
新築住宅の着工数が年々減少傾向にある中、多くの地域工務店様が「次の事業の柱」を模索されていることと思います。
その有力な選択肢の一つが、既存の建物(ストック)を活用する「コンバージョン(用途変更)」ビジネスです。
特に、古民家や空き家をカフェ、オフィス、宿泊施設といった「非住宅」へと再生させるプロジェクトは、地域の風景を守りながら新たな経済価値を生み出す、やりがいのある仕事です。
しかし、「住宅のプロだが、非住宅や法適合の判断には自信がない」という声も多く聞かれます。
本記事では、地域工務店様が持つ技術を活かし、非住宅市場というブルーオーシャンへ参入するためのコンバージョン戦略について解説します。

なぜ今、地域工務店に「コンバージョン」が求められるのか

新築市場が厳しさを増す一方で、既存ストックを活用する市場は拡大の一途をたどっています。
ここでは、なぜ地域工務店がコンバージョンに取り組むべきなのか、その市場背景を読み解きます。
新築住宅市場の縮小と「ストック活用」への転換

人口減少に伴い、新築住宅の需要は構造的な縮小フェーズに入っています。
これまでのように「新築一本」で経営を続けることは、リスクが高まりつつあります。
一方で、国内には数多くの空き家や古民家が存在しており、これらを資源として活用する「ストック活用型社会」への転換が国策としても進められています。
コンバージョンは、単なる修繕ではなく、建物の役割を変えることで新たな市場を創造するビジネスです。
脱炭素社会で注目される「既存木造」の価値
世界的な「脱炭素社会」への潮流の中で、建設業界でもCO2排出量の削減が求められています。
既存の木造建築物を解体せずに活用することは、廃棄物の抑制や、木材に固定された炭素の貯蔵継続という意味で、非常に環境負荷の低い選択肢です。
企業がオフィスや店舗を構える際も、「環境への配慮」が重視されるようになっており、既存木造のコンバージョンはSDGsの観点からも高い評価を得やすくなっています。
非住宅分野=ブルーオーシャンへの入り口として

住宅市場は競合がひしめくレッドオーシャンですが、中規模木造や非住宅リノベーションの分野は、対応できる事業者がまだ少ないブルーオーシャンです。
特に200㎡〜500㎡程度の規模は、ゼネコンには小さすぎ、一般の住宅会社にはハードルが高いという「空白地帯」です。
ここを狙うことで、価格競争に巻き込まれにくい独自のポジションを築くことが可能になります。
リノベーションとは違う?「コンバージョン(用途変更)」の基礎知識
「リノベーション」と「コンバージョン」。
似ているようでいて、ビジネスとしての視点は少し異なります。
ここでは、コンバージョンの定義とその魅力を整理します。
住宅から「店舗・オフィス」へ生まれ変わらせる手法

リノベーションが主に「機能や性能の向上」を指すのに対し、コンバージョンは「用途の変更」を伴う改修を指します。
例えば、使われなくなった古民家を地域のコミュニティカフェにしたり、廃校をオフィスにしたりするケースです。
建物に新たな役割を与えることで、これまでとは異なる層のユーザーを呼び込み、収益物件としての価値を再構築することが最大の特徴です。
新築よりもコストを抑え、物語性という付加価値を生む

基礎や構造躯体を再利用するため、一般的に新築よりも工期が短く、コストを抑えられるメリットがあります。
しかし、それ以上の価値は「物語性(ストーリー)」です。古い梁や柱が醸し出す経年美や、その建物が刻んできた歴史は、新築では決して出せない味わいです。
この「唯一無二のデザイン性」が、店舗や施設の集客力やブランディングに直結します。
空き家問題解決による地域貢献とブランディング

地域に放置された空き家は、防災や防犯の観点から「負の遺産」となりがちです。
これを工務店が自らの手で再生させることは、単なる受注工事以上の意味を持ちます。
「地域の課題を解決する工務店」としての認知が広がり、企業の信頼性とブランド価値が向上します。
地域活性化に貢献する姿勢は、結果として本業である新築住宅の受注にも良い影響を与えるはずです。
【実務の壁】コンバージョン事業でつまずきやすい法的・技術的課題
魅力的な市場である一方、多くの実務者が二の足を踏むのが「法規制」と「技術的難易度」です。
ここにある「知識のギャップ」こそが、克服すべき最大の課題です。
最大のハードル「確認申請」と用途変更のルール

コンバージョンの最大の難関は建築基準法です。
特に、用途変更する部分の床面積が200㎡を超える場合、原則として「確認申請」が必要になります(※法改正により緩和等の動きもありますが、各自治体の条例等の確認も必須です)。
住宅から特殊建築物(飲食店や物販店など)へ用途を変える際は、現在の法律に適合させる必要があり、この手続きの複雑さが多くのプロジェクトを頓挫させる原因となっています。
既存不適格建築物の処理と構造補強の難しさ
古い建物は、建設当時の法律には適合していても、現在の基準には満たない「既存不適格建築物」であるケースがほとんどです。
コンバージョンに際しては、現行法に合わせるための構造補強が求められる場合があります。
しかし、既存の図面が残っていないことも多く、現況調査を行い、適切な補強計画を立てるには、高度な構造知識と経験が必要です。
消防法や省エネ法など、非住宅特有の法規制

住宅にはない規制として、消防法(排煙設備、屋内消火栓など)や、省エネ法への適合、バリアフリー法への対応などが挙げられます。
これらは建物の用途や規模によって細かく規定されており、住宅設計の知識だけでは対応しきれない部分です。
「工事を始めてから消防の指摘を受けて予算オーバーになった」という失敗を防ぐためにも、計画段階での綿密な法チェックが不可欠です。
それでも「地域工務店」こそがコンバージョンの主役である理由

法的・技術的なハードルは確かに高いですが、それでも現場を動かす力を持っているのは地域工務店です。
皆様が本来持っている強みを見直してみましょう。
既存建物の状態を見極める「目利き力」と診断技術
既存活用の第一歩は、「この建物は使えるのか?」という判断です。
腐朽や蟻害の有無、基礎の状態、構造の健全性を現場レベルで判断できるのは、日々木造建築に触れている工務店の実務者です。
この「目利き力」こそが、事業のリスクコントロールにおける最初にして最大の武器となります。
複雑な改修現場に対応できる「大工の技術力」
新築と異なり、リノベーションやコンバージョンの現場は「開けてみないと分からない」ことの連続です。
想定外の事態に直面した際、その場で納まりを考え、補強を行い、美しく仕上げる技術は、熟練した大工職人の腕にかかっています。
プレカット全盛の現代において、手刻みや現場対応ができる地域工務店の技術力は、コンバージョン現場でこそ輝きます。
地域に根ざした信頼とネットワークの活用

空き家情報の多くは、市場に出回る前の「地域の口コミ」の中にあります。
「あそこの家、空き家になって困っているらしい」といった情報は、長年地域で信頼を積み重ねてきた工務店にこそ集まります。
また、近隣住民との調整や、地元の不動産屋との連携など、地域密着ならではのネットワークがビジネスの種を見つける鍵となります。
不安を自信に変える!成功のためのパートナーシップ戦略

「建築のプロではあるが、非住宅や法適合のプロではない」。
このジレンマを解消するには、すべてを自社で解決しようとせず、適切なパートナーと組むことが成功への近道です。
すべてを自社で抱え込まない「チーム戦」の重要性
非住宅コンバージョンは、意匠設計、構造設計、法適合確認、施工管理と、多岐にわたる専門性が求められます。
これらを社内のリソースだけで賄おうとすると、担当者の負担が大きくなりすぎ、ミスや工期遅延につながります。
設計事務所や構造専門家、法適合のエキスパートとチームを組む「オープンな体制」を作ることが、リスクヘッジになります。
専門家の知見を借りる「木造化・木質化支援」の活用
未知の領域への挑戦には、水先案内人が必要です。
例えば、「この物件でカフェができるか?」という初期の法規チェックから、構造補強案の作成、確認申請のサポートまで、実務者が苦手とする部分を専門家がバックアップすることも可能です。
外部の知見をうまく活用することで、自社は得意な「施工」や「お客様対応」に集中できます。
モクプロが提供する「ナレッジ」と「コミュニティ」の力
当メディア「モクプロ」は、まさにこうした課題を持つ皆様のためのプラットフォームです。
「ナレッジ」では法改正や技術情報を体系的に学び、「プロジェクト」では先行事例の成功要因や苦労話を知ることができます。
そして「コミュニティ」では、同じ志を持つ実務者同士で情報交換が可能です。
孤軍奮闘するのではなく、業界全体の知見を活用して、共に成長していく場としてご利用ください。
まとめ

地域工務店が挑む「木造コンバージョン」は、縮小する新築市場に対する強力な打開策であり、地域のストックを価値ある資産に変える社会的意義の高いビジネスです。
法的な複雑さや技術的な難易度は確かに存在しますが、それは参入障壁が高い=競合が少ないというメリットでもあります。
重要なのは、その壁を一人で乗り越えようとしないことです。
私たちハウス・ベースや「モクプロ」は、皆様の「知識・経験のギャップ」を埋め、自信を持って非住宅分野へ挑戦するためのパートナーです。
まずは、身近な空き家や古民家の活用について、私たちと一緒に考えてみませんか?
ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。
諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。
木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。
ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。
「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。
◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出
◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築
【主なサービス内容】
◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。






