
近年、「木造非住宅」という言葉を耳にする機会が格段に増えました。
背景には、脱炭素社会の実現に向けた国策としての木材利用促進や、技術革新による木造建築の可能性の広がりがあります。
国土交通省の建築着工統計を見ても、特に3階建て以下の低層非住宅建築物(事務所、店舗、倉庫など)において、木造の割合は着実に増加傾向にあります。
これは、地域に根ざし、木造建築のノウハウを持つ工務店の皆様にとって、非常に大きなビジネスチャンスです。
しかし、多くの工務店様が「住宅(B2C)の集客は得意だが、非住宅(BtoB)の案件をどう獲ればいいか分からない」という悩みを抱えています。
それもそのはず、非住宅の広報・集客は、住宅とはターゲットも、求められる情報も、意思決定のプロセスも全く異なるからです。
個人の施主様が「デザイン」や「暮らしの夢」を重視するのに対し、非住宅の発注者(企業や経営者)は、「コスト合理性」「法的要件のクリア」「事業計画に沿った工期」「そして何より、この会社に任せて大丈夫かという信頼性」をシビアに求めます。
この「信頼性」を獲得するための最も強力な武器が、自社の「専門Webサイト」です。
この記事では、木造非住宅の案件獲得を目指す工務店様向けに、発注者から「専門家」として選ばれるためのWebサイト構築法を、具体的な3つのステップで分かりやすく解説します。
主なポイントは下記です。
- 市場は拡大中: 脱炭素の流れを受け、特に低層の店舗や倉庫などで木造非住宅市場は確実に拡大しています。
- BtoB広報は別物: 施主が企業である非住宅(BtoB)は、個人の施主(B2C)とは異なり、「信頼性」「専門性」「コスト合理性」をWebサイトでシビアに判断します。
- 3ステップで構築: サイト構築は「(1)ターゲット明確化」「(2)専門コンテンツ作成」「(3)信頼されるサイトの型」の3ステップで進めます。
- 実績ゼロでも可能: 施工実績がなくても、「技術力」や木造化に関する「専門知識」を分かりやすく発信することで、発注者の信頼を獲得することは可能です。

なぜ今、工務店が木造非住宅の「専門サイト」を持つべきか?

木造非住宅市場への参入は、多くの工務店にとって新たな収益の柱となり得ます。
しかし、そのチャンスを掴むためには、まず「なぜ専門サイトが必要なのか」を深く理解する必要があります。
従来の延長線上にある「会社案内」のようなホームページでは、非住宅の発注者を説得することはできません。
彼らはインターネットを駆使し、非常に合理的な視点で依頼先を比較検討しています。
住宅(B2C)で通用した感覚的なアピールや、デザインの良さだけでは「信頼」は得られません。
ここでは、市場の現状と、BtoB広報特有の難しさ、そして施主がWebサイトに何を求めているのかを解き明かし、専門サイトの必要性を明らかにします。

データで見る木造非住宅市場の拡大とビジネスチャンス
木造非住宅市場が拡大している事実は、感覚だけでなくデータにも表れています。
例えば、国土交通省の「建築着工統計調査」を見ると、非住宅分野における木造のシェアは年々増加傾向にあります。
特に工務店の皆様が得意とする「3階建て以下の低層建築物」において、その伸びは顕著です。
具体的には、「事務所」「店舗」「福祉施設(保育所や介護施設など)」「倉庫」といった用途で、木造化が積極的に採用されています。
この背景には、「公共建築物等木材利用促進法」の施行や、近年のSDGs、脱炭素への社会的な意識の高まりがあります。
木材はCO2を固定化する資材として、企業の環境貢献(ESG投資)のアピールにも繋がるため、施主側にも木造を選ぶメリットが生まれています。
さらに、CLT(直交集成板)をはじめとする新たな木質建材の登場や、耐火技術の進歩により、従来は鉄骨造やRC造が主流だった中規模建築物でも木造が可能になりました。
これは、住宅着工戸数の先行きに不安が残る中で、地域の工務店がその高い木造技術を活かせる「新しい主戦場」が広がっていることを意味します。
このチャンスを掴むためには、こうした市場の変化に気づいている感度の高い発注者に対し、「自社はその専門家である」と明確に示す必要があります。
住宅(B2C)とは違う!木造非住宅(BtoB)広報の決定的な違い
工務店の皆様がこれまで主戦場としてきた住宅市場は、B2C(Business to Consumer)、つまり一般消費者がお客様です。
一方、木造非住宅の多くはBtoB(Business to Business)、つまり企業や法人がお客様(施主)となります。
この違いは、広報戦略において決定的な差を生みます。
B2C(住宅)の場合、施主は「家族の夢」「快適な暮らし」「デザイン性」「安心感」といった、どちらかといえば感情的な価値を重視します。
Webサイトでも、美しい施工写真や、楽しそうな家族の様子、親しみやすいスタッフ紹介などが効果的です。
しかし、BtoB(非住宅)の発注者は、企業の経営者や事業担当者です。
彼らが見ているのは「事業の成功」です。
店舗であれば「集客力と収益性」、倉庫であれば「効率性と耐久性」、事務所であれば「生産性とコスト」です。
彼らは感情ではなく、「合理的」に判断します。
Webサイトに求められるのは、「この工務店に依頼すれば、自社の事業課題を解決してくれるか?」という問いへの明確な答えです。
具体的には、「法的要件(耐火、構造など)をクリアできる技術力があるか」「コストメリットは明確か」「工期は守られるか」「過去に同種の実績があるか」といった、極めて実務的な情報です。
親しみやすさよりも「専門性」と「信頼性」が優先されます。
木造非住宅の発注者がWebサイトに求める「信頼性」の正体
では、非住宅の発注者がWebサイトで判断する「信頼性」とは、具体的に何でしょうか。
それは「この会社は、木造非住宅特有の課題を解決できるプロフェッショナルか?」という一点に尽きます。
発注者は大きな事業投資として建築を考えます。
失敗は許されません。
彼らが抱える不安は、「住宅専門の工務店に、鉄骨造やRC造と同等の強度や耐火性を持つ木造建築を本当に建てられるのか?」「複雑な建築基準法や消防法をクリアできるのか?」「万が一の際のアフターフォローは万全か?」といった点です。
この不安を払拭するのが「信頼性」です。
Webサイト上で信頼性を示す要素は、大きく分けて3つあります。
第一に「施工実績」です。
自社が建てたい用途(例:倉庫)と似た実績があれば、それだけで大きな安心材料になります。
第二に「専門知識」です。
実績がなくても、木造非住宅に関する法規制や、コストダウンの手法、木造化のメリットなどを分かりやすく解説している記事があれば、「この会社は詳しいな」と信頼されます。
第三に「会社の姿勢」です。
技術的な強みや、品質管理体制、代表者の考え方などが明確に示されていることです。
これらの情報が整理されておらず、住宅と同じような「ふんわりとした」情報しかないサイトは、その時点で比較検討の土俵から外されてしまいます。
【ステップ1】ターゲット明確化:「誰に」技術を届けるか

木造非住宅の専門サイト構築における最初のステップは、「誰に」情報を届けるかを徹底的に絞り込むことです。
「非住宅なら何でもやります」というスタンスは、BtoBの世界では「何も専門性がない」と受け取られかねません。
発注者は「自社の課題」を解決できる専門家を探しています。
例えば、「木造の倉庫を建てたい」施主と、「デザイン性の高い木造店舗を作りたい」施主とでは、求める情報も、工務店に期待する強みも全く異なります。
このステップでは、自社の強みを活かせるターゲットを定め、そのターゲットに響くメッセージの軸を固める方法を解説します。

「店舗」「倉庫」など用途ごとに異なる施主のニーズを掴む
木造非住宅と一口に言っても、その用途は多岐にわたります。
そして、用途が違えば、施主のニーズ(悩みや要望)も全く異なります。
まずは、自社がどの分野で強みを発揮したいのかを明確にしましょう。
例えば「店舗(飲食店、物販店など)」の場合、施主が重視するのは「デザイン性」「集客効果」「事業コンセプトの体現」そして「工期」です。
特にチェーン店や早期開業を目指すオーナーにとって、工期短縮は死活問題であり、木造のメリットが響きやすいポイントです。
一方、「倉庫(物流倉庫、農業用倉庫など)」の場合、施主が重視するのは「コストパフォーマンス(坪単価)」「耐久性・耐震性」「大空間の確保(柱の少なさ)」「法規制(危険物倉庫など)への対応力」です。
デザイン性よりも、事業運営上の合理性や安全性が最優先されます。
「福祉施設(保育園、介護施設など)」であれば、「安全性(アレルギー対策、転倒防止)」「温かみのある空間(木育)」「補助金への対応」などが求められるでしょう。
このように、用途ごとに施主の「刺さるポイント」は異なります。
自社サイトでは、これらの特定のニーズに対して「当社ならこう解決できます」と具体的に提示することが、信頼獲得の第一歩となります。
設計事務所か、施主直か?木造非住宅のアプローチ先の選定
ターゲットを考える際、「用途」とともにもう一つ重要な軸が、「誰にアプローチするか」です。
木造非住宅の案件獲得ルートは、大きく分けて2つあります。
一つは「施主(事業主)から直接」受注するルートです。
この場合、施主は建築の専門家ではないことが多いです。
したがって、Webサイトでは「なぜ木造なのか?」「コストは?」「法的には大丈夫?」といった根本的な疑問に、分かりやすく答えるコンテンツが求められます。
施主の事業に寄り添い、企画段階からサポートできる「パートナー」としての側面をアピールすることが有効です。
もう一つは、「設計事務所」や「ゼネコン」のパートナーとして施工を請け負うルートです。
彼らは建築のプロです。
彼らが工務店に求めるのは、設計意図を正確に汲み取り、それを実現する「高度な施工技術力」や「木構造に関する専門知識」、そして「見積もりの精度」です。
Webサイトでは、難しい納まりのディテール写真や、使用した技術の解説など、プロの目から見ても「この会社は信頼できる」と感じさせる、技術的な情報を充実させる必要があります。
どちらをメインターゲットにするかによって、サイトのコンテンツ内容は大きく変わってきます。
自社の木造非住宅の強みを棚卸しする(技術力、コスト、地域密着)
ターゲット(誰に)を定めたら、次にそのターゲットに対して「何をアピールするか」=自社の強みを整理します。
これは「SWOT分析」と呼ばれる手法で、自社の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を書き出すと明確になります。
木造非住宅の文脈で、工務店がアピールできる「強み」には、以下のようなものが考えられます。
- 技術力: 「木構造の計算(許容応力度計算など)が自社でできる」「特定の工法(例:CLT、大断面集成材)の施工経験が豊富」「耐火建築物のノウハウがある」など、他社にはない専門技術。
- コスト対応力: 「木材の仕入れルートに強みがある」「設計・施工一貫(デザインビルド)で中間マージンを削減できる」「自社大工による効率的な施工管理」など、施主の予算に応える力。
- 地域密着力: 「地元の法規制や地域特性を熟知している」「何かあればすぐに駆け付けられるフットワークの軽さ」「地域の設計事務所との強固なネットワーク」。
- 特定の用途への特化: 「これまで倉庫(あるいは店舗)を多く手がけてきた」という実績そのものが強みになります。
これらの強みを棚卸しし、ステップ1で決めたターゲット(例:「倉庫を建てたい施主」)に最も響く強み(例:「コスト対応力」と「技術力」)をWebサイトの中心メッセージとして据えることが重要です。
【ステップ2】「専門性」を打ち出すコンテンツ戦略

ターゲットを明確にしたら、次はいよいよWebサイトの「中身」=コンテンツを作成します。
これがステップ2です。
非住宅(BtoB)のWebサイトにおいて、コンテンツは「信頼」を獲得するための命綱です。
発注者は、その工務店が本当に専門家かどうかを、コンテンツの質と量で判断します。
どれだけ美しいサイトを作っても、中身が薄ければ「住宅の片手間でやっているな」と見透かされてしまいます。
ここでは、信頼獲得の核となる「施工実績」の見せ方から、実績がまだない場合の「技術力」の発信方法、そして施主が最も気にする「メリット」の伝え方まで、具体的なコンテンツ戦略を解説します。

最重要!「施工実績」を資産に変える効果的な見せ方
BtoBにおいて、施工実績は「100の言葉より雄弁な証拠」です。
発注者は「自社が建てたいものと似た実績があるか」を真っ先に確認します。実績がある場合は、それを最大限に活用しましょう。
ただし、単に完成写真を並べるだけでは不十分です。住宅サイトのように「素敵な空間」を見せるのではなく、非住宅の施主が知りたい情報、すなわち「プロジェクトの背景と課題」をセットで提示することが重要です。
効果的な実績紹介ページの構成要素は以下の通りです。
- 物件概要: 用途(例:倉庫)、構造(木造平屋建てなど)、延床面積、工期、所在地。
- 施主の課題: 「なぜ建てることになったのか?」「施主はどんなことに困っていたか?」(例:鉄骨造のコスト高騰で困っていた、SDGs対応の建物を探していた)。
- 技術的な解決策: 「その課題に対し、御社(工務店)は何を提案し、どう解決したか?」(例:地元の木材活用と設計施工一貫でコストダウンを実現、CLTを採用し大空間を確保)。
- 豊富な写真: 外観・内観だけでなく、施主が気にするであろう構造部分や、こだわったディテールの写真も掲載します。
- 施主の声(あれば尚可): 「なぜ当社を選んだのか」「完成してどうだったか」という第三者の評価は、信頼性を飛躍的に高めます。
これらの情報を一つ一つの実績ページに丁寧に盛り込むことで、単なる実績リストが、強力な営業ツール(資産)へと変わります。
実績ゼロでも信頼を獲る「技術力・専門知識」の発信術
「木造非住宅に参入したいが、まだ施工実績がない」という工務店様も多いでしょう。
参考情報にもある通り、実績がない場合でも信頼を獲得する方法はあります。
それが「技術力」と「専門知識」の発信です。
発注者は、実績がなくとも「この会社は木造非住宅に本気で取り組んでおり、十分な知識と技術を持っている」と判断できれば、候補に入れてくれます。
具体的には、Webサイト内に「ナレッジ(お役立ち情報)」や「ブログ」のコーナーを設け、以下のような情報を発信します。
- 木造化のメリット解説: 「なぜ今、倉庫(店舗)を木造で建てるべきか?」「鉄骨造とのコスト・工期比較」など、施主の疑問に先回りして答える記事。
- 法規制の解説: 木造非住宅に関わる建築基準法、消防法、各種補助金制度など、専門的で難しい情報を分かりやすく解説する記事。
- 技術力の紹介: 自社が持つ木構造のノウハウ、耐火技術の研究、特定の工法(例:在来軸組工法による非住宅への応用)に関する考察など、プロとしての知見を発信します。
- 小さな実績の活用: たとえ小規模な改修(木質化)であっても、「木を使った」実績があれば、その工夫やプロセスを発信します。
これらの専門的な情報を継続的に発信することで、サイト訪問者に「この会社は木造非住宅のプロだ」という認識を植え付け、「権威性」を構築することができます。
施主が納得する「コストメリット」「法的メリット」の伝え方
非住宅の施主が意思決定する上で、「コスト」と「法律(規制)」は避けて通れない重要事項です。
Webサイトでは、この2点に関するメリットを明確に打ち出す必要があります。
まず「コストメリット」です。
木造は「鉄骨造やRC造より高い」というイメージを持たれがちです。
しかし、事実は異なります。
特に近年は鉄骨価格が高騰しており、建物の規模や用途によっては、木造の方が初期コスト(イニシャルコスト)を抑えられるケースが増えています。
また、木造は断熱性が高く、光熱費などの「ランニングコスト」を削減できる可能性もあります。
さらに、工期が短縮できることも、事業主にとっては早期に収益を上げられるという大きな金銭的メリットです。
次に「法的メリット」です。
木造化を推進するための法整備や補助金制度は年々拡充されています。(例:各種木材利用促進の補助金、税制優遇など)。
これらを活用できる可能性を提示することは、施主にとって強力な後押しとなります。
これらのメリットを、単に「安くなります」「お得です」と書くのではなく、「◯◯規模の倉庫の場合、鉄骨造と比較して◯%のコストダウン事例」「活用可能な補助金リスト」のように、できるだけ具体的に、根拠を示しながら解説することが、施主の納得感と信頼に繋がります。
【ステップ3】信頼を勝ち取るWebサイトの「型(デザイン)」

ステップ1でターゲットを定め、ステップ2で載せるべきコンテンツ(中身)が決まりました。
最後のステップ3は、それらの情報を「どのように見せるか」=サイトのデザインと機能(型)です。
BtoBのWebサイトでは、B2Cの住宅サイトのような奇抜さや、過度な装飾は逆効果になることがあります。
求められるのは、専門家としての「権威性」や「信頼感」が一目で伝わるデザインと、訪問した発注者が「迷わず」必要な情報にたどり着き、「相談したい」と思わせる機能的な導線設計です。
ここでは、非住宅案件を獲得するためのサイトの「型」について解説します。

専門家としての権威性・信頼感を与えるデザインとは
木造非住宅の専門サイトにおいて、デザインは「信頼できるプロフェッショナルであること」を伝えるための重要な要素です。
住宅サイトで多用される「温かみ」「アットホーム感」も大切ですが、それ以上に「誠実さ」「専門性」「技術力」が伝わるデザインが求められます。
具体的なポイントは以下の通りです。
- 清潔感と整理整頓: 情報が整理されておらず、ごちゃごちゃしたサイトは、仕事ぶりも雑なのではないか、という印象を与えてしまいます。余白を適切に取り、文字の大きさや行間を読みやすく設定し、情報がスッと頭に入ってくるレイアウトを心がけましょう。
- コーポレートカラーの統一: 会社のロゴやキーカラー(基本となる色)をサイト全体で統一します。これにより、一貫性のあるブランドイメージを構築し、信頼感を高めます。
- 質の高い写真: 施工実績やスタッフの写真は、サイトの品質を大きく左右します。特に建築写真は、可能であればプロのカメラマンに依頼し、建物の魅力や技術的なポイントが伝わる、シャープで美しい写真を使用しましょう。
- 過度なアニメーションを避ける: BtoBサイトの訪問者は、情報を探しに来ています。意味のない動き(アニメーション)や、派手すぎる装飾は、読みづらさや不誠実な印象を与える可能性があるため、控えめにするのが賢明です。
あくまで主役はコンテンツ(情報)であり、デザインはそれを引き立て、信頼性を補強する脇役である、というバランス感覚が重要です。
BtoB必須!「資料請求」「相談窓口」への導線設計
BtoBサイトの最大の目的は、多くの場合「見込み客(リード)の獲得」です。
つまり、サイトを訪問した発注者や設計担当者に、「この会社に一度話を聞いてみたい」と思ってもらい、問い合わせのアクションを起こしてもらうことです。
非住宅の建築は高額な投資であり、Webサイトを見ただけで「発注します」となることはまずありません。
ゴールは「いきなり受注」ではなく、「まずは相談」「資料請求」です。
そのためには、訪問者が「相談したい」と思った瞬間に、すぐに行動に移せる「導線(どうせん)」の設計が不可欠です。
- 目立つ位置に配置: 「お問い合わせ」「資料請求」「無料相談」といったボタン(CTA: Call To Action と呼びます)は、サイトの全てのページ、特に目立つ場所(例:画面の右上、記事の最後)に常に表示させます。
- 電話番号の明記: BtoBでは、メールフォームだけでなく「すぐに電話で確認したい」というニーズも根強くあります。電話番号は大きく、クリック(タップ)すればそのまま発信できるようにしておくと親切です。
- フォームの簡略化: 問い合わせフォームの入力項目が多すぎると、訪問者は面倒になって離脱してしまいます。最初は「会社名」「氏名」「電話番号」「メールアドレス」「相談内容」など、必要最小限の項目に絞り込みましょう。
- ハードルを下げる: 「お見積もり」だけでなく、「まずは情報収集のための資料請求」「木造化に関するちょっとしたご相談」など、気軽にアクションできる選択肢を用意することも有効です。
ナレッジ発信(ブログ)で潜在顧客を育成する方法
(実績ゼロの場合)でも触れましたが、専門知識を発信する「ナレッジ発信(お役立ち情報やブログ)」は、実績の有無にかかわらず、BtoBサイトにおいて非常に強力な機能です。
この機能には2つの大きな役割があります。
一つは「集客(SEO対策)」です。
例えば、「倉庫 木造 コスト」「店舗 耐火 木造」といった、発注者が具体的に悩んでいるキーワードで記事を書くことで、検索エンジン経緯で「今すぐ客」ではない「潜在顧客」をサイトに呼び込むことができます。
もう一つの役割が「顧客育成(リードナーチャリング)」です。
すぐには発注しないまでも、あなたのサイトで専門知識に触れた潜在顧客は、「この工務店は木造非住宅に詳しい」という印象を持ちます。
彼らが継続的に役立つ情報(例:補助金情報、法改正ニュース)を発信し続けることで、訪問者との信頼関係を築くことができます。
そして、彼らが本格的に「倉庫を建てよう」と考え始めた時、真っ先に「あの詳しい工務店に相談してみよう」と思い出してもらえる可能性が高まります。
このように、ナレッジ発信は、短期的な集客だけでなく、中長期的に自社のファンを育て、優良な見込み客を獲得するための「種まき」として機能します。
サイト公開後が本番!継続的な運用と外部連携

専門Webサイトは、完成・公開したら終わりではありません。
むしろ、公開してからが本当のスタートです。
BtoBの世界では、情報が更新されず止まっているサイトは、事業活動が停滞しているかのように見え、信頼を失う原因にもなります。
市場の動向や法律は日々変わりますし、新しい施工実績も増えていくはずです。
サイトを「生きた」営業ツールとして機能させ続けるためには、継続的な運用と改善が欠かせません。
ここでは、サイト公開後に取り組むべきSEO対策の基本や、運用体制、そして「モクプロ」のような外部プラットフォームとの連携について解説します。

SEO対策の基本:「地域名×用途」で潜在顧客を見つける
SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策とは、Googleなどの検索エンジンで、自社のサイトを上位に表示させるための施策です。
工務店が木造非住宅の専門サイトでSEOを行う場合、押さえるべき基本的なポイントがあります。
それは「ビッグキーワード」ではなく、「スモールキーワード(ロングテールキーワード)」を狙うことです。
例えば「木造非住宅」という大きなキーワードで上位表示を目指すのは、競合も多く非常に困難です。
しかし、工務店がターゲットとすべきお客様は、もっと具体的に検索しています。
狙うべきは、「地域名」と「用途」や「悩み」を掛け合わせたキーワードです。
例:「◯◯市(地域名) 木造 倉庫」「◯◯県 店舗 木造 工務店」「木造 事務所 コストダウン」など。
こうした具体的なキーワードで検索する人は、漠然と情報を探している人よりも、実際に建築を検討している「見込み度の高い」顧客である可能性が高いです。
前述したナレッジ発信(ブログ)機能を使って、これらのキーワードを意識した記事(例:「◯◯市で木造倉庫を建てる際のコストと注意点」)を作成・追加していくことが、最も効果的で基本的なSEO対策となります。
まずは、自社の商圏エリアと、得意な用途を掛け合わせたキーワードから対策を始めましょう。
継続的なコンテンツ更新を続けるための社内体制づくり
SEO対策や顧客育成(ナレッジ発信)が重要だと分かっていても、多くの工務店様が「日々の業務に追われてサイト更新ができない」という壁にぶつかります。
サイトを継続的に運用するためには、しっかりとした「体制づくり」が必要です。
ポイントは、「完璧を目指さず、できることから仕組み化する」ことです。
- 担当者を決める: まずは、サイト運用の主担当者を(たとえ兼任でも)一人決めます。「みんなでやろう」は、結局誰もやらない結果になりがちです。
- 更新の役割分担: 全てを担当者が一人で抱える必要はありません。例えば、「施工実績の写真は現場監督が撮影し、担当者に渡す」「ブログ記事のネタは営業担当がお客様の質問から収集する」「記事の執筆は月1本、担当者が行う(あるいは外部に委託する)」など、ルールを決めます。
- 更新のスケジュール化: 「毎月第3金曜日に実績を1件更新する」「2ヶ月に1本、ナレッジ記事を公開する」など、無理のない範囲で更新スケジュールを決め、業務カレンダーに組み込んでしまいます。
- ネタのストック: お客様からよく聞かれる質問、設計事務所との打合せで話題になった技術的な話など、日々の業務の中にコンテンツの「ネタ」は溢れています。それをメモ帳や共有フォルダにストックしておく仕組みを作りましょう。
専任の広報担当者がいなくても、こうした小さな仕組み化によって、サイトを「生きた」状態に保つことは可能です。
「モクプロ」のような専門プラットフォームの活用法
自社サイト(オウンドメディア)を育てるには時間がかかります。
そこで有効なのが、「モクプロ」のような、すでに木造非住宅に関心のあるプロフェッショナル(設計事務所、建材メーカー、そして発注者予備軍)が集まる専門プラットフォーム(外部メディア)を併用することです。
自社サイトが「本店」だとすれば、専門プラットフォームは「有力な商業施設への出店」に例えられます。
「モクプロ」のようなプラットフォームを活用するメリットは大きく分けて2つあります。
一つは「認知度の向上」です。
モクプロの「プロジェクト」コーナーなどで自社の優れた施工実績や技術が紹介されれば、自社サイトだけではリーチできなかった多くのターゲット層に、一気に存在を知ってもらうことができます。
もう一つは「権威性の獲得」です。
信頼できる第三者の専門メディアに取り上げられることで、「この工務店は、業界でも注目される高い技術を持っている」という「お墨付き」を得ることができます。
記事内で自社サイトへリンクが設置されれば(被リンク)、SEOの観点からも非常に効果的です。
自社サイトをコツコツと育てつつ、外部の専門プラットフォームも戦略的に活用することで、認知拡大と信頼獲得を加速させることができます。
まとめ

今回は、工務店の皆様が木造非住宅という大きなビジネスチャンスを掴むために不可欠な、「専門Webサイト」の構築法を3つのステップで解説しました。
住宅市場とは異なり、非住宅(BtoB)の発注者は、極めて合理的な視点で「信頼できる専門家」を探しています。
その信頼を勝ち取る基盤がWebサイトです。
ステップ1は「ターゲットの明確化」です。
「誰に」技術を届けるのか。
「店舗」オーナーなのか、「倉庫」事業者なのか、あるいは「設計事務所」なのか。
ターゲットを絞り込むことで、自社の「強み」が明確になります。
ステップ2は「専門コンテンツの作成」です。
最重要コンテンツである「施工実績」は、課題と解決策をセットで提示します。
もし実績がなくても、「技術力」や「専門知識」をナレッジ記事として発信し続けることで、「この会社はプロだ」という権威性を構築することが可能です。
ステップ3は「信頼されるサイトの型(デザイン)」です。
求められるのは派手さではなく、専門性が伝わる誠実なデザインと、「相談したい」と思った時に迷わせない機能的な導線設計です。
Webサイトは作って終わりではありません。
公開後も、ターゲットが検索するキーワード(例:地域名×用途)を意識したコンテンツを追加し、継続的に運用することが成功の鍵となります。
木造非住宅への挑戦は、決して簡単な道ではないかもしれません。
しかし、皆様が持つ木造建築の技術とノウハウは、これからの社会に間違いなく必要とされています。
この記事が、皆様の挑戦を成功へと導く「ナレッジ」となり、最初の一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援
非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。
諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。
木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。
ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。
「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。
◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出
◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築
【主なサービス内容】
◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。







