演出
  • Franz Designによる客室・レストラン・会議室の設計

Solo Sokos Pier 4のポイント

Solo Sokos Pier 4のポイント

延床16,400㎡・地上4階を実現した構造・環境技術の要点を、非住宅の中大規模木造に応用可能な観点から整理します。

  • LVL柱梁+CLT床屋根のマスティンバー構成
  • 約6,000トンのCO2を貯蔵する脱炭素性能
  • 現し木構造を守る二重ファサードの耐候設計

Pier 4のCLT・LVLハイブリッド構造

  • 柱梁・ファサード架構にVarkaus産LVL(Kerto)を採用
  • 床・屋根・シャフトにGruvön産CLTを使用
  • 約2,500の木質プレファブ部材で施工を効率化

Pier 4の炭素貯蔵と脱炭素効果

  • 約7,600㎥のスプルースが約6,000トンのCO2を固定
  • 責任ある森林由来の木材で建物自体を炭素の貯蔵庫に
  • LEEDプラチナ・Green Key等の環境認証を取得・申請

Pier 4の木造ファサード・耐候設計

  • ガラス・アルミ・花崗岩の外層で現し木を海風から保護
  • 白い縦ルーバーが海光を受け、木質と対比する表情
  • 長寿命・可変を前提に更新しやすい内部計画

Pier 4のプレファブ木造施工

  • 工業規格の量産材を最適化し材料効率を追求
  • 2,500部材の事前製作で港湾部の工期を短縮
  • 構造エンジニアSweco参画による中大規模木造の品質管理

Solo Sokos Pier 4のギャラリー

Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 エントランス
Solo Sokos Pier 4 エントランス
Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 外観
Solo Sokos Pier 4 エントランス
Solo Sokos Pier 4 フロント
Solo Sokos Pier 4 フロント
Solo Sokos Pier 4 ラウンジ
Solo Sokos Pier 4 ホール
Solo Sokos Pier 4 ラウンジ
Solo Sokos Pier 4 ラウンジ
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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。