
岡山県真庭市に位置する「銘建工業本社事務所」は、国内有数のCLT(Cross Laminated Timber)・集成材メーカーである銘建工業が、自らの技術力と木造建築の可能性を体現するために建設した木造オフィスです。
このプロジェクトは、施主が持つ木材に関する深い知見と製造技術を、設計・施工パートナー(設計:NKSアーキテクツ・桃李舎、施工:大本組)が最大限に引き出した、まさに「木材のプロ」によるフラッグシップ・プロジェクトと言えます。
延床面積約990m²の建物は、自社製造の大判CLT(最大12m級)とアカマツ集成材による「菱組(ひしぐみ)」トラスを組み合わせた、独創的かつ合理的な架構システムを採用しています。
構造体をそのまま「現し」にしたダイナミックな内部空間は、木造建築の構造美と木の持つ温かみを、訪れる人々に強く印象付けます。
さらに、CLTパネルのプレビルド化による大幅な工期短縮(木構造部分の建て方 約1ヶ月)の実現や、吹き抜けの大空間を活かしたフリーアドレスの導入など、非住宅木造化における「施工性」と「働き方」の革新を提示する、関係者必見の事例です。
銘建工業本社事務所:CLTと集成材が織りなす構造美

本プロジェクトの核となるのは、施主である銘建工業の製品(CLT・集成材)のポテンシャルを最大限に引き出した独自の構造計画です。
- Y方向(長手方向): アカマツ集成材による「菱組」トラス架構を採用。この菱組が主要な耐震要素として機能します。
- X方向(短手方向): 大判CLTパネルによる格子梁架構で構成。
- 屋根・梁: CLT製のV型梁と屋根を、菱組トラスに「橋のように」架け渡すことで、柱の少ない開放的な大空間を実現しています。
銘建工業本社事務所と「大判CLT」の可能性

メーカーだからこそ可能な、最大12m級の大判CLTを構造体(壁・床・屋根・V型梁)に惜しみなく使用しています。
- CLTの構造性能をフルに活用し、高い耐震性能を確保。
- CLTの接合部には鉄骨「ラチス」金物を使用し、あえて意匠として「現し」にしています。
- この接合部の隙間が、光と風の通り道として機能し、快適な執務環境の構築にも貢献しています。
- 木材の構造体を見せるデザインが、そのまま自社製品のショールームとして機能しています。
銘建工業本社事務所:メーカーが示す木造化の利点

この事務所は、施主(木材メーカー)自らが非住宅を木造化する際の具体的なメリットとソリューションを実践・提示する場となっています。
- 工期短縮: CLTパネルのプレビルド化(工場での設備配管組込など)を推進し、現場工期を大幅に短縮(木構造部分の建て方 約1ヶ月)。
- 働き方の変革: 吹き抜けの大空間やフリーアドレス、カフェスペースの導入により、部門を超えたコミュニケーションを活性化。
- 技術力の訴求: 構造材や金物を「現し」にすることで、自社の技術力と木材の魅力を来訪者にダイレクトに伝えています。
銘建工業本社事務所と「施工性」の追求

木造化・木質化プロジェクトの実現には、設計・製造・施工の連携が不可欠です。本事例は、その理想的なプロセスを示しています。
- CLTパネル工法の特性を活かし、製造・施工のプロセスから逆算した合理的な設計。
- 工場でのプレカット・プレビルドを徹底し、現場作業を最小限に。これにより高い施工精度と工期短縮を両立しました。
- 現場での湿式工事が少ないため、迅速な事業開始が可能となり、建設コストの最適化にも寄与しています。
銘建工業本社事務所ギャラリー











ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
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