
静岡県富士宮市に建つ「静岡県富士山世界遺産センター」は、坂茂建築設計による象徴的な「逆さ富士」のフォルムが特徴的な展示施設です。
建物の前面に設けられた水盤にその姿が映り込むことで、雄大な「富士山」の姿が現れるデザインは、世界遺産としての富士山の普遍的な価値を表現しています。
この独創的な形状を覆うのは、地元産の「富士ヒノキ」を使用した繊細な木格子です。
鉄骨造の構造体に木材を意匠的に組み合わせることで、地域の木材産業への貢献と、ダイナミックな建築表現を両立させています。
非住宅建築における地域産材活用の象徴的なモデルケースとして、多くの建築実務者にインスピレーションを与えるプロジェクトです。
静岡県富士山世界遺産センターのコンセプト

- 「逆さ富士」の具現化:富士山の湧き水を引き込んだ水盤に、建物の逆円錐形が映り込み、水面に「正対の富士」を描き出す詩的なコンセプト。
- 疑似登山の体験:内部は1階から最上階まで続く、らせんスロープで構成され、展示を見ながら登ることで富士登山の追体験が可能。
- 地域との調和:神社の鳥居と富士山を結ぶ軸線上に配置され、建物自体が富士宮の景観の一部として機能するよう計画されています。
静岡県富士山世界遺産センターと坂茂建築

- 構造と意匠の融合:紙管や木材など、素材の特性を最大限に活かす坂茂氏の手法が、富士ヒノキの格子デザインに反映されています。
- 象徴性の創出:単に富士山の形を模倣するのではなく、「水に映る」という現象を通して富士山を表すことで、建築に物語性を持たせています。
- 環境への配慮:富士山の湧き水を空調熱源(水冷チラー)に利用するなど、環境負荷低減技術も積極的に導入されています。
静岡県富士山世界遺産センターと逆さ富士

- 幾何学的な挑戦:円錐が上部に向かって広がり、さらに楕円形へと変化する複雑な3次曲面を、建築として成立させています。
- 視線の制御:らせんスロープを登る過程ではあえて富士山を見せず、最上階の展望ホールで初めて本物の富士山と対面するドラマチックな構成。
- 水盤の役割:水盤は景観装置としてだけでなく、周辺の環境温度を下げる冷却効果も期待されています。
静岡県富士山世界遺産センターの設計ポイント

- 鉄骨造+木装飾のハイブリッド:構造体は鉄骨造(S造)で構成し、外装仕上げとして木材(富士ヒノキ)を用いる「木質化」の手法を採用。
- 高難度の木材加工:3次元曲面に合わせて、一本一本形状の異なる木格子を精密に加工・施工する高度な技術力が投入されています。
- 国際認証の取得:使用された木材はSGEC/PEFCプロジェクト認証を取得しており、持続可能な森林経営に貢献しています。
静岡県富士山世界遺産センターと富士ヒノキ

- 地域産材の活用:富士山麓で育った「富士ヒノキ」を約8,000ピース使用し、地産地消を実現しています。
- 耐久性の確保:外部の木格子には超耐候性の撥水剤を塗布し、風雨にさらされる環境下での木の美観維持に配慮されています。
- 「編む」デザイン:木材を単に貼るのではなく、相じゃくり加工で互い違いに組むことで、竹細工のように編み込まれた質感を表現。
静岡県富士山世界遺産センターと木材利用

- 非住宅の木質化モデル:大規模建築において、構造的な制約をS造でクリアしつつ、視覚的なインパクトを木材で担う現実的な解法。
- BIMの活用:複雑な曲面の鉄骨フレームと木格子の取り合いを検討するため、設計・施工段階でBIMがフル活用されました。
- メンテナンス性:将来的な木材の交換やメンテナンスも視野に入れ、部材の取り外しが可能なディテールが検討されています。
静岡県富士山世界遺産センター:ギャラリー





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