【集客】 脱炭素を武器に!木造建築でSDGsをアピールする広報術

「うちは技術力には自信がある。品質の高い、良い建物をつくっている。しかし、その価値がなかなか施主や社会に伝わらない…」。

多くの工務店や建設会社の経営者様、広報担当者様が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。

現代のビジネス環境において、単に「良いものをつくる」だけでは、厳しい競争を勝ち抜くことは難しくなっています。

特に非住宅建築の分野では、施主が工務店・建設会社を選ぶ基準が大きく変化しています。

その最大のキーワードが「脱炭素」そして「SDGs」です。

もはや環境への配慮は、企業の社会的責任(CSR)という枠を超え、事業の成長を左右する「経営戦略」そのものとなりました。

この大きな潮流の中で、木造建築が持つ「環境価値」は、他社との差別化を図り、受注を獲得するための強力な武器になり得ます。

この記事では、木造非住宅ビジネスに取り組む皆様が、その武器を最大限に活用するための「広報術」を、具体的かつ実践的に解説します。

なんとなく「木は環境に良い」と伝えるのではなく、説得力のあるメッセージとして発信し、企業のブランド価値を高め、未来のビジネスチャンスを掴むためのヒントがここにあります。

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なぜ今、木造建築で「脱炭素・SDGs」を語るべきなのか?

なぜ今、木造建築で「脱炭素・SDGs」を語るべきなのか?

もはや「環境への配慮」は、一部の先進的な企業だけが取り組む特別な活動ではありません。

特に、投資額が大きく、社会的な影響も大きい非住宅建築の分野では、建物の環境性能がプロジェクトの成否を分ける重要な要素となっています。

施主、特に企業は、自社の事業活動全体におけるCO2排出量の削減を厳しく求められており、その一環として、建設する建物にも高い環境性能を要求するようになりました。

この動きは、建設業界にとって大きなプレッシャーであると同時に、木造建築の価値を最大限にアピールできる絶好の機会でもあります。

この章では、なぜ今、広報戦略の軸に「脱炭素」と「SDGs」を据えるべきなのか、その背景にある3つの大きな時代の変化について詳しく解説していきます。

施主が建設会社に「環境性能」を求める時代の到来

かつて、施主が建物に求める性能は、主にコスト、デザイン、耐久性、機能性でした。

しかし現在、そこに「環境性能」という新たな、そして非常に重要な評価軸が加わっています。

特に企業が施主となる場合、その傾向は顕著です。

なぜなら、多くの企業が投資家や金融機関、そして消費者から、サプライチェーン全体での脱炭素化を強く求められているからです 。

自社工場やオフィスの建設は、そのサプライチェーンにおける重要な活動の一つ。

ここで環境に配慮しない建物を建ててしまうと、企業全体の評価を損ないかねません。

そのため、施主は建設パートナーを選ぶ際に、「この会社は、我々の脱炭素経営に貢献してくれるか?」という視点を持つようになっています。

これは、環境への取り組みが、単なるイメージアップ戦略ではなく、取引を継続するための必須条件になりつつあることを意味します 。

したがって、工務店や建設会社は、自社の技術がいかに環境負荷を低減し、施主の企業価値向上に貢献できるかを、明確にアピールする必要があるのです。  

企業価値を高める「脱炭素経営」という新たな潮流

「脱炭素経営」とは、気候変動対策をコストではなく、事業成長の機会と捉える経営スタイルです 。

この考え方は、建設業界においても急速に広まっています。

脱炭素に貢献する技術やノウハウを持つことは、新たなビジネスチャンスを掴み、競争力を強化することに直結します 。

例えば、省エネ性能の高い建物を設計・施工できる能力は、施主のランニングコスト削減に貢献するだけでなく、補助金の活用にも繋がります。

また、環境問題への積極的な取り組みは、企業のブランドイメージを向上させ、優秀な人材を惹きつける効果も期待できます 。

逆に、この潮流に乗り遅れることは、将来のビジネス機会を失うリスクを意味します。

政府が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)の流れの中で、環境性能の低い建物や技術は、徐々に市場から受け入れられなくなっていくでしょう 。

今こそ、脱炭素への取り組みを自社の強みとして積極的に発信し、未来に向けた企業価値を構築していくべき時なのです。  

2025年法改正も後押しする非住宅木造化の流れ

こうした社会的な要請に加え、法律の面でも非住宅建築の木造化を強力に後押しする動きがあります。

それが、2025年4月から順次施行される改正建築基準法です。

この法改正の大きなポイントの一つが、防火規定の合理化です 。

これまで、特に都市部の3,000㎡を超えるような大規模建築物では、厳しい耐火性能が求められ、木造での実現には高いハードルがありました。

しかし改正後は、新しい技術や設計手法を用いることで、構造材である木をデザインとして見せる「現し」での利用がしやすくなったり、部分的に木造を取り入れたりすることが容易になります 。

これは、木造建築の設計の自由度を大きく高め、これまで鉄骨造やRC造が主流だった中大規模の事務所、店舗、倉庫などにおいても、木造という選択肢が現実的になることを意味します。

この法改正は、まさに国が木材利用を促進しようとしている明確なシグナルであり、木造建築の持つ環境価値をアピールする絶好の追い風となるでしょう。  

木造建築が持つ「環境価値」を言語化する3つのステップ

木造建築が持つ「環境価値」を言語化する3つのステップ

「木造建築は環境に良い」。この漠然としたイメージを、どうすれば施主や社会の心に響き、説得力を持つメッセージに変えることができるのでしょうか。

多くの人が感覚的に理解している木造の魅力を、ビジネスの場で通用する「価値」として伝えるには、少し工夫が必要です。

それは、感覚的な言葉を、客観的な事実や具体的な数値、そして共感を呼ぶストーリーへと翻訳していく作業、つまり「言語化」です。

この章では、木造建築の環境価値を効果的にアピールするための、具体的な3つのステップをご紹介します。

このステップを踏むことで、あなたの会社の広報メッセージは、より深く、広く、そして強く、ターゲットに届くようになるはずです。

ステップ1:「炭素貯蔵効果」を具体的な数値で示す

木造建築が環境に貢献する最大の理由の一つが、建材である木材そのものが炭素を貯蔵する効果を持つことです。

樹木は光合成によって大気中のCO2を吸収し、炭素として内部に固定します。

伐採され、建材として使われた後も、その炭素は建物が存在する限り、数十年間、あるいは百年以上にわたって貯蔵され続けます。

これは、建てるだけでCO2を削減できる、木造建築ならではのユニークな価値です。

この価値を伝える上で重要なのは、「なんとなくエコ」ではなく、「具体的にどれくらいか」を数値で示すことです。

例えば、ある木造マンションの事例では、「スギの木約3,000本分の炭素を固定している」とアピールしています 。

自社が手掛けた建物について、使用した木材の量から炭素固定量を算出し、「このオフィスビルは、乗用車が地球を〇周する分のCO2を貯蔵しています」といった、分かりやすい表現で伝えることで、メッセージの説得力は飛躍的に高まります。  

ステップ2:貢献できるSDGs目標を特定し、ストーリーを作る

2030年までの達成を目指す国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)は、今や多くの企業が経営の指針としています。

木造建築は、このSDGsの17の目標のうち、複数の目標達成に貢献することができます。

例えば、

「目標11:住み続けられるまちづくりを」では、快適で健康的な建築空間の提供が、

「目標12:つくる責任 つかう責任」では、再生可能な資源である木材の利用が、

「目標13:気候変動に具体的な対策を」では、炭素貯蔵効果が、

そして「目標15:陸の豊かさも守ろう」では、適切に管理された森林から産出された木材の利用が、

それぞれ貢献に繋がります。

ここで大切なのは、単に貢献できる目標番号を羅列するのではなく、それらを繋ぎ合わせ、自社の事業活動に結びつけたストーリーとして語ることです。

「私たちは、地域の森林で育った木材を使うことで、健全な森林循環を促し(目標15)、輸送エネルギーを削減しながら(目標13)、地域経済の活性化にも貢献しています(目標11)」といったストーリーは、聞く人の共感を呼び、企業の姿勢を深く印象付けます。

ステップ3:FSC認証材など「信頼の証」を活用する

環境への配慮をうたう際に、その主張が客観的に正しいものであることを示す「信頼の証」は非常に重要です。

その代表的なものが、FSC®(森林管理協議会)認証などの第三者認証を受けた木材の活用です。

FSC認証は、その木材が、環境、社会、経済の基準を満たして適切に管理された森林から生産されたものであることを証明する国際的な制度です。

この認証材を積極的に採用し、そのことをウェブサイトやCSR報告書、提案資料などで明確にうたうことで、自社の環境への取り組みが単なる自己満足ではなく、国際的な基準に基づいた信頼性の高いものであることをアピールできます 。

これは、特に環境意識の高い施主や、グローバルに事業を展開する企業に対して、非常に有効なメッセージとなります。

認証マークは、言葉以上に雄弁に、企業の真摯な姿勢を物語ってくれるのです。  

明日から使える!木造の価値を伝える具体的な広報チャネル別実践術

明日から使える!木造の価値を伝える具体的な広報チャネル別実践術

木造建築の持つ環境価値をしっかりと「言語化」できたら、次はいよいよ、それを世の中に発信していくステップです。

どんなに素晴らしいメッセージも、届けるべき相手に届かなければ意味がありません。

幸いなことに、現代にはウェブサイトやSNSなど、コストを抑えながら効果的に情報を発信できるツールが数多く存在します 。

重要なのは、それぞれのメディアの特性を理解し、ターゲットに最も響く形で情報を届けることです。

この章では、工務店や建設会社の皆様が明日からすぐに実践できる、具体的な広報術を「ウェブサイト」「SNS」「提案資料」という3つの主要なチャネルに分けて解説します。

少しの工夫で、今ある広報ツールが、受注に繋がる強力な集客装置へと生まれ変わるはずです。  

【ウェブサイト編】施工事例を「環境価値」で再編集する

多くの工務店・建設会社のウェブサイトには、これまでの実績を紹介する「施工事例」のページがあるはずです。

この既存のコンテンツこそ、環境価値をアピールするための最高の舞台となります 。

まずは、過去の施工事例を見直し、「環境」という新たな切り口で情報を追加してみましょう。

例えば、美しい建物の写真や設計のポイントに加えて、

「この福祉施設では、〇〇県産のFSC認証材をXX㎥使用し、約〇〇トンのCO2を固定しています」

「高い断熱性能により、一般的な同規模のオフィスビルと比較して、年間の冷暖房エネルギーを〇〇%削減できます」

といった具体的なデータを追記するのです。

これにより、施工事例は単なる実績紹介から、企業の技術力と環境への貢献度を同時に証明する強力なコンテンツへと進化します。

こうした情報は、環境性能を重視する施主にとって、非常に価値のある判断材料となるでしょう。  

【SNS編】写真と短い言葉で共感を呼ぶ発信テクニック

InstagramやFacebookといったSNSは、企業の「人柄」や「想い」を伝え、顧客との親密な関係を築くのに非常に有効なツールです 。

特に建築分野では、ビジュアルの力が絶大です。

木目が美しい内装の写真、青空に映える木造建築の外観、現場で真剣な眼差しで作業する職人の姿など、情緒に訴えかける一枚の写真は、多くの言葉よりも雄弁に木の魅力や仕事への情熱を伝えます。

ここに、「#木のある暮らし」「#サステナブル建築」「#脱炭素」「#地域材」といったハッシュタグを効果的に組み合わせることで、関心の高いユーザーに情報を届けることができます 。

長文の説明は不要です。

「地元の森の木が、街の新しい顔になりました」といった短い言葉を添えるだけで、見る人の共感を呼び、企業のファンを育てることに繋がります。

定期的な投稿を心がけ、親しみやすいコミュニケーションを重ねていくことが成功の鍵です。  

【提案資料編】施主の心を動かすデータとビジュアルの見せ方

最終的に受注を決定づける重要な場面が、施主へのプレゼンテーションです。

この場で使用する提案資料は、ロジック(論理)とエモーション(情緒)の両面から、木造建築の価値を訴えかける必要があります。

ロジックの面では、炭素固定量や省エネ性能といった環境価値を、グラフや表を用いて客観的なデータとして示します。

初期コストだけでなく、断熱性の高さによる光熱費の削減効果など、建物のライフサイクル全体で見た経済的なメリットを具体的に提示することも重要です。

一方、エモーションの面では、高品質なCGパースや過去の事例写真を用いて、木に囲まれた空間がいかに快適で、そこで働く人々のウェルビーイング(心身の健康)に貢献するかを視覚的に伝えます。

データによる説得力と、ビジュアルによる共感。

この二つを組み合わせることで、施主の心を動かし、「この会社に任せたい」という最終的な決断を力強く後押しすることができるのです。

信頼を失わないために。広報担当者が知るべき「グリーンウォッシュ」対策

信頼を失わないために。広報担当者が知るべき「グリーンウォッシュ」対策

環境価値をアピールする広報活動は、企業のイメージを大きく向上させる力を持つ一方で、一歩間違えれば「グリーンウォッシュ」と批判され、逆に信頼を失ってしまう危険性もはらんでいます。

グリーンウォッシュとは、環境に配慮しているように見せかけて、実態が伴わないのにそのイメージだけを訴求することを指します。

消費者の環境意識が高まるにつれて、こうした見せかけの環境配慮に対する視線は世界的に厳しくなっています。

企業の広報担当者としては、意図せずしてグリーンウォッシュと見なされることがないよう、正しい知識を持って慎重に情報発信を行う責任があります。

この章では、企業の信頼を守り、誠実な広報活動を続けるために不可欠な、グリーンウォッシュ対策の基本を解説します。

「環境にやさしい」だけではNG?誤解を招く表現とは

広報活動において、つい使ってしまいがちな「環境にやさしい」「エコ」「グリーン」といった言葉。

しかし、これらの言葉は非常に曖昧で、具体的な根拠が示されていない場合、グリーンウォッシュと見なされる可能性が高い表現です 。

例えば、単に木造であるというだけで「環境にやさしい建築」とうたうのは不十分です。

その木材が違法伐採されたものではないか、建設プロセスで大量のエネルギーを消費していないか、といった点も考慮されるべきだからです。

欧州などでは、こうした曖昧な環境主張に対する規制がすでに強化されており、日本でも今後同様の動きが広がる可能性があります 。

広報メッセージを作成する際は、こうした漠然とした言葉に頼るのではなく、「国産のFSC認証材を使用することで、持続可能な森林管理に貢献しています」のように、具体的で検証可能な事実に基づいて表現することを常に心がける必要があります。  

根拠を示すLCA手法や第三者認証の重要性

自社の主張に客観的な信頼性を持たせるためには、科学的な根拠や第三者によるお墨付きが非常に有効です。

その代表的な手法の一つが、LCA(ライフサイクルアセスメント)です。

これは、製品やサービスが、原料調達から製造、使用、廃棄に至るまでの全段階(ライフサイクル)で、環境にどのような影響を与えるかを定量的に評価する手法です 。

このLCAを用いて、「我々の木造建築は、同規模の鉄骨造建築と比較して、建設段階でのCO2排出量を〇〇%削減できます」といった具体的なデータを示すことで、主張の信頼性は格段に高まります。

また、前述したFSC認証や、「エコリーフ」のような製品の環境情報を開示する環境ラベルを積極的に取得・活用することも、グリーンウォッシュ批判を避けるための有効な対策となります 。

こうした客観的な評価を積極的に取り入れる姿勢が、企業の誠実さを示すことに繋がります。  

誠実な情報開示が未来の信頼を築く

グリーンウォッシュを避けるための最も確実で本質的な対策は、徹底した「情報開示」です 。

これは、自社にとって都合の良い情報だけをアピールするのではなく、取り組みの全体像を正直に伝える姿勢を意味します。

例えば、木材の調達先や使用している接着剤の成分、建設現場での廃棄物リサイクル率など、環境に関わる情報を可能な限りオープンにすることが求められます。

もちろん、現時点での課題や、目標達成に向けた今後の計画なども含めて開示することが理想です。

一見、自社の弱みを見せるように感じるかもしれませんが、このような透明性の高いコミュニケーションは、かえって消費者や取引先からの深い信頼を獲得することに繋がります。

短期的なイメージアップを狙うのではなく、誠実な情報開示を通じて長期的な信頼関係を築くことこそが、これからの時代に求められる広報のあり方なのです。  

【事例紹介】環境ブランディングで成功する企業の広報戦略

【事例紹介】環境ブランディングで成功する企業の広報戦略

ここまでは、脱炭素やSDGsを広報戦略に活かすための理論や手法について解説してきました。

しかし、最も参考になるのは、やはり実際に成功を収めている企業の具体的な取り組みでしょう。

様々な企業が、木造建築や環境技術を自社のブランディングの中核に据え、独自の広報戦略を展開しています。

大手ゼネコンから地域に根差した工務店まで、そのアプローチは多岐にわたります。

この章では、そうした先進的な企業の事例を3つのタイプに分けてご紹介します。

これらの事例から、自社の規模や強みに合った広報戦略のヒントを見つけ出し、次の一歩を踏み出すための参考にしてください。

ZEB推進で業界をリードする企業の取り組み

大林組や戸田建設、東急建設といった大手ゼネコンは、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の普及を強力に推進し、それを企業ブランディングの大きな柱としています 。

ZEBとは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになる建築物のことです。

彼らは、自社で開発した省エネ技術や再生可能エネルギー技術を積極的にアピールするだけでなく、新本社ビル自体をZEB化するなど、自らが実践者となることで、その取り組みの本気度を社会に示しています 。

ウェブサイトや統合報告書では、具体的なCO2削減目標(SBT認定など)を公表し、その進捗を定期的に報告。

技術開発力と社会課題解決への貢献意欲を同時に発信することで、業界のリーダーとしての地位を確固たるものにしています。  

地域材活用をストーリーに昇華させた工務店の事例

企業の規模に関わらず、地域に根差した活動は強力な広報の武器になります。

特に、地元の木材を積極的に活用している工務店は、その背景にあるストーリーを伝えることで、顧客の深い共感を得ることができます 。

例えば、「この家の柱は、車で30分の距離にある〇〇山の木から作られています。私たちは、地域の林業家と顔の見える関係を築き、森を育てながら家づくりをしています」といったメッセージは、単なる性能や価格を超えた価値を顧客に伝えます。

ウェブサイトのブログやSNSで、森林での伐採体験イベントの様子や、製材所で働く人々の姿を発信することも効果的です 。

地域との繋がりや、素材への想いを丁寧に発信していくことで、「この会社に頼みたい」という強い動機付けを生み出し、価格競争に巻き込まれない独自のブランドを確立することが可能です。  

木造化による企業価値向上をIRで発信する先進事例

木造建築の推進を、単なる建築事業の一環としてではなく、企業全体の価値向上に繋がる経営戦略として位置づけ、投資家向け情報(IR)の中でも積極的に発信している企業もあります。

その代表例が、三井ホームが手掛ける木造マンションブランド「MOCXION(モクシオン)」です 。

同社は、この事業が脱炭素社会の実現に貢献するサステナブルな取り組みであることを明確にうたい、具体的な炭素固定量のデータと共にニュースリリースなどで広く公表しています 。

これは、施主や入居者だけでなく、投資家や金融機関に対しても、「私たちは社会課題の解決を通じて成長する企業です」という強力なメッセージを送るものです。

このように、環境への貢献を事業の成長戦略と結びつけて発信することは、資金調達の面でも有利に働き、企業の持続的な発展を支える基盤となります。  

まとめ  

まとめ 木造非住宅 非住宅木造 広報 集客 広報支援 工務店 建設会社

今回の記事では、木造非住宅ビジネスに取り組む工務店・建設会社の皆様が、「脱炭素」と「SDGs」を武器に、自社の広報力を高め、受注に繋げるための具体的な方法を解説してきました。

もはや環境への配慮は、社会貢献活動という位置づけではなく、企業の生存と成長を左右する「経営戦略」そのものです。

そして、再生可能で炭素を貯蔵する「木」という素材を扱う皆様は、この新しい時代の競争において、非常に有利なポジションにいると言えます。

その価値を最大限に引き出す鍵は、これまで見てきたように、「言語化」「実践」「誠実さ」の3つです。

これらを意識するだけで、皆様の広報活動は大きく変わるはずです。

この記事が、皆様の挑戦を成功へと導く一助となれば幸いです。「モクプロ」は、これからも建築実務者の皆様に寄り添い、真に役立つ情報を提供し続けてまいります。

ハウス・ベース株式会社の木造化・木質化支援

非住宅用途の建築物で、木造化・木質化の更なる普及が期待されています。

諸問題を解決して、木造化・木質化を実現するには、「木が得意な実務者メンバー」による仕事が必要不可欠です。

木造非住宅ソリューションズでは、発注者の課題に対して、最適な支援をご提案します。

ハウス・ベース株式会社は、建築分野の木造化・木質化を支援するサービスである「木造非住宅ソリューションズ」を展開しています。

「木造非住宅ソリューションズ」とは、脱炭素社会実現に向けて、建築物の木造化・木質化に関する課題解決に貢献するための実務支援チームです。

◾️テーマ:「(木造化+木質化)✖️α」→木造化・木質化を追求し、更なる付加価値を創出

◾️活動の主旨:木に不慣れな人・会社を、木が得意な人・会社が支援する仕組みの構築

【主なサービス内容】

◾️広報支援:コンテンツマーケティング、WEBサイト制作、コンテンツ制作等

◾️設計支援 :設計者紹介、計画・設計サポート、設計・申請補助等

◾️実務支援 :木構造支援、施工者紹介、講師等

木造化・木質化で専門家の知見が必要な場合は、ぜひハウス・ベース株式会社までお気軽にお問合せください。

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著者

一級建築士。群馬県出身。芝浦工業大学卒業後、設計事務所・工務店・木構造材メーカー勤務を経て、2015年にハウス・ベース株式会社を起業。事業内容:住宅・建築関連の業務支援。特に非住宅用途の木造化・木質化支援(広報支援・設計支援・実務支援)に注力。木造非住宅オウンドメディア「モクプロ」を運営。

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