
熊本地震からの創造的復興のシンボルとして、熊本県南阿蘇村に新たな玄関口「立野駅(立野交流施設)」が完成しました。
JR豊肥本線と南阿蘇鉄道が接続し、日本でも珍しいスイッチバックを有するこの駅は、単なる交通結節点ではなく、地域の人々と観光客をつなぐ交流拠点として再生されました。
建築的な最大の特徴は、鉄骨造の主体構造に木造の屋根架構を組み合わせた「混構造(ハイブリッド構造)」である点です。
熊本県産のスギやヒノキをふんだんに使用し、「令和6年度 木材利用推進コンクール」では農林水産大臣賞を受賞しました。
特殊な集成材を使わず、地域で手に入る製材と地域の施工技術だけで実現したこの建築は、非住宅建築の木造化・木質化を目指す実務者にとって、コストと施工性の両面で大きなヒントとなる事例です。
立野駅のコンセプト

立野駅は「阿蘇の玄関口」として、雄大な自然景観と調和しつつ、地震からの復興を象徴するデザインが求められました。
- 復興と結束の象徴:地域コミュニティ再生の核として計画。
- 景観との調和:阿蘇のカルデラや夕日を望む広いテラスを有し、風景を取り込む開放的な構成。
- 素材の温かみ:鉄の強さと木の温かみを融合させ、駅利用者に安らぎを与える空間を創出。
立野駅×復興のシンボル

立野駅は熊本地震で甚大な被害を受けましたが、南阿蘇鉄道全線運転再開に合わせて新駅舎が落成しました。
- 地域の悲願:南阿蘇鉄道とJRをつなぐ結節点としての機能回復。
- 賑わいの創出:待合機能だけでなく、イベントやマルシェに活用できる交流スペースを配置。
- 希望の灯り:夜間には木組みのシルエットが浮かび上がり、地域のランドマークとして機能。
立野駅×空間デザイン

機能性と意匠性を両立させた空間づくりを行っています。
- 大屋根の存在感:水平ラインを強調した大屋根が、駅舎全体を包み込む安心感を演出。
- 視線の抜け:ホームや線路、そして阿蘇の山々へと視線が抜ける透明性の高いファサード。
- 回遊性:駅前広場からホーム、交流スペースへとスムーズに人々を誘引する動線計画。
立野駅の木質化ポイント

木造化支援の視点で特筆すべきは、鉄骨造の合理性と木造の意匠性を巧みに組み合わせた技術的アプローチです。
- 適材適所のハイブリッド:耐震性やスパンが必要な部分は鉄骨、屋根や内装は木造と構造を分担。
- 地域技術の活用:特殊なプレカット技術を必要とせず、地域の工務店が施工可能なディテール。
- コストコントロール:一般流通材を駆使することで、特殊部材によるコスト増を回避。
立野駅×混構造

「鉄骨造+木造屋根」という構成は、法規制やコストの課題が多い非住宅木造において有効な解法の一つです。
- 架構の工夫:鉄骨の主体構造の上に、効率よく木造の小屋組を架ける合理的なシステムを採用。
- 登り梁の活用:大屋根を支える登り梁には、一般流通製材のサイズ内で調達可能な大径材を使用。
- 施工の合理化:異種素材の接合部をシンプルに納め、施工の手間とリスクを軽減。
立野駅×地域材活用

「地産地消」を徹底し、公共建築として地域産業への貢献を実現しています。
- 県産材8割活用:木材使用量の約8割に熊本県産材(スギ・ヒノキ)を採用。
- 設計段階からの連携:設計初期から県のアドバイザーやプレカット業者と協議し、調達可能な木材規格を選定。
- 木質感の演出:軒裏や内装に現し(あらわし)で木材を使用し、非住宅特有の無機質さを解消。
立野駅:ギャラリー




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