
沖縄県宮古島市に位置する「みやこ下地島エアポートターミナル」は、リゾート地のエントランスとして機能する空港施設です。
通常、大規模なスパンと高い防災性(特に耐風圧・耐塩害)が求められる空港建築はRC造やS造が主流です。
しかし、本プロジェクトではCLT(直交集成板)や集成材を構造・内外装に積極的に採用した「木造ハイブリッド構造」を実現。
木材の温かみと高い機能性を両立させたデザインは、非住宅・大規模建築における木材利用の可能性を大きく広げた、注目すべき事例です。
みやこ下地島エアポートターミナル:コンセプト

- コンセプトは「空港を“まち”にする」。
- 単なる通過点でなく、誰もが立ち寄れる公園のような施設を目指す。
- チェックイン棟、保安検査棟、搭乗棟を分節し、間に「通りゃんせ(屋根付きの屋外空間)」を配置。
- リゾートの玄関口として、開放的で自然を感じられる空間を創出。
みやこ下地島エアポートターミナル:開放的な空間デザイン

- 利用客の動線に沿って、内部と外部がシームレスに繋がる設計。
- 分節された建屋の間を抜ける「通りゃんせ」は、島の自然な風が通り抜ける快適な半屋外空間。
- 木材を内外装に多用し、空港特有の緊張感を和らげ、リゾートらしい「くつろぎ」を演出。
- 低い軒(のき)が水平ラインを強調し、周辺環境と調和。
みやこ下地島エアポートターミナル:内装木質化の効果

- 構造材である集成材のアーチやCLTの壁・天井をそのまま内装仕上げとして「現し」で使用。
- 木の温もりと質感が、利用者に安心感とリラックス効果を提供。
- 照明計画と合わせ、木材のテクスチャが映える上質な空間を実現。
- 機能的な空港施設でありながら、商業施設やラウンジのような居心地の良さを両立。
みやこ下地島エアポートターミナル:ポイント

- RC造を主構造としつつ、CLTや集成材を構造部材(二次部材)として活用した「木造ハイブリッド構造」。
- 台風常襲地帯特有の強大な風荷重(負圧)に対し、CLTパネルが屋根の水平構面として機能。
- 塩害対策としても、木材の適材適所な利用が有効に働く。
- 空港施設におけるCLT・集成材の構造利用の先駆的事例。

みやこ下地島エアポートターミナル:木造ハイブリッド構造

- 主構造の集成材(大梁)の間に、CLTパネルを小梁兼野地板として架け渡す。
- CLTパネルは、屋根構面全体の剛性を高める「水平ブレース」の役割も担う。
- このハイブリッド化により、鉄骨量を削減しつつ、大スパンと木質感のある意匠を両立。
- 一部の壁(耐風壁)にもCLTが採用され、構造的な合理性を追求。
みやこ下地島エアポートターミナル:CLTと耐風性能

- 沖縄特有の強い台風による「吹き上げ(負圧)」に耐えるため、屋根のCLTパネルが重要な役割を果たす。
- CLTは面全体で力を受けるため、高い剛性を発揮。
- 木材は塩害による錆の心配がなく、沿岸部の施設において耐久性向上にも寄与。
みやこ下地島エアポートターミナル:ギャラリー











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