【建設業クライシス】資材高騰と供給不安!非住宅木造の対策

【建設業クライシス】資材高騰と供給不安!非住宅木造の対策

現在の建設業界は、中東情勢の悪化を背景とした深刻な「建設業クライシス」に直面しています。

建材メーカーや木材メーカー、工務店・建設会社、そして設計事務所の皆様は、連日のように発表される資材高騰や供給不安のニュースに、頭を悩ませているのではないでしょうか。

本記事では、非住宅木造オウンドメディア「モクプロ」が提供する「ナレッジ」として、国交省から発表された資材価格高騰に関する通達や、断熱材の変更に伴う完了検査のルール緩和についてわかりやすく解説します。 

INDEX

国交省から通達された「住宅建材の価格高騰・供給不安」とは

現在、建設業界を大きく揺るがしているのが、中東情勢の悪化等による「住宅建材の価格高騰・供給不安」です。

国土交通省は、この事態を重く受け止め、関係団体に対して対応を求める通達を出しました。

非住宅木造のプロジェクトを進める工務店や建設会社にとって、資材の安定的な調達は死活問題です。

特に石油やナフサを原料とする断熱材などの建材は、価格の上昇だけでなく、必要な時期に必要な量を確保することが難しくなっています。

このセクションでは、国交省の通達の全体像と、建設現場にどのような影響を及ぼしているのかを解説します。

建材メーカーや木材メーカーと連携し、実務においてどのような備えが必要かを考えていきましょう。

<国土交通省の通達「中東情勢等を踏まえた対応について」>

中東情勢による石油・ナフサ由来資材への影響

中東情勢の緊迫化により、日本の建設業界は大きな打撃を受けています。

特に影響が大きいのが、石油やナフサを原料とする建築資材です。

断熱材や塗料、防水材などは、私たちの身近な非住宅木造建築においても欠かせない部材ですが、これらの供給に懸念の声が上がっています。

政府は関係行政機関と緊密に連携して重要物資の安定供給に努めていますが、現場での調達の遅れや納期の見通しが立たないといった不安は尽きません。

計画段階から余裕を持ったスケジュールを組むことや、代替品への切り替えを視野に入れた柔軟な対応が、今後の木造化・木質化プロジェクトにおいては非常に重要となります。

設計事務所と施工者が密に連携することが求められます。

建築主への早期の情報提供と説明の重要性

資材の価格高騰や納期の遅れが予想される場合、最も重要なのは「建築主への早期の情報提供」です。

国土交通省の通達でも、既に着工している物件で価格等に影響が生じる可能性がある場合は、できるだけ早く建築主に対し状況と今後の見通しを説明し、トラブルを防ぐことが求められています。

突然の予算オーバーや工期の遅れは、建築主の信頼を損なう大きな原因となります。

非住宅木造の建築プロジェクトにおいては、建設会社や工務店がプロフェッショナルとして、誠実に状況を伝えることが重要です。

建設業法に則り、資材価格の高騰といった「おそれ情報」を事前に共有することで、円滑に請負契約の変更協議を進める関係性を築いておきましょう。

セーフティネット貸付など政府の資金繰り支援

終わりの見えない資材高騰は、工務店や建設会社の資金繰りを急速に圧迫します。

こうした状況を乗り切るため、中小企業庁は様々な支援策を用意しています。

その代表が「セーフティネット貸付」における金利の引き下げなどです。

原油価格や原材料のコスト上昇によって影響を受けている事業者を対象に、特別相談窓口が設置され、一定の条件を満たせば優遇措置を受けることができます。

非住宅木造の実務を継続し、木構造のプロジェクトを安定して進めるためには、手元の資金を確保しておくことが防衛策となります。

経営の安定化を図るためにも、こうした公的支援を積極的に活用していきましょう。

断熱材不足でも策あり!「完了検査」の具体的なルール緩和

断熱材不足でも策あり!「完了検査」の具体的なルール緩和

断熱材などの資材が手に入らない場合、別の材料に変更せざるを得ない事態が発生します。

しかし、建築確認申請の後に材料を変更すると、通常は厳しい手続きが必要となります。

こうした実務上の大きな壁に対し、国土交通省は完了検査の「柔軟な運用」を認める通達を出しました。

このルール緩和は、木造化・木質化を進める設計事務所や建設会社にとって非常に重要な情報です。

申請手続きの負担が減ることで、工期の遅れを最小限に食い止めることができます。

ここでは、どのような場合に完了検査の緩和措置が適用されるのか、具体的な手続きの流れと、省エネ計画における取り扱いについて、わかりやすく解説いたします。

<国土交通省の通達「完了検査の柔軟な運用について」>

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001996295.pdf

「軽微な変更」に該当する資材変更の手続き

資材の変更が、建築基準法で定められた「軽微な変更」に当てはまる場合、完了検査の手続きは非常にスムーズになります。

例えば、当初予定していた断熱材が手に入らず、性能が同等以上の別の断熱材に変更するようなケースです。

この場合、完了検査申請書の「確認以降の軽微な変更の概要」という欄に変更内容を正しく記載するだけで、速やかに完了検査を受けることができます。

非住宅木造の現場では、工期の厳守が求められます。 施工者と設計者が連携して、変更する資材が「軽微な変更」に該当するかどうかを素早く判断し、適切な書類作成を行うことが、実務をスムーズに進めるための大きな鍵となります。

省エネ性能に関する計画変更が不要になる条件

非住宅木造の設計において、建物のエネルギー消費性能(省エネ性能)は非常に重要な要素です。 資材を変更した場合、省エネ計画の変更手続きが必要になるのではないかと不安に思う方も多いでしょう。

しかし、今回の通達では、外皮の熱貫流率(熱の逃げやすさ)が増加しない範囲であれば、発泡プラスチック系の断熱材から、無機繊維系や木質系の断熱材に変更した場合でも、省エネ計画の変更手続きは「不要」と明記されました。

これは設計や申請の負担を大幅に軽減するルール緩和です。 環境に配慮した木質系断熱材への変更など、ピンチをチャンスに変える木質化の提案も検討してみてはいかがでしょうか。

「軽微な変更」に該当しない場合の注意点

一方で、変更する内容が「軽微な変更」に該当しないと判断された場合は注意が必要です。

この場合は、原則として正式な「計画変更」の手続きを行ってから完了検査を受けることになります。

計画変更には当然のことながら時間と手間がかかります。

そのため、申請者である工務店や設計事務所は、時間的な余裕をもって対応することが強く求められます。

資材の欠品が判明した時点で、すぐに指定確認検査機関などに相談し、どのような手続きが必要になるのかを確認することが実務において重要です。

施工者や建材メーカーとも情報共有を密にし、工期の遅れによるトラブルを未然に防ぐ体制を整えましょう。

最新データを解説!建設資材の深刻な値上げ動向

最新データを解説!建設資材の深刻な値上げ動向

建設業クライシスを象徴するのが、留まることを知らない建設資材の値上げラッシュです。

モクプロを運営する中で、実務者の皆様から「見積もりが全く合わない」「どこまで価格が上がるのか先が見えない」といった切実な不安の声をよく耳にします。

塗料、石膏ボード、断熱材、サッシなど、非住宅木造の工事に関わるあらゆる部材の価格が上昇しています。

この状況下で工務店や建設会社が生き残るためには、正確な値上げ情報をいち早くキャッチし、それを設計や計画に反映させることが不可欠です。

ここでは、主要な建材メーカーの値上げ動向を整理し、価格転嫁に向けた対策のポイントを解説します。

塗料や断熱材など幅広い建材の価格上昇

2026年春の時点で、数多くの建材メーカーが大幅な値上げや受注制限に踏み切っています。

例えば、塗料関係ではシンナー製品が50%〜75%という驚異的な値上げを発表しています。

断熱材も、4月や5月の出荷分から40%の値上げが相次いでおり、さらには受注制限や納期調整がかかっている製品も少なくありません。

他にも、石膏ボードや塩ビ管、クロス、アスファルトなど、非住宅木造を施工する上で欠かせない資材が軒並み価格改定を行っています。

これらの情報を建材メーカーからこまめに収集し、現在の見積もりが適正かどうかを常に確認することが、赤字工事を防ぐための第一歩となります。

以前からの値上げに重なる「緊急の価格改定」

今回の値上げラッシュで特に注意すべき点は、「二重の値上げ」が起きているということです。

以前から、物流費の高騰などを理由に、4月からの価格改定を予告していたメーカーは多く存在しました。

そこに突然の中東情勢の悪化が直撃し、緊急の値上げが二重に乗っかってきているという非常に厳しい状況が発生しているのです。

設計事務所が予算計画を立てる際や、工務店が建築主へ見積もりを提出する際には、この急激な変動リスクをしっかりと説明し、理解を得ておくことが実務上、極めて重要になります。

早期の発注と価格転嫁に向けた交渉のポイント

資材高騰から自社を守るための効果的な対策は、「早期の発注」です。

色決めなどを後回しにせず、実施設計を終了させてから請負契約を締結し、契約後すぐに建材メーカーや木材メーカーに発注をかけることで、価格変動のタイムロスリスクを最小限に抑えることができます。

また、高騰したコストを自社だけで抱え込まず、適切な「価格転嫁」を行うことも不可欠です。

政府もサプライチェーン全体での適切な価格転嫁を強く推進しています。

発注者と真摯に交渉し、お互いが痛み分けできるような契約条項を設けるなど、円満な解決を図る仕組み作りを進めてください。

中東情勢の悪化が建設業界に与えるリアルな影響

中東情勢の悪化が建設業界に与えるリアルな影響

遠く離れた中東の情勢悪化は、決して対岸の火事ではありません。

日本の建設業界、とりわけ中小規模の工務店や専門工事会社に対して、非常にリアルで深刻な影響を及ぼしています。

「価格が高くても、お金を出せば買える」という時代は終わりを告げようとしています。

必要な資材がそもそも手に入らない「欠品」の恐怖や、資金繰りの悪化による倒産リスクなど、現場には厳しい現実が突きつけられています。

非住宅木造という新たな市場に挑戦し、木造化・木質化を進めていくためには、業界全体を取り巻くこれらのリスクを正確に把握しておく必要があります。

ここでは、現場でいま何が起きているのか、その実態に迫ります。

単なる値上げに留まらない「資材の欠品」リスク

今、建設現場で最も恐れられているのが「資材の欠品」です。

日本に石油が輸入されたとしても、それが必ずしも建設資材の生産に回されるとは限りません。

さらに、メーカー側も供給量が限られる中では、長年の信義を守って継続取引してくれていた取引先へ優先的に商品を卸す傾向にあります。

安さだけを求めて頻繁に仕入先を変えていた会社や、新規の取引先には、資材が回ってこないという事態が実際に起きています。

非住宅木造のプロジェクトを安定して進めるためには、日頃から建材メーカーや木材メーカーとの間に強固な信頼関係を築き、いざという時に融通し合えるネットワークを持っておくことが大切です。

資金繰りの悪化と建設業の倒産増加の懸念

資材価格の高騰は、建設会社の利益を直撃し、資金繰りを急激に悪化させます。

近年、増収増益企業が増えながら倒産廃業が増加するという「二極化」が進んでおり、今回の中東情勢でさらにその動きが加速しています。

特に、石油製品への依存度が高い塗装や防水工事などの専門業種や、新築戸建住宅関連の会社は、強い逆風にさらされています。

資金ショートを起こさないためには、手元にお金を持っておくことが一番の対策です。

非住宅木造市場は比較的規模が大きく、事業の柱となり得る分野ですので、自社の強みを活かせる市場を見極めることも重要です。

取引先の見直しと安定した経営基盤の作り方

建設業クライシスを生き残るためには、これまでの慣習にとらわれない「取引先や案件の選別」が不可欠です。

どんぶり勘定での経営はインフレ下では通用しません。

取引先や案件別の利益を見ながら優先度を見直し、無理な条件を強いる弱い元請けとは勇気を持って取引を縮小する決断も必要です。

同時に、特定の地域や限られた顧客に依存するのではなく、営業エリアを広げ、新たな優良顧客を開拓する営業力が求められます。

非住宅木造などの分野へ参入する際は、信頼できる設計事務所とタッグを組むことで、質の高い仕事を受注し、安定した経営基盤を構築していきましょう。

建設業クライシスを乗り越える!木造化・木質化の支援

建設業クライシスを乗り越える!木造化・木質化の支援

これまで解説してきた通り、建設業界は資材高騰や供給不安という大きな試練に立たされています。

しかし、ピンチはチャンスでもあります。

この厳しい環境下だからこそ、環境価値が高く、注目を集めている「非住宅木造」へのシフトは、企業にとって大きな武器となります。

「モクプロ」を運営するハウス・ベース株式会社では、木造化・木質化に挑戦する建築実務者の皆様を強力にバックアップするための多彩なソリューションをご用意しています。

ここからは、設計、実務、そして広報という3つの柱から、皆様のプロジェクトを成功へと導き、企業の成長をサポートする具体的な支援内容をご紹介いたします。

【設計・実務】スムーズな計画と木構造の施工者紹介

非住宅木造に初めて取り組む際、最も大きなハードルとなるのが「設計」と「実務」です。

ハウス・ベースでは、非住宅木造に精通したプロフェッショナルによる強力な「設計支援」を提供しています。

初期の計画段階から、複雑な確認申請のサポートまで、一貫して伴走いたします。

さらに、「実務支援」として、高度な木構造に対応できる優秀な施工者の紹介も行っています。

適切なプレカット工場や、経験豊富な職人を手配することで、資材高騰の波の中でもコストバランスを保ちながら、高品質な木質化プロジェクトを実現します。

また、実務に役立つノウハウを学べる講師の派遣など、技術力の底上げもサポートいたします。

【広報】ウェブサイトやコンテンツ制作による受注拡大

素晴らしい非住宅木造の建物を完成させても、それが顧客に伝わらなければ受注には繋がりません。

そこで重要なのが「広報支援」です。

ハウス・ベースでは、木造建築の魅力を最大限に伝えるためのコンテンツマーケティングを支援しています。

ターゲット層の心を掴むウェブサイトの構築や、専門的な知見を活かした質の高いコンテンツ制作を通じて、御社の技術力と実績を広くアピールします。

SEO対策を施した記事の発信は、新規顧客からの問い合わせを増やす力を持っています。

資材高騰で競争が激化する中、他社との差別化を図り、安定した受注を獲得するための強力な武器としてご活用ください。

ハウス・ベースが提供するプロのためのプラットフォーム

「モクプロ」のコンセプトの核は、建築実務者が抱える不安に寄り添い、挑戦を成功へと導く「プラットフォーム」となることです。

私たちは、単なる情報発信に留まらず、皆様の「ナレッジ」を深め、注目のプロジェクトを解説し、実務者同士が交流できる場を提供しています。

非住宅用途の木造化・木質化に関わる建材メーカー、木材メーカー、工務店、建設会社、設計事務所の皆様が、知見やノウハウを交換し、ネットワークの力で課題を解決できる場所。

それがモクプロです。

ハウス・ベースは、業界全体の成功を支援する不可欠なプロフェッショナルのパートナーとして、皆様と共に建設業クライシスを乗り越えていきます。

まとめ

まとめ 

本記事では、中東情勢の悪化に端を発する「建設業クライシス」について、建材の価格高騰や供給不足の実態、そして国交省による完了検査の柔軟な運用といったルール緩和のポイントを解説してきました。

石油・ナフサ由来の断熱材などの確保が困難な状況下では、設計事務所や施工者が協力し、軽微な変更による手続きの簡略化や省エネ計画の特例を上手く活用することが、実務において極めて重要です。

また、終わりの見えない資材の値上げに対しては、いち早い情報収集と早期の発注、そして適切な価格転嫁の交渉が自社を守る盾となります。

こうした厳しい環境下にあっても、環境価値の高い「非住宅木造」市場は、確かなビジネスチャンスを秘めています。

ハウス・ベース株式会社が運営する「モクプロ」は、木造化・木質化を目指すプロフェッショナルの皆様のためのプラットフォームです。

計画や設計、申請、木構造の技術、そして施工者紹介といった「設計支援・実務支援」から、ウェブサイト構築やコンテンツ制作による「広報支援」まで、多角的なアプローチで皆様のビジネスを強力に後押しします。

建設業界の危機を共に乗り越え、非住宅木造という新たな未来を共に切り拓いていきましょう。

ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援

非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。

諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。

木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。

ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。

「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。

◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出

◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築

【主なサービス内容】

◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。

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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。

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