東京都江東区新木場。
「木の街」のシンボルとして佇む「木材会館」は、東京木材問屋協同組合の移転に伴い建設された、オフィス兼多目的ホールです。
竣工以来、都市部における中高層建築の木質化を牽引する先駆的な事例として、多くの建築実務者に参照されてきました。
このプロジェクトの最大の特長は、都心の防火地域等の厳しい法規制の中にありながら、大胆に「木を現す」ことに成功している点です。
構造自体はSRC造（一部S造・RC造）でありながら、ファサードや内装に国産の檜（ヒノキ）や杉（スギ）をふんだんに使用。
「燃えない構造」と「魅せる木材」を巧みに組み合わせることで、木の温かみと都市建築の堅牢性を両立させています。
木材のプロフェッショナルである施主と、設計者（日建設計）の技術力が融合した、非住宅木造・木質化の金字塔と言えるプロジェクトです。
木材会館のコンセプト｜「木材のショールーム」の体現
- 都市に森をつくる：無機質な都市景観の中に、圧倒的な木の存在感を放つファサードを創出。
- 伝統と技術の融合：日本の伝統的な木組みの美しさを、最新のデジタル技術で現代建築へと昇華。
- 木材の可能性の提示：構造材としてだけでなく、仕上げ材としての木材の耐久性と美観を実証。
木材会館とファサード
- 檜の角材による圧倒的な表現：ファサードには、105mm角・檜の角材を多用しています。これらは構造体ではなく、バルコニー部分に設置された「木のスクリーン」として機能しており、直射日光の制御とプライバシーの確保を行っています。都市部での木材利用において、メンテナンス性も考慮した「交換可能な部材」として計画されている点が実務的な要点です。
木材会館とデジタルファブリケーション
- NC加工による精密な木組み： 複雑な形状を持つ木材同士の接合には、コンピュータ制御によるNC加工（プレカット技術）が駆使されています。これにより、手加工のような伝統的な継手・仕口の美しさを、工業製品レベルの精度とコスト合理性を持って実現しました。職人不足が叫ばれる建設業界において、テクノロジーによる木造化の可能性を示唆しています。
木材会館のポイント｜適材適所のハイブリッド構造
- 法規制のクリア：防火地域における建築制限に対し、構造と仕上げを分離する手法を採用。
- RCと木の対比：コンクリートの力強さと、木の繊細さを対比させた意匠計画。
- 維持管理への配慮：外部に木を使う際のリスク（腐朽・蟻害）に対する設計上の工夫。
木材会館と混構造
- SRC造をベースとした木質化： 建物の骨格はSRC造（鉄骨鉄筋コンクリート造）とすることで、耐震性と耐火性を確保しています。その上で、人が触れる場所や視線が集まる場所に木材を配置する「木質化」の手法を徹底。すべてを木造にするのではなく、適材適所で素材を使い分ける「ハイブリッド構造」は、コストと工期のバランスが求められる非住宅案件の現実的な解となります。
木材会館と耐久設計
- 雨仕舞と軒の深さ： 外部に木材を使用する際、最大の課題となるのが「水」と「紫外線」です。木材会館では、深い軒（バルコニーの奥行き）を設けることで、木部への雨掛かりを最小限に抑えています。また、通気性を確保したディテールにより、湿気が滞留しない工夫が施されており、経年変化を美しく見せるための建築的な知恵が詰まっています。
木材会館：ギャラリー
ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。
諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。
木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。
ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。
「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。
◾️テーマ：「（木造化+木質化）✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出
◾️活動の主旨：木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築
【主なサービス内容】
◾️広報支援：コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等
◾️設計支援 ：設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等
◾️実務支援 ：木構造支援、施工者紹介、講師等
木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。
