建設業界の建材価格値上げと非住宅木造【2026年4月版】

【2026年4月版】建設業界の建材価格値上げと非住宅木造

2026年4月現在、建設業界はこれまでにない建材価格の高騰に直面しています。

中東情勢の緊迫化を背景に、鉄筋や断熱材などあらゆる資材が値上がりし、日々の実務に深刻な影響を与えています。

当初の計画や設計の抜本的な見直しを迫られる中、コスト対策として注目を集めているのが非住宅木造という選択肢です。

本記事では、最新の値上げ情報と建設業界への影響を詳しく解説します。

さらに、ハウス・ベースが運営する「モクプロ」を通じた、設計事務所紹介や施工者紹介、講師派遣といった実務支援から、ウェブサイトでのコンテンツ制作など広報支援までをご紹介します。

INDEX

2026年4月最新:中東情勢による建材価格高騰の全体像

2026年4月現在、建設業界全体を揺るがしているのが、各種建材の急激な価格高騰です。

その最大の要因は、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇とサプライチェーンの混乱にあります。

建物の骨組みとなる構造材から、内装や外装に使われる仕上げ材、断熱材に至るまで、多岐にわたる分野で値上げや受注停止の発表が相次いでいます。

現在、どの資材がどれだけ値上がりし、業界全体にどのような影響が出ているのかを正確に把握することは、今後の計画や設計において非常に重要です。

まずは、中東情勢が建設コストに与える全体的な影響と、建設業界が抱える危機感について詳しく見ていきましょう。

中東情勢の緊迫化が建設業界に与える衝撃

2月末の米国によるイラン攻撃から1カ月余りが経過し、その影響は日本の建材分野にも色濃く波及し始めています。

国際的な緊張状態が続く中、原油価格の急騰や物流コストの上昇が重なり、輸入に依存する原材料の調達が極めて困難な状況に陥っています。

これに伴い、国内の多くの建材メーカーが相次いで大幅な価格改定や、一時的な新規受注の停止に踏み切らざるを得なくなりました。

資材調達の遅れやコストの大幅な増加は、工期や予算に直結するため、工務店や建設会社、設計事務所にとって死活問題となっています。

国際情勢の動向から目が離せない日々が続いています。

日建連会長も強い危機感を示す原油高の影響

この深刻な事態に対し、建設業界のトップも強い警戒感を示しています。

日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は3月25日の記者会見において、米国やイスラエルとイランの軍事衝突に関連して見解を述べました。

原油高によって今後の建設コストに「必ず影響が出てくる」と語り、先行きの不透明な状況に対して強い危機感を表明しています。

業界を牽引する大手企業でさえも、この予測困難なコスト上昇の波を重大な課題と捉えており、一企業の自助努力だけでは吸収しきれないレベルに達していることが浮き彫りになっています。

止まらないコスト増と先行きの不透明感

原油価格の高騰は、プラスチック樹脂製品や塗料、さらには輸送コストなど、建設業に関わるあらゆる側面に連鎖的な影響を及ぼします。

「いつまでこの状況が続くのか」「最終的にどこまで価格が上がるのか」という先行きの不透明感が、建築実務者の不安を一層煽っています。

当初設定していた建築予算の枠組みが根底から崩れ去るリスクがあり、施主に対する追加費用の説明や、設計内容のグレードダウンを余儀なくされるケースも後を絶ちません。

常に最新の市場動向をアップデートし、起こりうるリスクを想定しながら、柔軟に計画を修正していく対応力が求められています。

鉄筋・構造材の急激な値上げと受注停止の波

建材価格の高騰の中でも、特に甚大な影響を及ぼしているのが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の根幹をなす構造材の大幅な値上げです。

非住宅の大型建築物では鉄筋の使用量が非常に多いため、単価のわずかな上昇がプロジェクト全体の建設費用を数千万円規模で押し上げる原因となります。

国内の鉄筋メーカーは、急激なコスト増に耐えきれず、短期間での異例の値上げや受注制限を相次いで発表しています。

鉄筋をめぐる調達現場のかつてない混乱状況と、それが日々の実務や今後の計画に与える具体的な影響について、最新の公表情報を交えながら詳しく解説します。

異形棒鋼が1カ月で1万5,000円の大幅値上げ

鉄筋コンクリート造などに不可欠な異形棒鋼の価格が急騰しています。

国内最大手のある企業は、4月1日より3月契約比で1トン当たり1万円という大幅な値上げを実施しました。

3月にもすでに5,000円の値上げを行っており、わずか1カ月ほどの間にトン単価が1万5,000円も跳ね上がったことになります。

この記録的な値上げの背景には、やはり中東情勢の混乱に伴う著しいコスト増があります。

基礎や躯体工事のコストが跳ね上がることは避けられず、従来通りの予算組みでは全く通用しない厳しい状況が突きつけられています。

一時的な新規受注停止など調達現場の混乱

価格の急騰だけでなく、製品を安定的に調達すること自体も困難になっています。

複数の企業において、全事業所・全品種において一時的に新規受注を停止する事態に陥りました。

その後、現場の混乱は続いています。

必要な資材が必要なタイミングで確保できないという事態は、工期の遅れに直結し、建設会社にとって致命的なダメージとなりかねません。

複数の調達ルートの確保や、代替材の検討など、これまで以上に緻密で慎重なサプライチェーンの管理が、すべての実務者に重くのしかかっています。

さらなる再値上げの可能性と計画への影響

さらに懸念されるのは、この値上げの波が今後も続く可能性が高いという点です。

今後の状況次第では再値上げも想定され、価格変動のリスクは依然として拭えません。

このように構造材の価格が乱高下する状況下では、数カ月先、あるいは数年先の着工を見据えた長期的なプロジェクトの計画を立てることは至難の業です。

設計事務所は、施主に対してコスト変動のリスクを丁寧に説明し、不測の事態に備えた予備費を多めに設定するなど、計画の初期段階から入念なリスクマネジメントを行うことが不可欠となっています。

仕上げ材・防水材・断熱材に広がる深刻な供給不足

価格高騰と供給不安の波は、構造材だけに留まりません。

石油化学原料をベースとする内装・外装の仕上げ材や防水材、さらにはあらゆる建築物に必須の断熱材にまで、その影響は急速に広がっています。

これらの資材は原油価格の変動をダイレクトに受けるため、中東情勢の悪化が即座に生産ラインの縮小やコスト増に直結してしまうのです。

建物の品質や性能を決定づける重要な資材の不足は、施工スケジュールを大幅に遅延させる要因となります。

ここでは、樹脂系建材や断熱材メーカーの苦渋の決断と、現場に迫る深刻な供給不足の実態を掘り下げます。

塗料や防水材に不可欠な溶剤の生産減と影響

樹脂系建材を扱う商社によると、塗装や防水工事の現場にいち早く影響が表れているとのことです。

具体的には、洗浄作業や塗料・防水材の希釈材として広く使われるトルエンやキシレンなどの生産が大きく減少しています。

これらの溶剤は石油化学製品の基礎となるものであり、供給不足は建材の製造そのものを滞らせる原因となります。

仕上げ工事は建物の完成間近に行われることが多いため、この段階での材料不足は、引き渡し時期の遅れに直結し、施主への信用の失墜や損害賠償といったトラブルに発展する危険性を孕んでいます。

主要原料の入庫難による防水材の受注停止

より深刻な事態として、メーカーによる受注の完全停止も起きています。

防水材大手の企業では、粘度調整に使用する溶剤の一部について、新規受注を停止しました。

同社は「主要原料の入庫見通しが立たない極めて深刻な事態」であると公式に発表しており、再開のめどは全く立っていません。

屋上やバルコニーなどの防水工事ができなければ、足場を解体できず、その後の内装工事にも取り掛かれません。

一つの部材の欠品が現場全体の工程を完全にストップさせてしまう恐ろしさを物語っています。

断熱材の4割値上げや塩ビ樹脂の価格改定

さらに、快適な室内環境を作るための断熱材や配管材料などでも異例の価格改定が発表されています。

ある断熱材メーカーでは、天井や床、壁などに幅広く使われる押出法ポリスチレンフォームを、4月1日出荷分から一気に4割も値上げすると発表し、さらなる値上げの可能性も示唆しています。

また建材メーカーでは、各種コストの急激な高騰を理由に、塩化ビニル樹脂などを1キロ当たり55円以上値上げしました。

各社ともサプライチェーンの混乱の中で原材料調達に全力を挙げていますが、急激なコスト高騰への対応に苦慮しています。

建材高騰が実務に与える影響と「非住宅木造」への期待

ここまで見てきたように、鉄筋や仕上げ材、断熱材の急激な高騰は、建設プロジェクトの根幹を揺るがす重大な事態です。

限られた予算内で計画を成立させるため、設計の変更や工期の見直しなど、建設会社や設計事務所はかつてない難題に直面しています。

このような危機的状況を打開するため、業界団体も動き出していますが、それと同時に根本的な解決策として強く推奨されているのが「非住宅木造」への転換です。

ここでは、コスト高が実務に与える影響を整理するとともに、リスク回避の手段として木造化・木質化がなぜ優れているのかを解説します。

建設コスト急増による計画や設計の再検討

急激な建材高騰により、当初の計画や設計のままではプロジェクトが進行できないケースが急増しています。

予算オーバーを避けるため、仕上げ材のグレードを落としたり、設備機器を見直したりといった対応に追われていますが、それだけでは吸収しきれないのが現状です。

設計事務所は施主の要望と予算の板挟みになり、工務店や建設会社は利益を削って施工を引き受けざるを得ない厳しい状況に追い込まれています。

コスト上昇をいかに抑えるか、あるいは代替案をいかに提示できるかが、現在の実務において最も重要かつ困難な課題となっています。

業界団体による価格転嫁の推進と適正化

この厳しい局面において、建設業界全体を守るための取り組みも本格化しています。

日建連は、建材ごとの価格の上昇幅を詳細に整理した資料を作成し、加盟各社が発注者に対して適切に価格転嫁を行えるよう後押しする方針を固めました。

建設コストの増加分を施工者だけが一方的に負担するのではなく、発注者にも理解を求め、適正な価格で契約を結ぶことが業界の健全な存続には不可欠です。

こうした業界団体の強力なサポートを活用しながら、実務の最前線でも、データに基づいた論理的な交渉を行うことが求められています。

価格変動リスクを軽減する非住宅木造のメリット

鉄骨や樹脂系建材の高騰が止まらない今、大注目のコスト対策が「非住宅木造」へのシフトです。

輸入資材や原油に大きく依存する鉄骨造やRC造と比較して、国内の森林資源を活用する木造建築は、中東情勢などの国際的な混乱のあおりを直接受けにくい強みがあります。

建物の軽量化により、高騰する鉄筋を使う基礎工事の費用を大幅に削減できるのも大きな魅力です。

コストの予測が立てやすく、かつ環境配慮の面でも高い評価を得られる木造化は、設計事務所にとっても施主に提案しやすい、強力な選択肢となっています。

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非住宅木造で壁となるのが、特有の法規制に基づく複雑な設計や計画、そして確認申請の業務です。

ハウス・ベースでは、防耐火基準のクリアや構造計算など、専門性の高い実務を経験豊富なプロが伴走してサポートします。

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まとめ

2026年4月現在の建材価格値上げ動向と、建設業界が抱える課題、そして解決策としての非住宅木造化について解説しました。

中東情勢の緊迫化を背景に、鉄筋や防水材、断熱材などの価格が短期間で急騰し、かつてない供給不安が広がっています。

日建連も危機感を示す通り、従来の手法ではコスト調整が非常に困難な時代です。

こうした状況下において、価格変動リスクを抑え、環境にも貢献できる木造化・木質化への転換は、今後ますます重要な戦略となるでしょう。

ハウス・ベース株式会社は、「モクプロ」を通じたナレッジの共有やコミュニティの形成により、木造化に挑む皆様を全力で支援します。

設計や計画の実務サポート、信頼できるパートナーの紹介から、コンテンツ制作等の広報支援まで、あらゆるニーズにお応えします。

厳しい状況を乗り越え、持続可能な建築の未来を共に切り拓く「プロフェッショナルのパートナー」として、ぜひ私たちをご活用ください。

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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。

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