
2026年を迎え、建設業界における「木造非住宅」の位置づけは劇的に変化しました。
かつては「挑戦的なプロジェクト」であった木造化・木質化は、いまや脱炭素社会における「標準的な選択肢」として定着しつつあります。
2025年の省エネ基準適合義務化を乗り越え、実務者の皆様も新しいルールへの対応が進んでいることでしょう。
しかし、市場が成熟するにつれ、施主からの要望はより高度化・多様化しています。
単に「木で建てる」だけでなく、デザイン性、環境性能、そしてコストパフォーマンスのすべてが高い次元で求められる時代です。
本記事では、2026年の市場展望とトレンドを整理し、実務者が勝ち残るためのポイントを解説します。
2026年の木造非住宅市場:定着期に入った「新しい当たり前」

2026年の木造非住宅市場は、まさに「普及期」を経て「定着期」へと突入しました。
都市部を見渡せば、中層の木造オフィスや商業施設が当たり前のように建設されています。
これは一過性のブームではなく、カーボンニュートラル実現に向けた社会構造の転換が背景にあります。
大手ゼネコンだけでなく、地域工務店が中規模木造を手掛けるケースも急増しており、市場の裾野は確実に広がっています。
ここでは、今年の実務に直結する3つの市場環境の変化について詳しく見ていきます。
省エネ基準適合義務化の余波と次なる環境規制
2025年4月の省エネ基準適合義務化から約1年が経過し、現場の混乱は収束しつつあります。
しかし、2030年のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)標準化に向け、規制のハードルは段階的に上がっています。
2026年は、単なる「適合」から、BEI値(設計一次エネルギー消費量)のさらなる削減を差別化要因とする動きが活発化します。
断熱性能の高い木造建築は、この省エネ競争において鉄骨造やRC造に対し優位性を発揮しやすく、光熱費削減を重視する施主への強力な提案材料となります。
資材価格の安定とサプライチェーンの国産回帰
数年前のウッドショックや世界情勢による資材高騰を経て、2026年の木材価格は比較的安定した水準で推移しています。
特筆すべきは、サプライチェーンのリスクヘッジとして「国産材」への回帰が決定的になった点です。
JAS製材やCLT(直交集成板)の国内生産体制が強化され、流通がスムーズになったことで、工務店にとっても材料調達の計画が立てやすくなりました。
地産地消のストーリーを付加価値として提案しやすい環境が整っています。
ESG投資が加速させる企業の「木造指名買い」
上場企業を中心に、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への対応が必須となる中、自社ビルや店舗を木造化することで「環境経営」をアピールしたいという需要が爆発的に増えています。
これは大手企業に限らず、地域の中小企業にも波及しています。
「鉄骨造で計画していたが、銀行の融資条件や企業ブランディングのために木造に変更したい」という相談が増えていませんか?
木造建築は炭素固定量による環境貢献を数値化しやすいため、施主にとっての投資対効果が明確になりやすいのです。
設計・デザインの潮流:性能と意匠の高度な融合
木造非住宅のデザインは、「木の構造を見せる」という段階から、より洗練されたフェーズへ移行しています。
2026年のトレンドは、意匠的な美しさと、耐火・耐久・遮音といった機能性をいかにスマートに両立させるかにあります。
都市部の防火地域内での計画も増え、法規制をクリアしながらも木の温かみを感じさせる設計手法が求められています。
ここでは、設計実務において押さえておくべき3つのデザイン潮流を解説します。
ウェルビーイングを高める「バイオフィリックデザイン」の標準化

働く人の健康や幸福度を重視する「ウェルビーイング」の観点から、自然の要素を空間に取り入れる「バイオフィリックデザイン」が標準化しています。
木材の視覚的な温かみ、香り、手触りは、ストレス軽減や集中力向上に寄与することが科学的にも裏付けられています。
2026年の設計では、単に木を使うだけでなく、「人が触れる場所」「視線が集まる場所」に効果的に無垢材を配置するなど、心理的効果を計算に入れた空間づくりが設計者の腕の見せ所となります。
鉄骨・RCとの適材適所「混構造(ハイブリッド)」の進化

すべての部材を木造にする「純木造」にこだわらず、適材適所で素材を組み合わせる「混構造」が進化しています。
例えば、大スパンが必要な1階部分をRC造や鉄骨造とし、2階・3階の執務スペースを木造にする構成は、コストと構造合理性のバランスが良く、工務店が最も参入しやすい形式の一つです。
また、木質ハイブリッド集成材のような新材料の普及により、耐火性能を確保しながら木の梁を現し(あらわし)にするデザインも、より手軽に実現できるようになっています。
燃え代設計と耐火被覆の使い分けによるコスト最適化

木造非住宅の設計において、コストを大きく左右するのが防耐火設計です。
すべてを石膏ボードで覆えばコストは下がりますが、木の魅力は失われます。
逆に、すべてを燃え代設計(太い木材を使って燃え残る部分で強度を保つ手法)にすると材料費が跳ね上がります。
2026年の主流は、エントランスや応接室など「見せ場」となる空間は燃え代設計や準不燃木材を採用し、バックヤードは通常の被覆とするような、メリハリのあるコスト配分です。
この「使い分け」のノウハウが、受注競争力を高めます。
施工・実務の最前線:人手不足を補う技術革新
建設業界全体で深刻化する職人不足は、2026年も依然として大きな課題です。
しかし、この課題が技術革新を加速させました。
現場での作業量を極限まで減らし、工場での加工精度を高めることで、工期短縮と品質安定を図る動きが加速しています。
特に木造は、他の構造に比べてプレカット技術が進んでいるため、省人化施工との親和性が非常に高いのです。
ここでは、現場実務を変える施工のトレンドを紹介します。
現場負担を減らす「プレカット技術」と「大型パネル化」

従来の軸組工法のプレカットに加え、外壁や床、屋根を工場でパネル化し、サッシや断熱材まで組み込んでから現場に搬入する工法が普及しています。
これにより、現場での作業日数を大幅に短縮でき、天候リスクも軽減されます。
また、非住宅特有の大断面集成材や特殊金物の加工精度も向上しており、建て方(上棟)にかかる時間が短縮されています。
工務店にとっては、熟練大工に頼りすぎない施工体制を構築できる点が大きなメリットです。
BIM活用によるフロントローディングと合意形成

設計から施工、維持管理までを一元管理するBIM(Building Information Modeling)の活用が、中規模木造でも進んでいます。
3Dモデルで複雑な納まりや配管ルートを事前に可視化することで、現場での手戻りを防ぐ「フロントローディング」が定着してきました。
施主に対しても、完成イメージをウォークスルー動画などで共有できるため、合意形成がスムーズになります。
まだ導入していない工務店も、プレカット工場や設計事務所と連携することで、BIMの恩恵を受けられるようになっています。
リノベーション市場における「木質化」の拡大
新築だけでなく、既存の鉄骨造やRC造ビルの内装を木質化するリノベーション需要も拡大しています。
オフィスや店舗の改装において、床や壁、天井に地域産材を使用するプロジェクトです。
これは構造的な制約が少なく、工務店が比較的参入しやすい分野です。
特に、テナント工事においては短工期が求められますが、乾式工法である木質内装材は施工スピードが速く、現場を汚しにくいため、改修工事においても強みを発揮します。
工務店が狙うべき注目の用途と用途別トレンド
「非住宅」と一口に言っても、その用途は多岐にわたります。
2026年において、特に工務店や建設会社が狙い目となるのは、延床面積500㎡〜1000㎡程度の「中規模」案件です。
この規模感は、住宅の延長線上の技術で対応しやすく、かつ施主との距離感が近いため、地域密着型のビジネスモデルと相性が良いのが特徴です。
ここでは、特に需要が伸びている3つの用途について、具体的なトレンドを紹介します。
地域に開かれた「中規模オフィス・自社ビル」

リモートワークと出社を組み合わせるハイブリッドワークが定着し、オフィスには「集まりたくなる場所」としての価値が求められています。
1階にカフェや交流スペースを設けた、地域に開かれた木造オフィスが増加中です。
社員数十名規模の自社ビルであれば、木造3階建て・準耐火建築物として計画できるケースが多く、工務店の技術力が発揮しやすい領域です。
社員のモチベーションアップと採用力強化を目的とした建て替え需要は、今後も底堅い動きを見せるでしょう。
安らぎを提供する「クリニック・医療福祉施設」

高齢化社会の進行に伴い、クリニックやデイサービス、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の建設ラッシュは続いています。
医療・福祉施設では、「病院らしさ」を排除した、温かみのある家庭的な空間が好まれる傾向にあります。
待合室の現し梁や、手摺りの木質感など、利用者の不安を和らげるデザインが評価されます。
また、木造はRC造に比べて床の衝撃吸収性が高く、転倒時のリスク軽減や、スタッフの足腰への負担軽減という観点からも選ばれています。
教育・保育施設における「木育」ニーズの高まり

幼稚園、保育園、こども園などの施設では、幼少期から木に触れる「木育」の観点から、木造化が標準仕様になりつつあります。
自治体の公募案件でも、地域産材の活用や木質化率が評価ポイントになることが一般的です。
子供たちが素足で走り回れる無垢フローリングや、安全に配慮したR加工(角を丸める加工)など、細やかな配慮が求められます。
これらの施設は地域社会へのアピール度も高く、工務店の実績作りとしても非常に有効なプロジェクトです。
成功へのロードマップ:ハウス・ベースとの共創

ここまで2026年の展望を見てきましたが、実際に木造非住宅プロジェクトを進めるにあたり、「法規が難解」「構造計算ができる設計者がいない」「適切なコスト管理ができるか不安」といった悩みを抱える実務者の方も多いはずです。
しかし、これらを自社単独で解決する必要はありません。
成功の鍵は、信頼できるパートナーとの「共創」にあります。
ハウス・ベースは、皆様の黒子(くろこ)として、プロジェクトを成功へ導くための伴走支援を行います。
自社で抱え込まない「専門家ネットワーク」の活用
非住宅木造には、住宅とは異なる法規制や構造の知識が必要です。
ハウス・ベースには、木造非住宅に精通した木構造メーカー、建材メーカー、設計事務所、施工会社のネットワークが揃っています。
案件の初期段階からご相談いただくことで、最適な工法の選定や、コストを抑えるための設計変更案などをアドバイスできます。
苦手な分野はプロにアウトソーシングし、皆様は施主対応や施工管理といった得意分野に注力する。
この分業こそが、リスクを最小化する最良の方法です。
実績をブランディングに変える「広報・コンテンツ制作」
素晴らしい木造建築を建てても、その価値が伝わらなければ次の受注には繋がりません。
ハウス・ベースでは、完成した建物の魅力を伝えるための広報支援も行っています。
プロのライターによる取材、WEBサイトへの掲載、SNSでの発信など、コンテンツマーケティングの視点から皆様の実績を強力にバックアップします。
「環境に配慮した建築ができる会社」というブランドイメージを構築し、指名受注を増やすお手伝いをします。
モクプロが提供する「ナレッジ・プロジェクト・コミュニティ」
当メディア「モクプロ」は、単なる情報サイトではありません。
実務者の皆様が抱える課題を解決するためのプラットフォームです。
「ナレッジ」で最新の知識を得て、「プロジェクト」で他社の成功事例から学び、「コミュニティ」で同じ志を持つ仲間や専門家と繋がる。
この3つのサイクルを回すことで、皆様の木造非住宅事業は確実に成長します。
2026年、私たちと一緒に、新しい木の建築の可能性に挑戦していきましょう。
まとめ
2026年、木造非住宅はもはや特別な挑戦ではなく、選ばれる企業の必須条件となりました。
市場環境は追い風であり、技術的なハードルも専門家との連携によって十分に越えられます。
重要なのは、「住宅の延長」にある技術を活かしつつ、非住宅特有のポイントを正しく押さえることです。
ハウス・ベースは、「モクプロ」を通じて、皆様の挑戦を全力でサポートします。
広報支援、設計支援、実務支援まで。
木造化・木質化に関するあらゆる課題を共有し、共に解決策を見つけ出しましょう。
まずは、「こんな建物を木造で建てたい」という想いを、私たちにお聞かせください。
ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。
諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。
木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。
ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。
「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。
◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出
◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築
【主なサービス内容】
◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。






