
「このまま住宅建築だけで、10年後も会社は大丈夫だろうか?」
多くの工務店や建設会社の経営者様が、このような不安を抱えているのではないでしょうか。
事実、日本の住宅市場は長期的な縮小トレンドに入っており、資材価格の高騰や「2025年問題」に代表される人材不足も深刻です 。
厳しい価格競争や利益の圧迫に、頭を悩ませる日々をお過ごしかもしれません。
しかし、このような厳しい状況だからこそ、新たなチャンスが生まれています。
それが、「非住宅木造建築」という成長市場です。
現在、国を挙げて脱炭素社会の実現が推進されており、その切り札として建築物の木造化が強力に後押しされています 。
特に2021年に改正された「都市の木造化推進法」により、これまで対象外だった民間の非住宅建築物にも木材利用の波が押し寄せ、市場は急拡大しています 。
「非住宅は法規が複雑そう」
「特殊な技術が必要で、うちには無理だ」
と感じるかもしれません。
しかし、そのハードルは皆さんが思うほど高くはありません。
住宅建築で培ってきた技術を活かせる領域も多く、段階的にステップアップしていくことで、リスクを抑えながら参入することが可能です。
この記事では、非住宅木造市場への参入を検討する工務店・建設会社の皆様が抱える不安に寄り添い、具体的な課題解決の道筋を示す「参入ガイド」として、市場の可能性から法規・技術のポイント、成功戦略までを分かりやすく解説します。
新たな事業の柱を築くための、確かな一歩を踏み出しましょう。
なぜ今、非住宅木造なのか?市場の現状と未来

これまで多くの建設会社を支えてきた住宅市場。
しかし、その足元は大きく揺らいでいます。
一方で、時代の要請を受けて急成長を遂げているのが非住宅木造市場です。
このコントラストを正しく理解することこそ、未来の経営戦略を描く上での第一歩となります。
なぜ今、私たちは非住宅木造に注目すべきなのでしょうか。
データに基づき、その理由を解き明かしていきます。

縮小する住宅市場と建設業界の2025年問題
多くの工務店・建設会社にとって、住宅建築は事業の根幹をなすものです。
しかし、残念ながらその市場は、複数の構造的な要因によって長期的な縮小が避けられない状況にあります。
日本の新設住宅着工戸数は近年80万戸台で推移していますが、2040年には約58万戸まで落ち込むという厳しい予測も出ています 。
人口動態の変化により、新たに家を建てる層そのものが先細りしているのです 。
さらに、世界的な資材価格の高騰や労務費の上昇は、建設コストを押し上げ、利益の確保をますます困難にしています 。
追い打ちをかけるように、2025年4月からは省エネ基準適合の義務化や「4号特例」の縮小が始まり、業務負担とコストの増加は避けられません 。
こうした逆風の中、縮小するパイを奪い合う消耗戦から抜け出し、新たな成長分野に目を向ける必要性が高まっています。
国が後押しする非住宅木造市場の驚異的な成長性
住宅市場とは対照的に、非住宅分野における木造建築市場は、まさに「追い風」を受けています。
この勢いは今後も続くとみられており、2030年度には市場規模が工事費予定額ベースで1兆円を超えるまで拡大すると予測されています 。
この成長の背景には、まだ開拓の余地が大きいという市場の特性があります。
2023年時点での非住宅建築物における木造率はわずか5.8% 。
これは、裏を返せば90%以上の市場が未開拓であり、巨大な成長ポテンシャルを秘めていることを意味します。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造と木材を組み合わせたハイブリッド構造の採用も増えており、木材利用の可能性はますます広がっています 。
縮小する市場から成長する市場へ。この流れに乗ることは、企業の持続的な成長にとって不可欠な戦略と言えるでしょう。
脱炭素社会の実現に向けた「ウッド・チェンジ」という追い風
非住宅木造市場の急成長は、一過性のブームではありません。
その根底には、「2050年カーボンニュートラル実現」という日本の国家目標があります 。
木は成長過程でCO2を吸収し、建材として利用されることで長期間にわたり炭素を貯蔵します 。
この「第二の森林」ともいえる木造建築の推進は、脱炭素社会を実現するための重要な柱と位置づけられているのです。
この国策は「ウッド・チェンジ」という大きな潮流を生み、今や多くの企業がESG投資やSDGs達成の一環として、自社の店舗やオフィスを木造で建てることを選択しています 。
そして決定打となったのが、2021年の「都市の木造化推進法」への法改正です。
これにより、木材利用促進の対象が公共建築物だけでなく、民間建築物を含む「建築物一般」へと拡大されました 。
国が法律を整備し、需要を創出し、補助金で後押しする。
これほど強力で安定した市場環境は、新規事業を考える上でまたとないチャンスと言えるでしょう。
非住宅木造参入の2大ハードル「法規」と「技術」を徹底解説

「非住宅木造に興味はあるけれど、法律が複雑で難しそう」
「CLTや大断面集成材なんて、特殊な技術は持っていない」
そう感じて、一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
確かに、非住宅建築には住宅とは異なる知識が求められます。
しかし、近年の法改正や技術の進歩により、これらのハードルは以前よりもずっと低くなっています。
ここでは、参入の際に壁となりがちな「法規」と「技術」について、そのポイントを分かりやすく解説し、皆さんの不安を解消します。

意外と難しくない?建築基準法の防耐火規定を読み解く
かつて都市部での木造建築を阻んでいた厳しい防耐火の規制は、近年大きく緩和され、むしろ新たな設計の可能性を広げる機会へと変わりつつあります。
特に大きなポイントは、木造で建てられる建物の高さ制限が緩和されたことです。
以前は高さ13m(おおよそ4階建て)を超えると原則として高コストな「耐火建築物」にする必要がありましたが、法改正により高さ16m以下であれば、より柔軟でコストを抑えやすい「準耐火建築物」などの選択肢で建設可能になりました 。
また、「燃えしろ設計」という考え方が明確に位置づけられたことも重要です 。
これは、火災時に柱や梁の表面が燃えて炭化層を形成し、内部の構造部分を守るという木材の性質を活かした設計手法です。
これにより、構造材である木を内装にそのまま見せる「あらわし」のデザインが可能になり、意匠性とコスト削減を両立しやすくなりました。
もちろん、建物の規模や用途、建設地によって守るべきルールは異なりますが 、これらの規制緩和を正しく理解すれば、木造建築の新たな可能性が大きく広がります。
まずはここから!在来工法で始められる非住宅建築
「新しい技術を覚えるのは大変だ」と感じるかもしれませんが、ご安心ください。
非住宅木造への参入は、必ずしも最先端の特殊技術から始める必要はありません。
実は、延床面積500㎡未満の小規模な低層非住宅建築物であれば、多くの工務店が習熟している住宅向けの「在来軸組工法」の技術をそのまま応用できるケースが非常に多いのです 。
例えば、小規模なクリニックや地域の店舗、事務所、自家用倉庫などは、構造的に大規模な住宅と大きく変わりません 。
柱と梁で骨組みを作り、筋交いで補強する伝統的な工法は、設計の自由度が高く、多くの大工さんにとって馴染み深いものです 。
もちろん、バリアフリー対応や消防設備など、住宅とは異なる規定への対応は必要ですが、構造の基本は同じです。
まずは自社の得意な技術を活かせるこの領域からスタートし、実績と経験を積むことが、リスクを抑えた賢明な第一歩と言えるでしょう。
CLT・大断面集成材・SE構法…先進技術の基礎知識
在来工法で実績を積んだ次のステップとして、より大規模でデザイン性の高い建築物を可能にする先進技術にも目を向けてみましょう。
ここでは代表的な3つの技術を簡単にご紹介します。
1. CLT(Cross-Laminated Timber):挽き板の繊維方向を直交させて積層接着した巨大な木製パネルです 。コンクリートに匹敵する強度を持ちながら軽量で、耐震性や断熱性に優れています 。工場で精密に加工されるため、現場での工期を大幅に短縮できるのが大きなメリットです。
2. 大断面集成材:大きな断面を持つ柱や梁で、体育館のような長大なスパンを持つ空間や、アーチ状の美しいデザインを実現できます 。燃えしろ設計により高い耐火性も確保でき、意匠性の高い建築で力を発揮します 。
3. SE構法:構造用集成材の柱と梁を独自の金物で接合する、高精度な木造ラーメン構法です。全棟で構造計算を行うため耐震性が非常に高く、柱の少ない大空間や大きな窓を自由に設計できます 。システム化されているため品質が安定しており、中規模建築へのステップアップに適しています 。
これらの技術は、それぞれに特徴があります。
プロジェクトの規模や求められる性能に応じて、最適な技術を選択することが重要です。
【3ステップ】リスクを抑えて非住宅木造へ参入する具体的な手順

非住宅木造市場が有望であることは分かった。
しかし、具体的に何から手をつければ良いのか、見当がつかない方も多いでしょう。
大切なのは、いきなり背伸びをせず、自社の現在の実力に見合った領域から着実にステップアップしていくことです。
ここでは、住宅建築を主としてきた工務店・建設会社が、リスクを最小限に抑えながら非住宅木造市場へ参入するための、現実的な3つのステップをご紹介します。
このロードマップに沿って進むことで、着実に経験と実績を積み重ねていくことができるはずです。

ステップ1:得意な技術で実績作り(小規模店舗・倉庫など)
最初のステップは、これまでに培ってきた自社の強みを最大限に活かすことです。
具体的には、住宅建築で慣れ親しんだ「在来軸組工法」がそのまま通用する、小規模・低層の非住宅プロジェクトにターゲットを絞ります 。
理想的なのは、地域の個人経営の店舗やクリニック、小規模なオフィス、自家用倉庫などです 。
これらは構造的に住宅と類似点が多く、参入のハードルが最も低い領域です。
まずは自社の営業エリア内でこうした需要を探し、1〜2件でも確実にプロジェクトを成功させることが重要です。
この段階で、非住宅特有の法規(避難経路や消防設備など)への対応や、後述する補助金の申請プロセスに慣れておくことで、次のステップへの確かな足がかりを築くことができます。
焦らず、まずは得意な土俵で「非住宅の実績」というポートフォリオを作るところから始めましょう。
ステップ2:専門家と連携して領域拡大(福祉施設・保育園など)
ステップ1で自信と実績をつけたら、次はいよいよ事業領域を拡大していきます。
このフェーズでは、保育園や高齢者福祉施設、3〜4階建ての事務所ビルといった、より規模が大きく、準耐火構造などが求められる中規模プロジェクトに挑戦します 。
これらの建物は、木の持つ温かみや快適性が特に評価されやすい分野でもあります。
しかし、中規模以上の木造建築では、専門的な構造計算が不可欠となり、ここが最初の大きな壁となります。
そこでおすすめしたいのが、「専門家との戦略的提携」です。
自社で構造設計者を抱えるのではなく、木造に特化した構造設計事務所や技術コンサルタントとプロジェクト単位で協力するのです 。
これにより、初期投資のリスクを負うことなく、より高度な案件に挑戦し、収益を上げながら社内にノウハウを蓄積していくことができます。
また、SE構法のように構造設計から部材供給までがパッケージ化されたシステムを導入するのも有効な手段です 。
外部の力を賢く借りることが、このステップを成功させる鍵となります。
ステップ3:先進技術で市場をリード(中大規模建築)
これまでのステップで蓄積した技術力、実績、そして専門家とのネットワークを基盤に、いよいよ市場のリーダーを目指す最終段階に入ります。
このフェーズでは、CLTや大断面集成材といった最先端の木造技術を本格的に活用し、中高層の複合商業ビルや体育館などの大規模な公共施設、デザイン性の高いランドマーク建築といった、高付加価値なプロジェクトに挑戦します 。
ここでの目標は、単に施工を請け負うだけでなく、プロジェクトの企画段階から木造化のメリットを提案できる技術的パートナーとなることです。
また、自治体や大手デベロッパーと、より強固なパートナーシップを構築し、安定的な受注パイプラインを確保することも重要です 。
この段階に至れば、貴社はもはや単なる地域の工務店ではなく、都市の木造化を牽引するリーディングカンパニーとなっているはずです。
地域工務店だからこそ勝てる!非住宅木造の成功戦略

非住宅木造市場には、全国展開する大手ゼネコンも注目しています。
「そんな大きな相手と戦って勝てるのか?」
と不安に思うかもしれません。
しかし、心配は無用です。
地域に深く根を張ってきた工務店・建設会社には、大手にはない強力な武器があります。
それは「地域との繋がり」です。
この地域性を最大限に活かすことで、価格競争とは一線を画した独自のポジションを築くことが可能です。
ここでは、地域工務店ならではの勝利の方程式を具体的に解説します。

「地域材」活用でブランド価値と競争力を高める方法
自社が拠点を置く地域で育った木材、いわゆる「地域材」を積極的に活用することは、極めて有効な戦略です。
地域材を使うことは、輸送距離が短縮されるためCO2排出量を削減できるという環境面のメリットだけでなく、地域の林業や木材産業を活性化させ、地域経済に貢献するという社会的な意義も持ちます 。
この「地域の森の木で、地域の建物を建てる」というストーリーは、特に地方自治体が発注する公共施設や、地域に根差した民間施設(地元のクリニックや店舗など)の施主に対して、非常に強い共感と説得力を持ちます。
さらに、多くの都道府県や市町村では、地域材を一定割合以上使用するプロジェクトに対して独自の補助金制度を設けています 。
これは直接的なコストメリットとなり、鉄骨造などに対する価格競争力を高める強力な武器になります。
地域材の活用は、環境・社会・経済の三方良しの取り組みであり、企業のブランド価値を大きく向上させる一手となるでしょう。
知らないと損!返済不要の補助金・助成金活用術
非住宅木造建築の推進は国策であるため、参入を後押しするための非常に手厚い補助金・助成金制度が用意されています。
これらを活用しない手はありません。
事業計画を立てる際は、必ず補助金の活用を前提に資金計画を組み立てましょう。
国の制度としては、主に3つの省庁が中心となっています。
- 林野庁:「林業・木材産業循環成長対策」など、木造化・木質化そのものを支援する大規模な交付金があります 。
- 国土交通省:「優良木造建築物等整備推進事業」は、先導的な木造建築プロジェクトの調査設計費や工事費の一部を補助する中心的な制度です 。
- 環境省:「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」では、省エネビル(ZEB)の実現を支援しており、CLTなどの木質材料を使う場合に採択で有利になることがあります 。 これらに加え、前述の通り多くの都道府県や市町村も独自の補助金を用意しています 。重要なのは、これらの制度を戦略的に組み合わせることです。プロジェクトによっては、国の制度と自治体の制度を併用することも可能で、事業者の負担を大幅に軽減できます。ただし、公募期間が限られているものが多いため、常に最新の情報を収集し、計画の早い段階から申請準備を進めることが成功の鍵です 。
安定供給の鍵!「森から現場まで」のサプライチェーン構築
非住宅木造、特に中大規模の建築プロジェクトを成功させる上で生命線となるのが、品質・性能が保証された「JAS構造材」を、必要な時に必要なだけ安定的に調達できる体制です。
しかし、地域によってはJAS認定工場の数が少なかったり、林業者から製材工場、工務店までの連携が不十分だったりして、安定供給が課題となるケースも少なくありません 。
ここで活きてくるのが、地域工務店ならではのネットワークです。
地域の森林組合やJAS認定工場と日頃から顔の見える関係を築き、将来の建築計画などの情報を早期に共有することで、木材の安定確保に繋がります。
また、地域の木材関連事業者が集まる協議会などに積極的に参加し、需要と供給のマッチングを図ることも有効です 。
このように、地域のプレイヤーと連携して「森から現場まで」の強固なサプライチェーンを構築することは、全国規模の画一的な調達網に頼る大手企業には真似のできない、地域工務店ならではの競争優位性となるのです。
【用途別】非住宅木造の成功事例から学ぶ勝ちパターン

理論や戦略を学んでも、具体的なイメージが湧かなければ、なかなか最初の一歩は踏み出せないものです。
そこで本章では、実際にどのような非住宅建築物が木造で建てられ、成功を収めているのかを、用途別に具体的な事例を交えてご紹介します。
これらの事例から、それぞれの分野で木造建築がどのような価値を提供し、施主や利用者に評価されているのかを学ぶことで、自社が参入すべきターゲット市場や、顧客への提案の切り口が見えてくるはずです。

デザイン性が集客に繋がる「店舗・クリニック」
店舗やクリニックといった商業施設は、非住宅木造市場への最も現実的な参入点の一つです。
この分野では、木造建築が持つ温かみのあるデザイン性や自然な風合いが、単なる「建物」としてだけでなく、顧客を引きつけ、ブランドイメージを高める「商業的な価値」に直結します。
例えば、大手チェーンであるマクドナルドやローソンも、環境配慮の象徴として木造店舗を展開し、企業イメージの向上に繋げています 。
また、SE構法などを活用すれば、店舗に不可欠な柱の少ない開放的な空間や、ガラスを多用したモダンなファサードも実現可能です 。
クリニックであれば、「森林浴のできるクリニック」といったコンセプトを掲げ、木質空間がもたらす癒し効果そのものを施設の付加価値としてアピールできます 。
木造は、訪れる人に安らぎと心地よさを与え、滞在時間を延ばし、リピートに繋げる力を持っているのです。
木のぬくもりが価値になる「福祉施設・保育園」
高齢者福祉施設や保育園は、現在、非住宅の中でも特に木造化の需要が高まっている成長市場です。
その理由は、木という素材が持つ特性と、これらの施設が求める機能が見事に合致しているからです。
木質空間には、利用者のストレスを軽減し、穏やかな気持ちを育む効果があることが科学的にも報告されています 。
また、木の床はコンクリートに比べて弾力性があり、子どもやお年寄りが転倒した際の衝撃を和らげる効果も期待できます 。
ある高齢者施設の事例では、木の香りと温かみが入居者から高く評価されているだけでなく、働くスタッフからも「足腰が疲れにくい」と好評で、さらには木造の美しい外観が新規スタッフの採用にも繋がっているといいます 。
利用者、運営者、そしてスタッフの三方にとってメリットをもたらす木造建築は、ケアの質や安全性が最優先されるこれらの施設において、まさに最適な選択肢と言えるでしょう。
コスト競争力で勝負する「倉庫・工場」
伝統的に鉄骨造(S造)が主流であった倉庫や工場といった産業施設においても、木造は新たな選択肢として注目を集めています。
特に中小規模の自家用倉庫などでは、コスト面で大きなメリットを発揮する可能性があります。
近年、鉄骨価格が高騰を続ける中で、木造は相対的にコストを抑えやすくなっています。
特に大きな違いが生まれるのが「基礎工事」です。
木造は鉄骨造に比べて建物全体の重量が軽いため、基礎を簡素化でき、工事費を大幅に削減できるケースがあるのです 。
また、工場で加工された部材を現場で組み立てる乾式工法が中心のため、工期を短縮しやすいのも魅力です 。
さらに、木材の高い断熱性能は、倉庫内の温度環境を安定させ、保管物の品質維持や空調コストの削減にも貢献します 。
柱の少ない大空間が必要な場合でも、木造トラスなどの技術で対応可能です 。
これまで選択肢に無かった倉庫・工場分野も、木造の新たなフロンティアとなり得るのです。
まとめ

本記事では、縮小する住宅市場という課題に直面する工務店・建設会社の皆様に向けて、新たな成長分野である「非住宅木造市場」への参入ガイドを解説してきました。
市場の動向から具体的な参入ステップ、そして成功戦略までを見てきましたが、重要なポイントを改めて振り返ってみましょう。
第一に、非住宅木造市場は、脱炭素という国家的な目標に後押しされた、長期的に安定した成長市場であるということです。
これは、一過性のブームではなく、確かな事業機会と言えます。
第二に、参入の障壁と考えられがちな法規制や技術習得は、決して乗り越えられない壁ではないということです。
法改正による規制緩和が進み、また、在来工法が活かせる小規模案件から段階的に挑戦することで、リスクを管理しながら着実にステップアップが可能です。
第三に、地域工務店ならではの強みが、この市場では大きな競争力になるという点です。
地域材の活用、地域の事業者との連携によるサプライチェーン構築は、大手企業にはない独自の価値を生み出します。
そして最後に、国や自治体による手厚い補助金制度が、皆さんの新たな挑戦を力強く後押ししてくれるということです。
非住宅木造への参入は、単に新しい工法を取り入れることではありません。
それは、会社の未来を切り拓くための経営戦略そのものです。
もちろん、未知の領域への挑戦には不安が伴うでしょう。
しかし、この記事でご紹介したように、確かな情報と戦略、そして一歩を踏み出す勇気があれば、道は必ず開けます。
私たち「モクプロ」は、建築実務者が抱える不安に寄り添い、その挑戦が成功へと繋がるためのプラットフォームでありたいと考えています。
この記事が、皆様の輝かしい未来への第一歩となることを心から願っています。

ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。
諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。
木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。
ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。
「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための実務支援チームです。
◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出
◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築
【主なサービス内容】
◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等
◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等
◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等
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