【設計】用途別に見る非住宅木造、設計で押さえるべきポイント

【設計】用途別に見る非住宅木造、設計で押さえるべきポイント

近年、福祉施設や倉庫、オフィスビルといった「非住宅」の分野で、木造建築への注目が急速に高まっています。

かつては鉄骨造やRC造が主流だったこの市場で、なぜ今、「木」が選ばれているのでしょうか。

その背景には、単なるデザインの流行りだけではない、3つの大きな潮流があります。

1つ目は、SDGsやESG投資といった世界的な価値観の変化です。

環境への配慮が企業価値を左右する時代において、再生可能で炭素を貯蔵する木材の活用は、企業の持続可能性をアピールする強力なメッセージとなります 。  

2つ目は、CLT(直交集成板)や大断面集成材といった技術革新です。

これにより、従来は木造の弱点とされてきた大スパン空間や中高層建築が、高い性能とコスト効率で実現可能になりました 。  

そして3つ目は、「ウェルビーイング」への関心の高まりです。

木の持つ温もりや香りが、施設の利用者や働く人々の心身に良い影響を与えることが科学的にも示され始めています 。  

しかし、非住宅の木造化は、住宅とは異なる専門的な知識とノウハウが不可欠です。

本記事では、非住宅木造に取り組む設計事務所、工務店、建材メーカーの皆様が直面するであろう課題に寄り添い、具体的なプロジェクトを成功に導くための「勘所」を、用途別に分かりやすく解説していきます。 

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用途別に見る非住宅木造、設計で押さえるべきポイント

【設計】用途別に見る非住宅木造、設計で押さえるべきポイント

非住宅建築の木造化は、もはや一部の先進的な取り組みではありません。

社会の価値観と技術の進化が交差する今、それは企業の未来を左右する戦略的な一手となりつつあります。

環境への貢献が企業の評価に直結し、働く人や利用者の快適性がビジネスの成果に影響を与える時代。

木造建築は、これらの現代的な課題に対する非常に有効なソリューションを提供します。

ここでは、非住宅木造がなぜこれからのビジネスにおいて大きなチャンスとなるのか、その核心的な理由を3つの視点から掘り下げていきます。

自社の事業に新たな付加価値を生み出し、競合との差別化を図るためのヒントがここにあります。

SDGs・ESG投資で高まる企業価値

現代の企業経営において、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献やESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した投資への対応は、避けては通れない重要課題です。

建物を木造にすることは、これらの課題に対する具体的かつ目に見えるアクションとなります。

木材は、光合成によってCO2を吸収・貯蔵する唯一の建築資材であり、木造建築は「第二の森林」とも呼ばれます 。

鉄骨やコンクリートに比べて製造時のエネルギー消費が少ないため、建設段階でのCO2排出量も大幅に削減できます 。

これは、企業のカーボンニュートラル目標達成に直接貢献し、環境への配慮を明確に示すことができます 。

また、地域産材を活用すれば、林業の活性化や地域経済への貢献にも繋がり、社会(Social)的側面での評価も高まります 。

こうした取り組みは、ESGを重視する投資家からの評価を高め、企業価値の向上に直結するのです 。  

技術革新が実現した木造の新たな可能性

「木造は大きな建物には向かない」というイメージは、もはや過去のものです。

近年の技術革新、特にCLT(直交集成板)や大断面集成材といった「エンジニアードウッド」の登場が、木造建築の可能性を劇的に広げました 。

これらの新しい木質材料は、強度や品質が均一で、設計通りの性能を安定して発揮できます。

例えば、CLTは巨大なパネルとして壁や床を構成し、高い耐震性や耐火性を実現 。

大断面集成材やトラス構造を用いれば、倉庫や工場に求められる数十メートル級の柱のない大空間も、木造で十分に実現可能です 。

さらに、部材を工場で精密に加工し、現場で組み立てるプレファブ化により、高い施工品質を保ちながら工期を短縮することも可能になりました 。

これらの技術革新によって、木造は鉄骨造やRC造と対等、あるいはそれ以上に競争力のある選択肢となっているのです。  

木の空間がもたらすウェルビーイング効果

建物の価値は、もはや機能性や経済性だけで測られるものではありません。

その空間で過ごす人々が、いかに心身ともに健康で、快適に過ごせるかという「ウェルビーイング」の視点がますます重要になっています。

木材がふんだんに使われた空間は、人のストレスを軽減し、集中力を高める効果があることが、多くの研究で示されています 。

木の温かみのある見た目、柔らかな手触り、そして心地よい香りは、無機質になりがちなオフィスや施設に安らぎと癒やしをもたらします 。

特に、長時間過ごすことになるオフィスや福祉施設において、この効果は計り知れません。

従業員の生産性向上や創造性の発揮、福祉施設利用者の精神的な安定など、ビジネスの成果やサービスの質に直結するメリットが期待できるのです。

建物の木造化・木質化は、利用者や従業員への配慮を示す投資であり、企業の社会的責任を果たす上でも重要な意味を持ちます。  

【ケーススタディ1】福祉施設の設計で失敗しないための勘所

【ケーススタディ1】福祉施設の設計・施工で失敗しないための勘所

高齢者施設や障がい者施設などの福祉施設は、非住宅木造の中でも特に需要が高まっている分野です。

木の温もりが利用者の心に安らぎを与えるなど、木造との親和性が非常に高い一方で、その設計・施工には特有の難しさが伴います。

利用者の安全を最優先に考えた厳格な法規制、特に火災に対する安全基準は、他の用途の建物とは比較にならないほど厳しいものです。

この複雑な法規制をいかにクリアしつつ、木造ならではの魅力を最大限に引き出すか。

それがプロジェクト成功の鍵を握ります。

ここでは、福祉施設の木造化でつまずきがちなポイントを3つに絞り、実践的な解決策を解説します。

複雑な耐火要件をクリアする「準耐火建築物」という最適解

福祉施設の設計で最も頭を悩ませるのが、建築基準法で定められた厳しい防火・耐火の規定です 。

特に、3階建て以上や延床面積3,000㎡を超える大規模な施設は、原則として主要構造部を耐火構造とした「耐火建築物」にする必要があります 。

木造でこれを実現するのは技術的に可能ですが、特殊な部材や工法が必要となり、コストが大幅に上昇し、デザインの自由度も大きく損なわれてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、プロジェクトを「準耐火建築物」の範囲で計画するという戦略です 。

例えば、建物を2階建て以下、延床面積3,000㎡以下に抑えることで、要求される性能が「準耐火構造」になります 。(※建設地の規制により異なります。)

準耐火構造であれば、「燃えしろ設計」という技術を活用できます。

これは、火災時に表面が燃えて炭化することで、内部の構造芯材を守ることを計算に入れた設計手法で、構造材である木材をそのまま内装に現しにすることも可能です 。

コストを抑えながら木の魅力を活かせる「準耐火建築物」は、木造福祉施設における最適な選択肢と言えるでしょう。  

利用者の尊厳を守るバリアフリー設計のポイント

福祉施設では、高齢者や障がいを持つ利用者が安全かつ快適に過ごせるよう、バリアフリー法に基づいた設計が不可欠です 。

この法律には、「義務基準」と「誘導基準」という2つのレベルがあることをご存知でしょうか 。

義務基準は、法的に満たさなければならない最低限の基準です。

一方、誘導基準は、それよりも高い水準を定めた推奨基準です 。

例えば、廊下幅は義務基準で120cm以上ですが、誘導基準では車椅子同士がすれ違える180cm以上と定められています 。

義務基準を満たせば法的には問題ありませんが、誘導基準を達成することで、税制上の優遇措置が受けられたり、利用者やその家族に対してより質の高い施設であることをアピールできたりと、多くのメリットがあります 。

単に数値をクリアするだけでなく、利用者の自立した生活と尊厳を支えるという視点に立ち、どちらの基準を目指すのかを事業計画の段階から検討することが、施設の価値を大きく左右します。  

規制の中でも「木の温もり」を実現する内装デザイン術

福祉施設に木造を選ぶ最大の理由は、その「温もり」ある空間づくりにあります 。

しかし、ここでも防火の規定が壁となります。

建築基準法では、火災時の安全な避難経路を確保するため、廊下や階段などの壁・天井の仕上げに燃えにくい材料(不燃・準不燃材料)を使う「内装制限」が定められています 。

この規定をそのまま適用すると、せっかくの木材を隠さなければならなくなります。

しかし、諦める必要はありません。

ここでも技術的な解決策があります。

一つは、先ほど紹介した「燃えしろ設計」です。

これにより、構造材である柱や梁をそのまま見せることが可能になります 。

もう一つは、「不燃処理木材」の活用です。

これは、木材に薬剤を注入したり、特殊な塗料を塗ったりすることで、木材自体を燃えにくくした材料です 。

これを使えば、内装制限のかかる壁や天井にも、仕上げ材として木材を使うことができます。

これらの技術をうまく組み合わせることで、安全性とデザイン性を両立し、利用者が心から安らげる、温かみに満ちた空間を実現できるのです。  

【ケーススタディ2】倉庫・工場のコストと大空間を両立させる技術

【ケーススタディ2】倉庫・工場のコストと大空間を両立させる技術

広大な無柱空間と徹底したコスト管理が求められる倉庫や工場。一見すると、木造建築とは縁遠いように思えるかもしれません。

しかし、最新の木構造技術は、この分野でも鉄骨造に引けを取らない、むしろそれ以上のパフォーマンスを発揮するポテンシャルを秘めています。

特に、部材を工場で生産し現場で組み立てる工法は、品質の安定化と工期短縮に大きく貢献します。

ここでは、木造で倉庫や工場を建てる際に鍵となる「大スパン技術」と「コスト」という2大テーマに焦点を当て、その実現方法と鉄骨造との比較、そして木造ならではの付加価値について、具体的な事例を交えながら解説します。

大スパンを実現する「トラス構造」と「CLT工法」の使い分け

倉庫や工場では、作業効率や保管効率を最大化するために、内部に柱のない数十メートルの大空間(大スパン)が不可欠です 。

この要求に木造で応える代表的な技術が「木造トラス」と「CLT工法」です。

「木造トラス」は、部材を三角形に組み合わせることで、軽量でありながら非常に高い強度を持つ骨組みを作る技術です 。

比較的小さな断面の木材を効率的に使うため材料コストを抑えやすく、40m級の大スパンも実現可能です 。

体育館や大規模な倉庫など、特に長大なスパンが求められる場合に適しています。

一方、「CLT工法」は、木の板を繊維方向が直交するように重ねて接着した巨大なパネル(CLT)で壁や床、屋根を構成する工法です 。

パネル自体が構造体となるため耐震性や耐火性に優れ、断熱材や内装仕上げ材の役割も兼ねるため、工期を大幅に短縮できるメリットがあります 。

10m~20m程度のスパンに適しており、中規模の倉庫や工場で力を発揮します 。  

坪単価だけじゃない!木造 vs 鉄骨造のトータルコスト比較

倉庫建設のコストを考える際、坪単価だけで木造と鉄骨造を比較するのは早計です。

プロジェクト全体、さらには建物のライフサイクル全体を見据えたトータルコストで判断することが重要です。

一般的に、木造は鉄骨造に比べて坪単価が安い傾向にあります 。

さらに、木造は建物自体が軽量なため、基礎工事を簡素化でき、コストを大幅に削減できる可能性があります 。

軟弱地盤などでは、この差が数千万円に及ぶこともあります。

また、プレファブ化された部材を使うことで工期が短縮され、人件費や管理費の削減にも繋がります 。

運用面では、税法上の法定耐用年数が木造の方が短いため、毎年の減価償却費を大きく計上でき、節税効果が期待できます 。

一方で、鉄骨は解体時に有価物として売却できるというメリットもあります 。

これらの要素を総合的に比較検討することが、最適な構造選択に繋がります。  

事例に学ぶ、自動車工場の木造化が示すブランディング効果

京都府に建設された「岡田自動車株式会社 社屋」は、木造が現代の産業施設として持つ新たな価値を示す好例です 。

このプロジェクトは、自動車整備工場という、火気も扱うため高い耐火性能が求められる建物を、木造軸組工法と大断面集成材を組み合わせて実現しました 。

注目すべきは、木造を選んだ理由がコストや工期といった合理性だけではなかった点です。

同社は「環境配慮型」であり、「カーボンニュートラル」を目指すという明確な企業姿勢を、建物の木造化によって社会に示したのです 。

結果として、この取り組みはSDGs事業としても認証され、メディアにも取り上げられるなど、大きな広報効果を生み出しました 。

この事例から学べるのは、現代において工場の木造化は、単なる建設プロジェクトではなく、企業の環境に対する姿勢やブランドイメージを社会に伝えるための強力なマーケティングツールになり得る、ということです。  

【ケーススタディ3】オフィス・店舗を成功に導く木造デザイン

【ケーススタディ3】オフィス・店舗を成功に導く木造デザイン

人々が集い、働き、商品やサービスを体験するオフィスや店舗。

これらの商業空間において、木造建築が持つ力は、単に「雰囲気が良い」というレベルに留まりません。

建築そのものが企業のブランドメッセージを発信し、働く人の創造性を刺激し、そして目まぐるしく変わる事業環境に柔軟に対応する。

そんな戦略的な資産としての役割を担うことができます。

ここでは、オフィスや店舗の木造化を計画する際に押さえておきたい3つの重要な視点、「ブランディング」「可変性」「ウェルビーイング」について、先進的な事例を参考にしながら、その具体的な設計アプローチを解説します。

企業の「顔」を作る、木造化によるブランディング戦略

オフィスや店舗は、企業の理念や価値観を社会に伝える「顔」です。

木造建築は、そのための強力な表現ツールとなります。

例えば、構造材である柱や梁をあえて見せるデザインは、「誠実さ」や「技術へのこだわり」を雄弁に物語ります 。

銀座に建てられた12階建ての木造ハイブリッドビル「HULIC &New GINZA 8」は、外装にも木材を用いることで都市景観に温かみを与え、サステナビリティと技術革新を両立する企業姿勢を鮮烈にアピールしています 。

また、地元産の木材を積極的に使えば、地域社会との繋がりを大切にする企業であることを示し、顧客からの共感と信頼を得ることにも繋がるでしょう 。

このように、木造建築は言葉以上の説得力でブランドストーリーを伝え、企業の価値を高めることができるのです。  

将来のレイアウト変更に備える「可変性」の高い空間設計

ビジネスの変化のスピードが加速する現代において、オフィスや店舗のあり方も常に変化し続けます。

将来の事業拡大や組織変更、新しい働き方への対応などを見据え、建築には長期的な視点での「可変性」が求められます 。

この課題に対し、木造建築は非常に有効な答えを持っています。

その鍵となるのが「スケルトン・インフィル」という考え方です。

これは、建物の骨格(スケルトン)と、内装の間仕切りや設備(インフィル)を分離して設計する手法で、構造体に影響を与えることなく、容易にレイアウトを変更できます 。

特に、大断面集成材やLVL(単板積層材)といった材料を使えば、内部に柱のない広々とした空間を作ることができ、最大限のレイアウトの自由度を確保できます 。

日本の伝統的な木造軸組工法も、耐力壁以外の壁は比較的簡単に移動・撤去できるため、本質的に高い可変性を持っています 。  

働く人の生産性を高める「バイオフィリックデザイン」とは

従業員の満足度や生産性の向上は、あらゆる企業にとって重要な経営課題です。その解決策の一つとして注目されているのが、「バイオフィリックデザイン」です。

これは、人間が本来持つ「自然と繋がりたい」という本能的欲求(バイオフィリア)を満たすことで、人々の幸福度や生産性を高めようとする設計思想です。

そして、その最も効果的な手法が、建築空間に木材を積極的に取り入れることです。

オフィスに木製の家具があったり、内装に木が使われていたりする環境は、従業員のストレスを軽減し、集中力や創造性を向上させることが科学的にも証明されています 。

木に囲まれた空間は、空気中の湿度を適度に調整してくれる効果もあり、快適な執務環境づくりに貢献します。

従業員のウェルビーイング(心身の健康)を重視する「健康経営」の観点からも、オフィスの木質化は、人材確保や定着にも繋がる価値ある投資と言えるでしょう。  

全ての非住宅木造で押さえるべき共通の構造設計・材料選び

全ての非住宅木造で押さえるべき共通の構造設計・材料選び

これまで用途別に非住宅木造のポイントを見てきましたが、最後に、どの用途の建物を計画する上でも共通して重要となる、基本的な技術知識について解説します。

特に、利用者の快適性に直結する「音」と「振動」の問題、そしてプロジェクトの品質とコストを左右する「木材・建材の選び方」は、設計の初期段階でしっかりと押さえておくべき勘所です。

また、どんなに優れた計画も、それを実現するパートナーがいなければ絵に描いた餅になってしまいます。

プロジェクトを成功に導くためのチームづくりの重要性についても触れたいと思います。

これらの普遍的な知識が、あなたの非住宅木造プロジェクトの確かな土台となるはずです。

快適性を左右する「音」と「振動」への対策

木造建築は、コンクリート造などに比べて軽量であるため、音や振動が伝わりやすいという特性があります。

特に階下への足音などの「床衝撃音」は、利用者の快適性を大きく損なう原因となるため、適切な対策が不可欠です。

床衝撃音には、スプーンを落とした時のような「カツン」という高音域の「軽量床衝撃音(LL)」と、子供が走り回る時のような「ドスン」という低音域の「重量床衝撃音(LH)」の2種類があり、それぞれ対策が異なります 。

特に木造で問題になりやすいのが重量床衝撃音です。

対策の基本は、複数の技術を組み合わせること。

床の構造を強くして揺れにくくしたり、天井を上階の床から独立させて振動を伝わりにくくする「独立天井」を採用したり 、天井を吊る金物にゴムなどの緩衝材が入った「防振吊木」を使ったり 、床下や天井裏に吸音材を充填したりといった方法を、建物の性能要求に合わせて複合的に計画することが重要です。  

用途とコストで選ぶ!最適な木材・建材ガイド

「木材」と一言で言っても、その種類と特性は様々です。

プロジェクトの要求性能と予算に合わせて最適な材料を選ぶことが、コストパフォーマンスを高める上で非常に重要です。

一般的に構造材として使われる国産材では、スギは比較的安価で加工しやすい一方、ヒノキは高価ですが耐久性や防蟻性に優れています 。

また、近年は技術開発によって生み出された「エンジニアードウッド」の活用が不可欠です。

小さな木材を接着して作る「集成材」は、強度が高く、湾曲した梁など自由な形状を作ることができます 。

薄い板を重ねた「LVL」は、非常に高い強度を持ち、少ない部材で大スパンを支えることができます 。

そして、巨大なパネルで面として建物を支える「CLT」は、施工が早く、耐火性にも優れています 。

これらの材料の特性を理解し、建物のどこに、どの材料を使うのが最も合理的かを考えることが、設計者の腕の見せ所です。  

プロジェクト成功の鍵を握るパートナー選びの重要性

非住宅木造は、意匠設計、構造設計、施工、材料供給など、多くの専門家が連携して初めて実現できるプロジェクトです。

特に、木造に関する深い知識と経験を持つパートナーを見つけることが、プロジェクトの成否を大きく左右します。

例えば、複雑な法規制を読み解き、木造のメリットを最大限に引き出す設計提案ができる設計事務所。

木材の特性を理解し、精度の高い加工・施工ができる工務店や建設会社。

そして、品質の高い木質建材を安定的に供給できるメーカー。

これらの専門家たちと早期にチームを組み、それぞれの知見を持ち寄って計画を進めることが、手戻りをなくし、品質とコストパフォーマンスの高い建築を実現するための最も確実な方法です。

私たち「モクプロ」は、そんな専門家たちと繋がることができるプラットフォームとして、皆様の挑戦をサポートします。

まとめ

まとめ 木造非住宅 非住宅木造 設計 用途

本記事では、福祉施設、倉庫・工場、オフィス・店舗という3つの主要な用途別に、非住宅木造の設計・施工における重要な「勘所」を解説してきました。

福祉施設では、厳しい法規制をクリアしつつ木の温もりを実現するために、「準耐火建築物」という枠組みを戦略的に活用することが鍵となります。

倉庫・工場では、トラス構造やCLT工法といった技術を使い分けることで、鉄骨造にも劣らない大スパン空間とコストパフォーマンスを両立できます。

そしてオフィス・店舗においては、建築そのものが企業のブランド価値を高め、将来の変化に柔軟に対応する戦略的資産となり得ます。

これらの事例から見えてくるのは、現代の非住宅木造が、もはや単なる「建物を建てる」という行為に留まらないということです。

それは、環境問題への貢献(SDGs・ESG)という社会的要請に応え、利用者の心身の健康(ウェルビーイング)を高め、そして企業の持続的な成長を支えるための、極めて有効な経営戦略なのです。

もちろん、非住宅木造への挑戦には、専門的な知識や特有の課題が伴います。

しかし、それぞれの用途に合わせた適切なアプローチと、信頼できるパートナーとの連携があれば、そのハードルは決して高くありません。

この記事が、皆様の次なるプロジェクトへの一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援

非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。

諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。

木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。

ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。

「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための実務支援チームです。

◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出

◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築

【主なサービス内容】

◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。

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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。

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