【共同住宅】富山県「YKK AP パッシブタウン第5街区」

YKK不動産株式会社が富山県黒部市で進めてきた「パッシブタウン」プロジェクトの集大成として、「YKK AP パッシブタウン第5街区」が竣工しました。

本プロジェクトは、地上7階建て、延床面積9,420.15㎡の賃貸集合住宅です。

「つくるCO2・つかうCO2の最小化」をテーマに、北陸初となる中高層耐火木造建築物を実現しました。

最大の特徴は、富山県産材を約87%使用し、国内初となる中高層耐火木造の「プレファブ化」に挑戦した点です。

耐火仕様の合理化やYKK AP製の木造窓の採用により、標準の約6倍に及ぶ木材使用量(0.317㎥/㎡)を達成しました。

さらに、集合住宅として国内で初めて水素エネルギー「Power to Gas (P2G)」を実装。

パッシブデザインと高断熱設計(UA値0.23)を基盤に、電力自給率95%をめざす「グリーンエネルギーによる自立型集合住宅」です。

中高層建築における木材の活用、プレファブ化による生産性向上、そしてLCA(ライフサイクルCO2)の大幅削減を実現した本事例は、集合住宅に留まらず、今後の非住宅木造建築の可能性を大きく広げるものです。

YKK AP パッシブタウン第5街区のコンセプト

YKK AP パッシブタウン第5街区のコンセプト
  • “つくるCO2・つかうCO2の最小化”によるカーボンニュートラルの実現
  • 地域の森林資源活用(富山県産材87%)と伐採跡地への植林による「つくるCO2ネットゼロ」への挑戦
  • パッシブデザインと国内初のP2G(水素)導入による「つかうCO2」削減
  • ライフサイクルCO2(LCA)を同規模RC造比で約60%削減

YKK AP パッシブタウン第5街区のエネルギー自立

YKK AP パッシブタウン第5街区のエネルギー自立
  • パッシブデザイン(自然採光・換気)をベースに、UA値0.23(住宅性能表示 最高等級7以上)の高気密・高断熱性能を確保。
  • 集合住宅で国内初となる水素エネルギー共有システム「Power to Gas (P2G)」を実装。
  • 太陽光発電の余剰電力を水素に変換して貯蔵(シーズンシフト)し、電力自給率95%の達成を予測。

YKK AP パッシブタウン第5街区のLCA(ライフサイクルCO2)

YKK AP パッシブタウン第5街区のLCA(ライフサイクルCO2)
  • 資材調達から建設、運用、解体・廃棄までのライフサイクル全体でCO2排出量を評価。
  • 県産材の活用と植林による「つくるCO2」削減(建設時)。
  • 高断熱・P2Gによる「つかうCO2」削減(運用時)。
  • 結果として、同規模のRC造集合住宅と比較し、LCAでCO2排出量を約60%削減する見込み。

YKK AP パッシブタウン第5街区のポイント

YKK AP パッシブタウン第5街区のポイント
  • 北陸初となる地上7階建て「中高層耐火木造」集合住宅
  • 富山県産材を87%使用し、標準の約6倍の木材使用量 (0.317㎥/㎡) を達成
  • YKK APによる専用のトリプルガラス木製窓「APW 651」の開発・採用

YKK AP パッシブタウン第5街区のプレファブ構法

YKK AP パッシブタウン第5街区のプレファブ構法
  • オーストリアのHermann Kaufmann氏が基本計画・設計に参画。
  • 国内初となる中高層耐火木造のプレファブ化を実現。
  • 工場生産による高品質化と、現場工期の短縮(生産性向上)に寄与。
  • 中高層木造建築の普及に向けた新たな標準モデルを提示。

YKK AP パッシブタウン第5街区の木造耐火技術

YKK AP パッシブタウン第5街区の木造耐火技術
  • 建物の配置設計を工夫し、延焼のおそれがある部分から外すことで耐火仕様を合理化。
  • 外壁(非耐力)の防火性能を1時間耐火から30分耐火に軽減。
  • これにより開口部(窓)も非防火設備での対応が可能となり、YKK AP製の高性能な「木造窓」の採用が実現。
  • 耐震性と耐火性を保持しつつ、木材活用を最大化する設計。

YKK AP パッシブタウン第5街区の地域木材活用

YKK AP パッシブタウン第5街区の地域木材活用
  • 富山県と「県産材の利用に関する建築木材利用促進協定」を締結。
  • 使用する木材(すべて国産材)のうち、全体の約87%を富山県内から調達。
  • 地域の森林資源活用(つくるCO2削減)に貢献するとともに、伐採跡地への植林活動も実施。
  • 地域内での資源循環とカーボンニュートラル実現に挑戦。

YKK AP パッシブタウン第5街区のギャラリー

YKK AP パッシブタウン第5街区のギャラリー
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ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援

非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。

諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。

木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。

ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。

「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。

◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出

◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築

【主なサービス内容】

◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。

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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。