【事例】令和7年度木材利用推進コンクール受賞作を徹底分析!

【事例】令和7年度木材利用推進コンクール受賞作を徹底分析!

「木造非住宅」のプロジェクトは、脱炭素社会の実現や地域活性化の観点から、今や建築業界の主要なトレンドとなっています。

先日発表された「令和7年度 木材利用推進コンクール」の受賞施設を分析します。

このコンクールは、木材利用の推進に大きく貢献した優れた施設や取り組みを表彰するもので、その年の受賞作を見れば、木造非住宅の「今」と「未来」が見えてきます。

内閣総理大臣賞を受賞した「NISHIGAWA TERRACE(岡山県)」をはじめ、農林水産大臣賞の「パッシブタウン第5街区(富山県)」など、今年も注目のプロジェクトが揃いました。

今年の受賞作から見えてきたのは、木造非住宅が「特別なもの」から「実用的な選択肢」へと確実にシフトしている現実です。

以下の3つのポイントが、今後の木造非住宅ビジネスの鍵となります。

  • 「地域材×デザイン性」の高度な両立: 内閣総理大臣賞の「NISHIGAWA TERRACE」のように、単に木を使うだけでなく、都市景観や賑わい創出に寄与する高いデザイン性が評価されています。地域材を使いながらも、都市部の厳しい規制やニーズに応える工夫が求められます。
  • 「大規模・公共建築」での木造シフト加速: 農林水産大臣賞の「パッシブタウン」や文部科学大臣賞の「六戸学園」など、従来はRC造やS造が主流だった大規模な集合住宅や学校施設での木造化・木質化が特賞を受賞しており、市場の拡大を明確に示しています。
  • 「環境性能・ZEB」との連携強化: 環境大臣賞の「自然環境型CLT&ZEBオフィスビル」だけでなく、多くの施設でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)や省エネ性能が追求されています。木材の環境貢献度と建物の運用エネルギー削減をセットで提案することが常識となりつつあります。

この記事では、これらの受賞施設が「なぜ評価されたのか」「どのような技術や工夫が凝らされているのか」を深掘りします。

単なる事例紹介ではなく、皆様が明日からの実務に活かせる「設計のヒント」や「事業展開の切り口」を見つけていただくと幸いです。


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【総論】令和7年度 木材利用推進コンクール徹底分析

今年も、木造非住宅の最新の到達点を示す「木材利用推進コンクール」の受賞施設が発表されました。

建築実務者の皆様にとって、このコンクールの結果は、自社の技術や提案の方向性を確認する絶好の機会です。

今年の傾向を一言で言えば、「多様化するニーズへの木造ソリューションの確立」です。

都市部の商業施設から、大規模な教育施設、最先端のオフィスビルまで、あらゆる用途で木造が採用され、かつ高いレベルで成果を出していることがわかります。

コンクール全体から見える「木造化の現在地」

令和7年度の受賞施設一覧を見て、まず感じるのはその「用途の広がり」です。

内閣総理大臣賞の「NISHIGAWA TERRACE」は都市部の複合商業施設、農林水産大臣賞の「パッシブタウン」は集合住宅、文部科学大臣賞の「六戸学園」は義務教育学校、国土交通大臣賞の「CREVAおおくま」はインキュベーション(起業支援)施設です。

これは、木造非住宅が「公民館や小規模な店舗」といった特定のニッチな市場から脱却し、あらゆる建築分野における有力な選択肢として定着したことを示しています。

特に設計事務所や工務店・建設会社の皆様にとっては、これまでRC造やS造でしか考えていなかった案件に対しても、「木造化・木質化」というカードを自信を持って提案できる時代になったと言えるでしょう。

また、優秀賞に目を向けると、「熊本県立小川工業高等学校 実習棟」のような専門性の高い教育施設や、「鶴居村子どもセンター『こすもす』」といった福祉・子育て支援施設など、利用者の快適性や安全性が特に求められる分野での採用が目立ちます。

木材の持つ温かみや調湿性といった特性が、機能的な価値として明確に評価されている証拠です。

なぜ今、木造非住宅が再び注目されるのか?

このトレンドの背景には、いくつかの明確な理由があります。

一つ目は、言うまでもなく「脱炭素社会」への強力な要請です。

製造時のCO2排出量が少ない木材は「第二の森林」とも呼ばれ、建築物における炭素貯蔵庫としての役割が期待されています。

公共建築物等木材利用促進法(改正され、建築物木材利用促進法)の後押しもあり、特に公共・民間の大規模プロジェクトほど、木材利用は「CSR(企業の社会的責任)」や「ESG投資」の観点から必須要件となりつつあります。

二つ目は、「技術の進化」です。

CLT(直交集成板)やLVLといったエンジニアードウッドの発展、そして耐火・準耐火構造の技術革新により、従来は不可能とされていた大規模・中高層の木造建築が現実のものとなりました。

これは、特に施工を担う建設会社様にとって、新しい技術を取り入れることで他社との差別化を図る大きなチャンスを意味します。

三つ目は、「働き方・暮らし方の変化」です。

コロナ禍を経て、人々はオフィスや公共空間に対し、単なる機能性だけでなく「快適性」や「心地よさ」を強く求めるようになりました。

木質空間がもたらすストレス軽減効果や知的生産性の向上は、科学的にも証明されつつあり、建物の「付加価値」として発注者に強くアピールできるポイントとなっています。

特賞受賞施設に共通する「評価のポイント」

今年の特賞受賞施設を横断的に分析すると、いくつかの共通する「評価の軸」が見えてきます。

それは、「①地域性・社会課題への応答」「②先進的な技術の導入」「③木材の特性の最大化」の3点です。

「①地域性・社会課題への応答」とは、単にその地域の木材を使う(地産地消)だけでなく、その建築物が地域の何を解決するために作られたか、という点です。

「NISHIGAWA TERRACE」は都市の“賑わい創出”、「CREVAおおくま」は“復興支援と新たな産業創出”という明確なテーマを持っています。

「②先進的な技術の導入」は、前述のCLTや防耐火技術だけでなく、「パッシブタウン」に見られるような高い省エネ・環境技術との融合も含まれます。

そして最も重要なのが「③木材の特性の最大化」です。

構造体として力強く見せるだけでなく、内装や外装、家具に至るまで木材を適材適所に使い、その空間にいる人が「心地よい」と感じる設計がなされています。

建材メーカー様にとっては、自社製品がこうした空間にどう貢献できるかを具体的に示すヒントが満載です。


【特賞分析①】内閣総理大臣賞:NISHIGAWA TERRACE (岡山県)

令和7年度、最も栄誉ある内閣総理大臣賞に輝いたのは、岡山県の「NISHIGAWA TERRACE」です。

都市部の中心市街地に位置するこの施設は、商業施設としての機能だけでなく、地域の新たなランドマークとして、また人々が集う「テラス」としての役割を木造で実現しました。

木造非住宅、特に都市部でのプロジェクトを計画する設計事務所様やデベロッパー様にとって、「防火規制の壁」は常に大きな課題です。

このプロジェクトは、その課題に対する一つの見事な回答を示しています。

評価ポイント:都市部における「賑わい創出」と木材利用

「NISHIGAWA TERRACE」が評価された最大のポイントは、都市の中心部において、木材を大胆に「見せる」デザインを採用し、それが地域の「賑わい創出」という社会的な価値に直結している点です。

従来の都市型商業施設は、効率性を重視したRC造やS造の「箱」になりがちでした。

しかし、この施設は、木造の柱や梁、そして深い軒先空間を積極的にデザインに取り入れることで、無機質になりがちな都市景観に「温かみ」と「親しみやすさ」をもたらしました。

人々が自然と集まり、滞在したくなるような「開かれたテラス」空間は、木材という素材の特性を最大限に活かした結果です。

これは、木造化が単なる「環境配慮」の手段ではなく、「集客力」や「不動産価値の向上」に直結するという強力なメッセージを発しています。

非住宅プロジェクトを企画・提案する際、「木造にすることで、これだけの付加価値が生まれます」と発注者に具体的に示せる好事例と言えるでしょう。

実務へのヒント:防火規制とデザイン性をどう両立させたか

都市部の商業施設、となると実務者が真っ先に懸念するのが「防耐火規制」です。

特に、この施設のように木材を外観や半屋外空間に現し(あらわし)で使おうとすると、法令のハードルは一気に高くなります。

「NISHIGAWA TERRACE」は、この課題に対し、おそらく「燃えしろ設計」や「個別認定」の取得、あるいは「準耐火構造(木材を石膏ボードで覆うなど)」と「木質内装」を巧みに使い分けるなどの高度な設計技術を駆使していると推測されます。

注目すべきは、規制をクリアするためだけに木材を隠すのではなく、規制をクリアしつつ、いかに木材の魅力を最大限に引き出すかという設計者の強い意志が感じられる点です。

例えば、防火上求められる壁や天井の仕様を工夫しつつ、人の手が触れる部分や視線が集まる部分には効果的に木材を配置する。

こうした「メリハリのある設計」は、コスト管理が厳しい非住宅プロジェクトにおいて非常に重要な実務テクニックです。

規制を「制約」と捉えるのではなく、「工夫のしどころ」と捉える発想の転換が求められます。

建材・工法:地域材の活用と施工の工夫

この規模の施設で木造を採用し、かつ高いデザイン性を実現するためには、設計段階だけでなく「施工」と「建材」の力が不可欠です。

「NISHIGAWA TERRACE」のようなプロジェクトでは、岡山県産のヒノキやスギといった「地域材」が積極的に使われている可能性が高いです。

地域材の活用は、環境貢献だけでなく、地域の林業・製材業の活性化にもつながり、コンクールにおいても高く評価されるポイントです。

建材メーカー様や木材メーカー様にとっては、自社の製品(集成材、CLT、不燃・準不燃木材など)が、こうした都市部の厳しい要求(強度、耐久性、防耐火性能、デザイン性)にどう応えられるかをアピールする絶好の機会となります。

また、施工を担う工務店・建設会社様にとっては、木造の精度管理、特に大スパンの架構や複雑な接合部の施工ノウハウが問われます。

この事例は、「都市部での中規模木造」という、今後最も需要が伸びるであろう市場において、高い施工技術を持つことがいかに強力な武器になるかを示しています。


【特賞分析②】農林・文部・国土・環境大臣賞に見る多様性

内閣総理大臣賞以外にも、令和7年度は各省の大臣賞も粒揃いです。

これらの受賞作は、木造非住宅が活躍するフィールドがいかに多岐にわたっているかを示しています。

農林水産大臣賞の「パッシブタウン第5街区(富山県)」、文部科学大臣賞の「六戸町立義務教育学校六戸学園(青森県)」、国土交通大臣賞の「CREVAおおくま(福島県)」など、それぞれの施設が異なる社会的な要請に応えています。

ここでは、これらの特賞受賞作から、「集合住宅」「教育施設」「オフィス・産業施設」という、非住宅の主要な3分野における木造化の最前線を読み解きます。

パッシブタウン(富山県):エネルギー効率と木質化の融合

農林水産大臣賞を受賞した「パッシブタウン第5街区」は、富山県で進められている先進的なまちづくりプロジェクトの一環です。

ここでの注目点は、「高い省エネ性能(パッシブデザイン)」と「木質化」の融合です。

集合住宅において木造(特にCLT工法など)を採用することは、RC造に比べて断熱性能を高めやすい、建設時のCO2排出量を削減できるといったメリットがあります。

このプロジェクトは、単に木造の集合住宅を作っただけでなく、自然エネルギーを最大限に活用する「パッシブ」な設計思想と木材利用を組み合わせることで、「住みながら脱炭素に貢献するライフスタイル」そのものを提案しています。

実務的には、集合住宅の課題である「遮音性」や「耐火性」を、木造でいかにクリアしたかがポイントとなります。

CLTの床の工夫、あるいはRC造とのハイブリッド構造(例えば1階をRC造、上階を木造にするなど)の採用が考えられます。

エネルギー効率と木質化の両立は、今後の非住宅建築のスタンダードとなるでしょう。

六戸学園(青森県):大規模教育施設における木造の可能性

文部科学大臣賞の「六戸町立義務教育学校六戸学園」は、大規模な教育施設を木造で実現した事例として非常に重要です。

学校建築は、法律の改正により木造化が積極的に推進されている分野であり、多くの自治体や設計事務所が注目しています。

このプロジェクトの意義は、「子供たちの学びの場」として木材が最適であることを、大規模建築で証明した点にあります。

木材の持つ調湿性や温かみのある質感は、子供たちの集中力向上やストレス軽減に良い影響を与えると言われています。

実務的な課題は「大スパン空間(体育館や多目的ホール)」の実現と「コスト管理」です。

この規模になると、トラス構造や大断面の集成材を使った高度な構造設計が求められます。

また、公共事業としてのコスト制約の中で、いかに木造の良さを引き出すかが設計者と施工者の腕の見せ所です。

木造校舎のノウハウは、今後、建材メーカーや工務店にとって強力な競争力となります。

CREVAおおくま(福島県):復興とコミュニティの核としての木造

国土交通大臣賞の「CREVAおおくま」は、福島県大熊町の復興の象徴として、また新たな産業を生み出すインキュベーション施設として建設されました。

ここで木造が採用された意味は非常に大きいと言えます。

木造建築は、その建設プロセス自体が「地域の力を結集する」シンボルとなり得ます。

地域の木材を使い、地域の工務店が施工に関わる(あるいは関われるような工法を採用する)ことは、経済的な循環を生み出し、コミュニティの再生を後押しします。

この施設は、木造が単なる「ハコ」ではなく、「人々の想いや希望を繋ぐプラットフォーム」としての機能を持つことを示しています。

また、インキュベーション施設(新たなビジネスを育てる場)として、柔軟な間取り変更や将来的な増改築に対応しやすいという木造のメリットも活かされていると推測されます。

復興や地域創生といった社会課題に対し、木造建築がどう貢献できるかを示す、優れたモデルケースです。


優秀賞から学ぶ「木造化・木質化」の実践テクニック

特賞に輝いた大規模プロジェクトだけでなく、優秀賞を受賞した施設にも、実務のヒントが詰まっています。

むしろ、日常的な業務で直面する課題解決のヒントは、こちらにこそ多く隠されているかもしれません。

優秀賞には、「鶴居村子どもセンター『こすもす』(北海道)」や「熊本県立小川工業高等学校 実習棟」など、特定の用途に特化した施設や、既存の施設を改修した(であろう)事例も含まれています。

ここでは、「小規模施設」「特定用途」「構造技術」という3つの切り口から、より実践的で明日から使える木造化・木質化のテクニックを学びます。

小規模施設・リノベーションでの木材活用の勘所

優秀賞の中には、比較的小規模な施設や、店舗・オフィスのリノベーション(木質化)も含まれています。

非住宅木造の市場は、大規模建築だけでなく、こうした「身近な木造化」によっても支えられています。

小規模施設やリノベーションで木材を活用する際の「勘所」は、「コストパフォーマンス」と「スピード感」です。

大規模プロジェクトのように、防耐火のために特殊な認定を取得するのは現実的ではありません。

求められるのは、現行の建築基準法(内装制限など)の範囲内で、いかに効果的に木材の魅力を引き出すか、という設計・施工の知恵です。

例えば、構造体はS造やRC造のままでも、壁、天井、床、家具に地元の木材をふんだんに使う「木質化」は、発注者の満足度を低コストで高める有効な手段です。

建材メーカー様にとっては、施工が容易な不燃・準不燃の木質パネルや、デザイン性の高い内装材を提案するチャンスがここにあります。

教育施設・福祉施設における木質化のメリット

優秀賞でも「鶴居村子どもセンター」や「熊本県立小川工業高等学校 実習棟」など、教育・福祉関連施設の受賞が目立ちます。

これらの施設に共通して求められるのは、「利用者の安全性と快適性」です。

木材は、その柔らかい質感から、転倒時の衝撃を緩和する効果が期待できます。

また、木材が湿度を調整する「調湿性」は、特に乳幼児や高齢者が過ごす空間の快適性を高めます。

さらに、木材の香りや木目は、利用者のストレスを軽減し、精神的な安定をもたらす効果も指摘されています。

設計事務所様や工務店様は、こうした木材の「機能的なメリット」を、発注者である自治体や社会福祉法人に対して具体的にプレゼンテーションすることが重要です。

「見た目が良いから」という曖昧な理由ではなく、「利用者の健康と安全に、これだけ貢献できる」という科学的根拠(エビデンス)に基づいた提案が、プロジェクトの採用を後押しします。

実務者が注目すべき「構造・防耐火」の最新事例

コンクールの受賞作は、常にその時代の「最先端の技術」を反映しています。

特に木造非住宅において、実務者が常に情報をアップデートし続けなければならないのが「構造」と「防耐火」の技術です。

優秀賞の事例を詳しく見ていくと、例えば「小川工業高等学校 実習棟」のような工業高校の施設では、広い作業スペースを確保するための大スパン架構が求められたはずです。

そこでは、どのようなトラス構造や接合部のディテールが採用されたのか。

また、都市部の施設では、新たな防耐火技術や、法解釈の工夫が見られるかもしれません。

これらの技術的なチャレンジは、すぐに全てのプロジェクトで使えるものではないかもしれませんが、「木造でここまでできる」という可能性を知っておくことは、設計者や施工管理者としての引き出しを増やすことにつながります。

モクプロとしても、こうした個別の技術的な詳細については、今後さらに深掘りして「ナレッジ」として発信していきたいと考えています。


まとめ:受賞作から学び、次のプロジェクトを成功に導くために

ここまで、令和7年度の木材利用推進コンクール受賞作を、木造非住宅の実務に携わる皆様の視点で分析してきました。

内閣総理大臣賞の「NISHIGAWA TERRACE」から見えた「都市型木造の可能性」から、各大臣賞が示す「多様な分野への展開」、そして優秀賞に隠された「実践的テクニック」まで、多くのヒントが見つかったのではないでしょうか。

重要なのは、これらの受賞作を「すごい事例」として眺めるだけでなく、「自社のビジネスにどう活かすか」という視点を持つことです。

最後に、今回の分析を踏まえ、皆様が次のプロジェクトを成功に導くための具体的なアクションをまとめます。

明日から実務に活かせる「3つのヒント」

今回の受賞作分析から、建材メーカー様、工務店・建設会社様、設計事務所様が明日から実務に活かせるヒントを3つに絞り込みました。

1. 「環境性能」と「快適性」をセットで提案する

「パッシブタウン」や「六戸学園」の例を出すまでもなく、木造化とZEB・省エネ性能はセットで考えるのが主流です。設計事務所様は「木造にすると、これだけ快適で光熱費も下がります」と、建材メーカー様は「弊社の断熱材やサッシは木造と相性が良いです」と、具体的なメリットをセットで提案しましょう。

2. 「防耐火」を”弱点”から”強み”に変える

「NISHIGAWA TERRACE」のように、防耐火規制をクリアした上での高いデザイン性は、他社との強力な差別化ポイントになります。工務店様は「弊社は燃えしろ設計の施工実績があります」、建材メーカー様は「この不燃木材なら、このディテールで使えます」と、規制を乗り越えるための具体的な「技術力」をアピールすることが重要です。

3. 「地域性」をストーリーとして組み込む

「CREVAおおくま」のように、地域の木材を使い、地域の課題解決に貢献するストーリーは、発注者の共感を呼びます。単に「安いから」ではなく、「地域の森を守り、地域経済を回すために、この木材を使いましょう」という提案は、価格競争から一歩抜け出す力を持っています。

木造非住宅で直面する「よくある課題」の乗り越え方

とはいえ、木造非住宅のプロジェクトには依然として課題も多くあります。

今回の受賞作も、決して楽に実現したわけではないはずです。

実務者が直面する「よくある課題」と、その乗り越え方のヒントを整理します。

  • 課題①「コストが合わない」→ RC造やS造との単純なイニシャルコスト比較では、木造は不利になることもあります。しかし、木造の軽量性による「基礎工事の簡略化」、工期短縮による「人件費の削減」、そして「断熱性の高さによる運用コスト(光熱費)の削減」まで含めた**LCC(ライフサイクルコスト)**で比較する視点を発注者に提供することが重要です。
  • 課題②「対応できる施工者がいない」→ 特にCLTや大断面集成材を使った特殊な建築物は、施工経験のある建設会社が限られます。これは工務店・建設会社様にとっては参入のチャンスであり、設計事務所様にとっては**「施工しやすい設計(標準的な接合部の採用など)」**を心がける動機にもなります。また、モクプロのようなプラットフォームで、技術力のあるパートナーを見つけることも解決策の一つです。
  • 課題③「発注者の理解が得られない」→ 「木造=燃えやすい、弱い」という古いイメージをまだ持っている発注者もいます。今回の受賞作のような**「具体的な成功事例」と、「六戸学園」のような「利用者のメリット(快適性、健康)」**をセットで提示し、不安を解消していく地道な努力が求められます。

モクプロが提供する「次の一歩」のサポート

「モクプロ」は、木造非住宅に挑戦する建築実務者の皆様の「プラットフォーム」です。

今回のコンクール分析のような「ナレッジ」の提供を通じて、皆様の知識レベルを向上させるお手伝いをします。

しかし、知識だけではプロジェクトは成功しません。

私たちは、皆様が直面する具体的な課題に対し、「プロジェクト」(専門家の知見を交えた事例解説)や「コミュニティ」(実務者同士のネットワーク構築)といった価値も提供していきます。

「受賞作のような設計に挑戦したいが、防耐火のノウハウが足りない」

「CLTを使った施工に初めて挑むが、信頼できる専門家のアドバイスが欲しい」

「自社の木材製品を、こうした先進的なプロジェクトに提案したい」

こうした具体的な不安やお悩みがあれば、ぜひ「モクプロ」にご相談ください。

ハウス・ベース株式会社は、木造非住宅市場における皆様の「プロフェッショナルのパートナー」として、業界全体の成功を支援します。

今回の受賞作分析が、皆様の次なる挑戦の成功に繋がることを願っています。


ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援

非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。

諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。

木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。

ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。

「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための業務支援チームです。

◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出

◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築

【主なサービス内容】

◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。

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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。

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