非住宅木造の木材価格動向【2026年4月版】と木造化・木質化支援

非住宅木造の木材価格動向【2026年4月版】と木造化・木質化支援

非住宅木造に取り組む設計事務所や工務店などの建築実務者向けに、2026年4月版の最新木材価格動向を解説します。

輸入材や集成材、副資材の価格高騰リスクと、国産材の状況を網羅。

ハウス・ベースが運営する「モクプロ」の木造化・木質化支援(広報支援、設計支援、実務支援)についても紹介し、非住宅木造に関して、お役に立つ情報をお届けします。

    INDEX

    輸入材の価格動向:減産と円安によるコスト上昇

    輸入材の価格動向:減産と円安によるコスト上昇

    日本木材総合情報センターの2026年3月の発表によると、輸入材の価格には上昇の動きが見られます。

    米国内での需要低下やカナダでの原木伐採の低調により、サプライヤーが大幅な減産を行ったためです。

    これに歴史的な円安が重なり、日本国内への「輸入インフレ」として調達コストが増大しています。

    建材メーカーや木材メーカーにとって、海外の木材価格の変動は非常に重要な指標となります。

    ここでは、米マツなどの輸入材の価格上昇の背景や、中東情勢が物流に与える懸念、そして実際の輸入データから読み取れる国内の実需不足の影響について詳しく解説します。

    米マツなど輸入材の卸売価格が上昇している背景

    カナダや米国からの輸入材は、現地での大幅な減産により流通在庫が減少し、それが価格上昇につながっています。

    国内での需要が大きく伸びていないにもかかわらず、輸入金額が増加している状況は、日本市場に調達コストの押し上げをもたらしています。

    これにより、米マツなどの丸太の卸売価格は上昇傾向にあります。

    設計の初期段階で過去の単価を前提にしていると、予算が合わなくなるリスクが高まります。

    輸入材に依存する計画では、為替や現地生産の動向を正確に把握し、ウェブサイトや広報を通じて事業主へ丁寧に説明することが求められます。

    イラン情勢など地政学リスクがもたらす物流への懸念

    2026年に入り、米国とイスラエルによるイラン攻撃など中東情勢の悪化が表面化しました。

    現時点では木材価格への直接的な影響は限定的と見られていますが、今後コンテナ問題に発展する可能性があります。

    輸送ルートの迂回などによりコンテナ運賃が高騰すれば、それが木材の価格上昇につながるおそれがあります。

    また、大型トラックの燃料である軽油の動向にも厳しい見方が広がっており、すでに入荷の遅れが生じているケースも報告されています。

    こうした地政学リスクは、工務店や建設会社にとって見過ごせない要因です。

    乱高下する輸入データと実需不足が及ぼす影響

    2026年初頭の木材輸入データを見ると、月ごとに激しい乱高下が起きています。

    1月は主要な供給国からの輸入額が大きく増加しましたが、翌2月には急激に減少しました。

    この動きは、コンテナ船のスケジュール遅延による荷物の集中などのロジスティクス上のノイズが含まれていると考えられます。

    そして、2月の急減は、国内の実需不足による新規発注の手控えが顕在化した結果と言えます。

    非住宅木造の計画においては、こうした一時的なデータの動きに惑わされず、全体のトレンドを冷静に見極める実務の能力が必要です。

    国産材の価格動向:安定推移するスギとヒノキ

    国産材の価格動向:安定推移するスギとヒノキ

    輸入材の価格が上昇し、供給への不安が高まる中で、注目を集めているのが国産材です。

    林野庁の直近のデータによると、スギやヒノキといった国産材の原木価格は、激しい外部環境の変化に対して比較的安定した推移を見せています。

    これは、非住宅木造プロジェクトにおいて価格変動リスクを抑えるための有効な手段となります。

    ここでは、全国的なスギ・ヒノキの価格動向と、地域ごとの需要の変化によって生まれる価格差、そして国産材を活用することで得られるコスト面のメリットについて詳しく見ていきます。

    スギ・ヒノキ原木の全国的な価格安定と供給状況

    国内の林業地帯では、間伐が順調に進んでおり、丸太の供給が安定している地域が多く見られます。

    全国的なマクロトレンドとして、スギの原木価格は12,000円から16,500円、ヒノキは19,000円から24,000円の範囲で推移しています。

    極端な暴騰や暴落は見られず、安定した状態を保っています。

    スギやヒノキの製品には不足感から引き合いがあるものの、全体としては保合(横ばい)で推移しています。

    設計事務所や工務店にとって、価格が安定している国産材を計画の基準に据えることは、安心してプロジェクトを進めるための第一歩となります。

    地域ごとの需要の変化がもたらす価格差のメカニズム

    全国的には安定している国産材ですが、地域ごとに細かく見ると需給のギャップによる価格の変化が起きています。

    例えば、住宅着工が減少した影響で、首都圏に近い地域では高級材であるヒノキの需要が減り、価格が下落しているケースがあります。

    一方で、特定の補助金事業や非住宅プロジェクトにおける局地的な需要の増加により、価格が上昇している地域も見られます。

    実務においては、地域の木材メーカーや製材所の最新情報を収集し、どこでどのような木材が求められているかを把握することが重要です。

    非住宅木造における国産材を活用したコスト対策

    非住宅用途の木造化において、数年がかりのプロジェクトを進める際、国産材を選択することは極めて合理的なリスク対策となります。

    輸入材と比べて価格の変動が少ないため、設計の初期段階で予算を策定すれば、完成までに資材費が急増するリスクを大幅に軽減できます。

    また、価格が安定している国産材を中心に据えた計画は、事業主に対する説得力のある提案資料となります。

    ウェブサイトでの広報やコンテンツ制作においても、「地産地消」や「環境への配慮」といった分かりやすいメッセージを発信できるため、企業価値の向上につながります。

    加工木材の価格動向:高騰する集成材と合板

    加工木材の価格動向:高騰する集成材と合板

    中大規模の非住宅木造において、欠かすことのできないのが集成材や合板といった加工木材(エンジニアリング・ウッド)です。

    しかし、これらの建材も価格高騰の波に直面しています。

    欧州産の構造用集成材は産地でのコスト高により値上げが続いており、国産の合板も原木価格の上昇を理由に価格転嫁が始まっています。

    ここでは、集成材や合板市場の厳しい現状と、現場での加工を減らすために高まるエンジニアリング・ウッドへの依存度について解説し、設計や施工における対策の重要性をお伝えします。

    欧州産集成材の大幅な値上げと㎥8万円台の現実

    非住宅木造の骨格となる欧州材や国産の構造用集成材は、現在、強い値上げの動きを見せています。原板価格の高止まりやエネルギーコストの上昇などを背景に、国内の大手メーカーが値上げを発表し、他社もそれに追随しています。

    市場価格は「1立方メートルあたり8万円台」に乗る勢いです。

    非住宅建築では数百から数千立方メートルの木材を使用するため、わずかな単価の上昇が原価を数百万円規模で押し上げてしまいます。

    建築実務者は、こうしたコスト増を織り込んだ上で、いかに経済的な木構造を設計するかが問われています。

    スギ原木コストの上昇に伴う国産合板の価格転嫁

    合板市場においても、コスト上昇の波が押し寄せています。

    スギの原木コストの上昇に伴い、合板メーカーによる価格転嫁が始まっています。

    また、輸入合板に関しても、マレーシアなどからの入荷が復活し増加しているものの、全体としてコスト高の傾向は否めません。

    非住宅の壁や床の下地として不可欠な合板の価格上昇は、プロジェクト全体の採算性に影響を与えます。

    建材メーカーや工務店は、常に最新の価格動向をチェックし、早めの調達計画や予算の見直しを行うなど、実務レベルでの迅速な対応が求められます。

    非住宅木造で高まるエンジニアリング・ウッドへの依存

    輸入データを見ると、現場で加工が必要な「製材」の輸入が減少しているのに対し、工場で品質が均一化された「合板」や「集成材」の輸入が堅調に増加しています。

    これは、非住宅木造や大型プレカット工場において、強度計算が容易で寸法の狂いが少ないエンジニアリング・ウッドへの需要が高まっていることを示しています。

    複雑な木構造の設計を標準化・合理化するために加工木材への依存が強まる中、これらの資材価格の高騰はより深刻な問題となります。

    一般流通材を活用するなど、特定の加工木材に頼りすぎない設計の工夫が必要です。

    副資材の価格動向:地政学リスクによる連鎖的な値上げ

    副資材の価格動向:地政学リスクによる連鎖的な値上げ

    非住宅木造プロジェクトの予算を大きく左右するのは、木材本体の価格だけではありません。

    接着剤や断熱材、耐火被覆のための石膏ボードといった「副資材」のコスト高騰が、現在最も警戒すべき課題となっています。

    中東情勢の悪化に伴う原油価格の変動や物流の混乱が、これらの副資材の供給不安や連鎖的な値上げを引き起こしています。

    ここでは、接着剤や断熱材の供給に関する問題、石膏ボードの大幅な値上げが耐火設計に与える影響、そして他産業との資源獲得競争について解説します。

    中東情勢の悪化による接着剤や断熱材の供給不安

    中東情勢の悪化による影響は、木材の接着剤や断熱材といった副資材に直撃しています。

    集成材の製造や現場での施工に不可欠な接着剤は、石油化学製品のコスト増により供給不安が浮上しています。

    また、主要メーカーによる断熱材の大幅な値上げや供給遅れの動きも顕在化しています。

    非住宅木造では高い省エネ性能が求められるため、断熱材のコスト増は事業の採算性を直接的に圧迫します。

    建設会社や設計事務所は、代替品の検討やスケジュールの見直しなど、柔軟な実務の対応が求められています。

    石膏ボード20%値上げが耐火設計に与える深刻な影響

    非住宅用途の木造建築において、防耐火性能を確保するために欠かせないのが石膏ボードです。

    しかし、業界最大手のメーカーが石膏製品の「20%値上げ」を発表しました。

    これは、木材を分厚い石膏ボードで被覆する耐火構造のコストを急騰させ、鉄骨造に対するコスト競争力を大きく揺るがす事態です。

    設計実務においては、価格が高騰する石膏ボードに依存しすぎず、木材をあらかじめ太くして火災時に内部を守る「燃え代設計(あらわし工法)」を検討するなど、新しいアプローチが必要です。

    木質ペレット需要の急増による他産業との資源競合

    さらに見過ごせない動向として、木質ペレットの輸入が急増していることが挙げられます。

    木質ペレットは主にバイオマス発電の燃料として使われますが、その原料となる木質繊維は、建築用のパーティクルボードなどの原料と完全に競合しています。

    つまり、エネルギー産業との資源獲得競争が激化することで、木質建材のコストが長期的かつ構造的に上昇するリスクがあるのです。

    建材メーカーや木材メーカーは、こうした異業種のトレンドも視野に入れ、安定的なサプライチェーンを構築するための情報収集を行っていく必要があります。

    非住宅木造オウンドメディア「モクプロ」と木造化・木質化支援

    非住宅木造オウンドメディア「モクプロ」と木造化・木質化支援

    非住宅木造市場は大きな可能性を秘めている一方で、木材価格の変動や副資材の高騰、複雑なサプライチェーンなど、多くの課題に直面しています。

    設計事務所や工務店が単独でこれらのハードルを乗り越えるのは容易ではありません。

    そこで、ハウス・ベース株式会社が運営する非住宅木造オウンドメディア「モクプロ」は、建築実務者が抱える不安に寄り添い、挑戦を成功へと導く「プラットフォーム」としての役割を果たします。

    ここでは、モクプロが提供する3つの価値についてご紹介します。

    建築実務者の不安を解消する「ナレッジ」の提供

    木造建築の経験が少ない実務者にとって、特殊な構造設計や価格変動リスクは大きな壁となります。

    モクプロでは、木造化の専門知識の基礎から応用、そして最新の市況データまでを網羅した「ナレッジ」を提供しています。

    この体系的なコンテンツを通じて、ユーザーの知識レベルを飛躍的に向上させることが可能です。

    得られた知見は、顧客への提案資料の作成やウェブサイトでのコンテンツマーケティングに活用でき、事業主からの信頼を獲得するための広報活動にも大きく役立ちます。

    専門家の知見を交えた「プロジェクト」のわかりやすい解説

    木造化・木質化で注目されるプロジェクトを、単なる実績紹介ではなく、実務に役立つ情報として提供するのが「プロジェクト」の取り組みです。

    専門家の知見を交えながら、どのようなコスト対策を行ったのか、どのような工法を採用したのかをわかりやすく解説します。

    一般流通材を活用してコストを抑えた実際の建築事例などを深掘りすることで、設計事務所や工務店は自社の計画にすぐに応用できるヒントを得ることができます。

    これにより、具体的な課題解決に向けた道筋が明確になります。

    地域のネットワークで課題を解決する「コミュニティ」

    複雑な非住宅プロジェクトを円滑に進めるためには、信頼できるパートナーとの連携が不可欠です。

    モクプロは、実務を通じて知見やノウハウを交換する「コミュニティ」の場を提供しています。

    非住宅案件に積極的なプレカット工場や、木造に精通した構造設計者、優秀な施工者を紹介し、ネットワークの力で調達や施工の課題を解決します。

    専門の講師によるイベントなども通じて、地域に根ざした強固な協力体制を築き、リスクを分かち合いながら業界全体の成功を目指します。

    まとめ

    まとめ 非住宅木造

    本記事では、2026年4月現在の非住宅木造における木材価格や副資材の値上げ動向と、それに対する実践的な対策、そして非住宅木造オウンドメディア「モクプロ」と木造化・木質化支援について解説しました。

    輸入材や特注の集成材、石膏ボードや断熱材といった副資材の価格高騰は、プロジェクトの採算性に大きな影響を与えます。

    一方で、価格が比較的安定している国産のスギやヒノキを活用し、一般流通材を組み合わせた設計上の工夫を取り入れることで、これらのリスクは十分に軽減することが可能です。

    非住宅用途の木造化・木質化を成功させるためには、設計事務所、工務店、建材メーカー、木材メーカーが一体となり、新しいネットワークを構築することが欠かせません。

    また、専門的な知識をわかりやすく顧客に伝える広報活動やコンテンツ制作も、信頼を勝ち取るための重要な実務となります。

    ハウス・ベースが運営する「モクプロ」は、建築実務者が抱える不安に寄り添い、共に課題を解決する「プラットフォーム」です。

    提供されるナレッジ、プロジェクト、コミュニティを最大限に活用し、今後の計画・設計・申請にお役立てください。

    非住宅木造という新たな市場で、皆様の挑戦が成功へと導かれることを応援しております。

    ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援

    非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。

    諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。

    木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。

    ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。

    「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。

    ◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出

    ◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築

    【主なサービス内容】

    ◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

    ◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

    ◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

    木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。

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    著者

    一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。

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